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7話

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 リジィは寝室のベッドに寝ころび、両手と両足を投げ出していた。 リジィの青い瞳は天井をじっと見つめて、何も映していない様だっだ。 リジィの口から切ない息が吐き出された。

 (……まぁ、私の苗字は分かった……フェリシティ・アーヴィングか……自分の名前じゃないみたいっ。 お父さん……本当に悪事を働いたのっ? 人身売買なんてっ……っ)

 オアシスで人買いに攫われた事を思い出し、恐怖で身体が震え、小さく丸くなる。

 まだ、リジィの中で攫われた記憶は生々しく残っている。

 人買いに攫われた時は、自身がどうなってしまうのか分からず、とても怖った。

 リジィは信じたくなかった。 父母が人身売買で、若い女性たちにリジィが味わった恐怖を与えていた事。

 (あの時は本当に怖かったっ……人生に絶望したものっ)

 両親が悪事を働いて国を出た事。

 もし、リジィが故郷へ行って、アーヴィング家の事を訪ね回ったら間違いなく捕まるだろう。 目標を失くしてしまったリジィは、何をしたらいいのか、分からなくなっていた。

 寝室のガラス扉がノックされ、シアーラの心配そうな声が響く。 リジィの脳裏に無表情なシアーラの姿が思い浮かぶ。 

 シアーラの声には喜怒哀楽があるのだが、表情筋が死んでいるのか、表情に感情が出ない。

 「番様、お食事はどうされますか? お薬もお飲みになって下さい。 発作が酷くなってしまいます」
 「ごめんなさいっ、食欲がないのっ……」

 ガラス扉にはカーテンが閉まっており、シアーラの姿は見えない。 皆に迷惑を掛けている事は分かっているが、どうしてもやる気スイッチが入らない。 シアーラも暫く粘っていたが、諦めて食事を下げに部屋を出て行った。 シアーラは常に居間で待機しているので、直ぐに戻って来る。

 (ごめんなさい、シアーラっ。 私、どうすればいいのか分からないのっ)

 リジィの閉じ籠りは一週間続いた。 

 薬も飲む気になれなくて辞めてしまい、ラトとは近づけなくなった。 ラトは毎日、リジィの寝室のガラス扉まで来て、今日は何があったとか、騎士団での話をしてくれた。 話の中にはシェラン国の姫様も獣人なのに、動物アレルギーなのだと話してくれた。

 そして、イアンが姫様の担当医師なんだとか。

 リジィの様な平民に、姫様の個人的な話をしていいのかと思ったが、国民の全員が知っている事らしい。 陰では『欠陥品の姫』だと呼ばれている様だ。 『欠陥品の姫』の話はシアーラから聞いた。

 シェラン国の王族の事には興味がなくて、リジィは全く知らなかった。 

 シアーラの名誉の為に言っておくが、姫様の事を欠陥品だとは彼女は全く思っていない。

 本日も就寝前に寝室のガラス扉がノックされ、ラトの低くて心地良い声がリジィの名前を呼ぶ。

 「リジィ」
 「ラト様っ」

 直ぐに起き上がり、リジィは扉へ近づいてカーテンを開けた。 ガラス扉越しにラトの切なげな眼差しがリジィを捉える。

 ガラス扉越しでラトは話を続ける。

 「大丈夫か? 薬も飲んでいないのだろう? リジィの身体の為だから、ちゃんと飲んでほしい」
 「すみませんっ……どうしても何もする気になれなくて……」
 「うん、気持ちは分かる。 俺も両親が悪事を働いていたと聞けば、ショックを受ける。 どうだろう、次の休日に観劇にでも出かけるか? 気晴らしになると思う。 家の中に閉じ籠ってばかりいてもつまらないだろう?」

 顔を上げたリジィはラトの話を聞いて瞳を見開いた。 アヴリルの話では、番が出掛ける事に難色を示すだろうと言っていた事を思い出す。

 「いいのですか? 出かけても……」
 「ああ、俺と一緒ならな」
 「……っ」
 「だから、薬を飲んでくれ。 俺はリジィと食事をしたいし、隣を歩きたい。 リジィに触れたい」

