6 / 11
6.
しおりを挟む
鈴の音が鳴り終わった頃、気が付けばいつの間にか一人の女の人が目の前に立っていた。
【こんにちは、皆さん。 本日はお越しいただきありがとうございます】
女の人は口ではそう言っているが、私と海斗の頭の中には直接別のことを言ってきていた。
『こうして話すのは久しぶりですね、お姉様、お兄様、お元気でしたか?』
私と海斗は、目を見開くと同時にあることを口に出していた。
「「久しぶりですね、美海も元気そうで何よりです」」
私と海斗は、口ではそう言いながらも内心パニックになっていた。
ぽろりと口から溢れ出た言葉だったが、二人は「美海」のことを知らなかったからだ。
いや、覚えていなかったというべきかも知れない。
「七海と海斗はこの人、美海さん?のことを知っているの?」
お母さんはもっともなことを私と海斗に聞いてきたが、私と海斗はその問いに対して首を横に振った後、首を縦に振った。
「「ううん、知らない。 でも、知ってる」」
私と海斗がそう言うと、黒炎と美海は顔を輝かせた。
【やりましたぞ❗ お嬢達は完璧には忘れてないようですぞ】
黒炎は私達の周りをグルグルと走り回り、美海は私と海斗の手を取ってぶんぶんと振った。
【嬉しいです❗ 美海のことを覚えていて下さったのですね】
美海の顔は満面の笑みで、誰?と聞くことは躊躇われた。
だが、そこで聞いてしまうのが海斗である。
これまでそのせいで何度も辛い思いをしたにも関わらず、海斗は今回も聞いた。
「美海さんはなんで僕たちのことを知っているの? あと、なんで僕たちも美海さんのことを知ってるの? あとは…」
必殺、海斗のなんでなんで攻撃である。
【ストップスト―ップ❗ 全部答えるから、だからそんなにいっぺんに聞かないで下さい】
美海は胸に手を当てると、一つ一つ話し始めた。
【改めまして、私の名は美海です。 まあ、正式な名前は美海那姫神ですが…まあ、今これは関係ないでしょう。 まず一つ目の質問、なぜ私があなた達のことを知っているかですがそれはあなた達七海と海斗が私のお姉様とお兄様だからです】
私達はビックリして顔を見合せると、すぐに美海の方を見て顔の前で手をぶんぶんと振った。
「「ないないない❗ そもそも私達(僕達)より大きな妹なんているはずないし」」
私がそう言うと美海は悲しそうな表情をして、覚えていないのですか?と言ってきた。
これはなんだろうか、美海の頭の上に可愛い犬の耳が見える気がする。
【まあ今のは事実ですから、受け入れてくださいね。 では次の質問に移りましょうか】
【こんにちは、皆さん。 本日はお越しいただきありがとうございます】
女の人は口ではそう言っているが、私と海斗の頭の中には直接別のことを言ってきていた。
『こうして話すのは久しぶりですね、お姉様、お兄様、お元気でしたか?』
私と海斗は、目を見開くと同時にあることを口に出していた。
「「久しぶりですね、美海も元気そうで何よりです」」
私と海斗は、口ではそう言いながらも内心パニックになっていた。
ぽろりと口から溢れ出た言葉だったが、二人は「美海」のことを知らなかったからだ。
いや、覚えていなかったというべきかも知れない。
「七海と海斗はこの人、美海さん?のことを知っているの?」
お母さんはもっともなことを私と海斗に聞いてきたが、私と海斗はその問いに対して首を横に振った後、首を縦に振った。
「「ううん、知らない。 でも、知ってる」」
私と海斗がそう言うと、黒炎と美海は顔を輝かせた。
【やりましたぞ❗ お嬢達は完璧には忘れてないようですぞ】
黒炎は私達の周りをグルグルと走り回り、美海は私と海斗の手を取ってぶんぶんと振った。
【嬉しいです❗ 美海のことを覚えていて下さったのですね】
美海の顔は満面の笑みで、誰?と聞くことは躊躇われた。
だが、そこで聞いてしまうのが海斗である。
これまでそのせいで何度も辛い思いをしたにも関わらず、海斗は今回も聞いた。
「美海さんはなんで僕たちのことを知っているの? あと、なんで僕たちも美海さんのことを知ってるの? あとは…」
必殺、海斗のなんでなんで攻撃である。
【ストップスト―ップ❗ 全部答えるから、だからそんなにいっぺんに聞かないで下さい】
美海は胸に手を当てると、一つ一つ話し始めた。
【改めまして、私の名は美海です。 まあ、正式な名前は美海那姫神ですが…まあ、今これは関係ないでしょう。 まず一つ目の質問、なぜ私があなた達のことを知っているかですがそれはあなた達七海と海斗が私のお姉様とお兄様だからです】
私達はビックリして顔を見合せると、すぐに美海の方を見て顔の前で手をぶんぶんと振った。
「「ないないない❗ そもそも私達(僕達)より大きな妹なんているはずないし」」
私がそう言うと美海は悲しそうな表情をして、覚えていないのですか?と言ってきた。
これはなんだろうか、美海の頭の上に可愛い犬の耳が見える気がする。
【まあ今のは事実ですから、受け入れてくださいね。 では次の質問に移りましょうか】
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