 ラトのアンティークグレイの耳と尻尾が小さく揺れ、金色の瞳が切なげに細められる。 ガラス扉越しに手を合わせると、身体が熱くなるくらい刻印が発熱した。 

 立派な狼の耳と尻尾が垂れている様子は、とても可愛らしい。 リジィから久しぶりに笑みが零れる。

 (男の人に可愛いは失礼よね。 そうね、気晴らしに出かけるのもいいよね。 あっ、まだ助けてくれたお礼を言ってなかったっ)

 「ありがとうございます、ラト様。 私、観劇を見るのは初めてなんです。 それと、ずっとお礼を言うのを忘れてました。 今更ですけど、人買いから助けて頂いてありがとうございます」
 「お礼なんていい、俺は番のリジィを助けたかったんだから。 観劇は直ぐに席を用意するっ! 薬を続けた後、イアンの許可が出てから行こう」
 
 とても嬉しそうに笑うラトを見て、リジィも『はい』と笑顔で返事を返した。

 ラトの指示で直ぐにイアンとシアーラが薬を持って来た。 発作が出た時の為に、直ぐに対応出来る様、イアンが居間に待機していたらしい。 リジィは今更ながら、沢山の人にもの凄く迷惑を掛けていた事に気づかされた。

 「ごめんなさい、心配とご迷惑を掛けてっ」

 イアンに深く頭を下げると、彼はリジィの頭を撫でて苦笑を零した。

 「いいえ、気にしないで下さい。 まぁ、獣人というのは、番には過保護になりがちですからね。 特に番が何か病気を抱えてたりすると、顕著になります」
 「以後、気を付けます」
 「番様の所為ではないんですけどね。 団長が過保護すぎるのです。 団長はずっと番を探していたんですよ。 彼は過保護ですけど、番様をとても大事に思っていますから。 番様も団長の事を大事にしてあげて欲しいです」

 リジィはイアンの話に曖昧に笑って誤魔化した。 ラトには薬の件でも父親捜しにも協力してもらってお世話になっている。 

 しかし、動物アレルギーのあるリジィがラトの番が務まるのか、とても不安だった。 特に後継ぎ問題は、困難そうに思える。

 ◇
 
 観劇の日は直ぐに整えられた。 王都の南地区にある芸術劇場へ、ラトとリジィは馬車で向かう事にした。 イアンの薬を一か月程、飲み続けて外出の許可が出た。

 (発作は薬で抑えているから、直ぐにでも出かけられたんだけどね……ラト様、過保護すぎなのよねっ)

 薬を飲んでいるので、発作は出ないが、念のため、顔半分を覆う布をしてくれとラトから言われた。

 「ラト様、薬を飲んでいるので、そこまで神経質にならなくても大丈夫ですよ」
 「いやっ! 何があるか分からないっ! ちゃんと布をしていてくれ」

 今にも発作が出るんではないかという必死な形相に、リジィは少しだけ引いた。

 いや、思いっきり引いた。

 (大丈夫なんだけどなっ……)

 劇場へ着いてから、リジィはラトが過保護に成る程心配していた事を理解した。

 狼獣人の国なので当たり前だが、見渡す限りの狼の耳と尻尾たち。 大人や子供までが耳や尻尾を小さく揺らしている。

 リジィの前を小さな子供が親に連れられて通り過ぎていく。 リジィの変態の欲望がふつふつと湧き上がる。

 (あぁぁ、耳と尻尾を撫で回したいっ! あの柔らかそうな尻尾に顔を埋めたいよっ)

 通り過ぎた狼獣人の少年は貴族のお坊ちゃんなのか、とても良い服を着ていて、歩き方にも品がある。 上品な貴族の坊ちゃんが、リジィの変態の気配に肩を大きく跳ねさせて、振り返った。

 (あ、こっち向いた。 顔も可愛いっ