絵の中はあやかしの世界でした 〜青年は私に結婚を申し込む〜
MIRICO
キャラ文芸
華鈴に残された絵に描かれていたのは、整った顔の青年。曽祖父の葬儀後、黒い影に追われれば、絵の中に描かれた青年が手を伸ばして華鈴の名を呼んだ。その腕に引かれて辿り着いた先は、異形のいる異界。その異形たちの前で華鈴を抱きしめながら、青年は高らかに宣言する。
「彼女が、僕の花嫁になる人です!」
戯曲「サンドリヨン」
黒い白クマ
キャラ文芸
貴方にお届けするのは、童話「サンドリヨン」をモチーフにした舞台。案内人と共に、ハッピーエンドを見届けに行きましょう。さぁ座って。緞帳が上がります。
――本日はこの、サンドリヨン、またはシンデレラ、灰かぶり娘などの名で親しまれている、美しい姫君の話を致しましょう。姉は何故あっさりとサンドリヨンに謝罪したのか。夫人は何故サンドリヨンを目の敵にしたのか。魔法使いは何故サンドリヨンを助けたのか。王子は何故会って間もないサンドリヨンに惚れ込んだのか。サンドリヨンは何故姉を快く許したのか。さて、では参りましょうか。魔法の靴が導く、ハッピーエンドを見にね。
***
毎日16:00更新、初回のみ18:00更新
***
※当作品は小説です。戯曲というのは題名であり、戯曲形式の作品ではございませんのでご了承ください。
※pixiv、カクヨム、note、なろうでも公開。
ちび神様の駆け込み神社
桐一葉
キャラ文芸
由緒ある格式高い神社の女神だったにもかかわらず、いきなり男神の襲撃をくらって神社から追い出されてしまった。逃げた先で新しい神社を建てて数百年、山の中に建ててしまったので氏子は増えず社は荒れ果てていくばかり。大人の姿から子供の姿になっても、いつかの栄光を取り戻すために今日も雪津那愛枝花之比女(ゆきつなあえかのひめ)は氏子捜しに精を出すが行き倒れの男を拾ってしまってーーーー
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
海の声
ある
キャラ文芸
父さんの転勤で引っ越してきた"沖洲島(おきのすじま)"。
都会暮らしに慣れていた誠司にとっては"ど田舎"で何にもないつまらない島だった。
ある朝、海を眺めているとこの島の少女"海美(うみ")と出逢う。
海美と出逢って知ったこの"何もないつまらない島"の美しさ。
そして初めての感情。
不思議な石が巡り会わせた長くて短いひと夏の淡い青春の物語。
----------------------------------------
前半を見て"面白く無いな"と思ったら飛ばし飛ばしで読んで下さい(´。-ω-)笑笑
コメント、お気に入り、いいね!を下さい(`・ω・´)ゞ
それだけで励みになります!!
特にコメントに飢えておりまして…(゚Д゚≡゚Д゚)
気付き次第即返信しますので、一文字だけでもいいのでコメントお願いします!!( ´・ω・)ノ
アドバイスや文字間違い、文章の違和感…etc細心の注意を払っていますが、そういった事もコメント頂けたら嬉しいです(´°ω°`)
踊れば楽し。
紫月花おり
ファンタジー
【前世は妖!シリアス、ギャグ、バトル、なんとなくブロマンスで、たまにお食事やもふもふも!?なんでもありな和風ファンタジー!!?】
俺は常識人かつ現実主義(自称)な高校生なのに、前世が妖怪の「鬼」らしい!?
だがもちろん前世の記憶はないし、命を狙われるハメになった俺の元に現れたのは──かつての仲間…キャラの濃い妖怪たち!!?
ーーー*ーーー*ーーー
ある日の放課後──帰宅中に謎の化け物に命を狙われた高校2年生・高瀬宗一郎は、天狗・彼方に助けられた。
そして宗一郎は、自分が鬼・紅牙の生まれ変わりであり、その紅牙は妖の世界『幻妖界』や鬼の宝である『鬼哭』を盗んだ大罪人として命を狙われていると知る。
前世の記憶も心当たりもない、妖怪の存在すら信じていなかった宗一郎だが、平凡な日常が一変し命を狙われ続けながらも、かつての仲間であるキャラの濃い妖たちと共に紅牙の記憶を取り戻すことを決意せざるをえなくなってしまった……!?
迫り来る現実に混乱する宗一郎に、彼方は笑顔で言った。
「事実は変わらない。……せっかくなら楽しんだほうが良くない?」
そして宗一郎は紅牙の転生理由とその思いを、仲間たちの思いを、真実を知ることになっていく──
※カクヨム、小説家になろう にも同名義同タイトル小説を先行掲載
※以前エブリスタで作者が書いていた同名小説(未完)を元に加筆改変をしています
小流氓(シャオリュウマン)
不来方久遠
キャラ文芸
何も無い、男がいた。
国籍・名前・家族、そして両眼の視力さえなかった。
新宿の黒社会を舞台に、全盲ながらもまるで眼が見えるかのように相手を気配と声だけで識別し、確実に標的を葬るヒットマンだった。
盲人だとあなどっていたウラ組織も、内情を知り過ぎたその男を脅威に感じて消しにかかった。
その巻き添えから眼の前で両親を殺されたユカという一人の少女が、その男に助けを求めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる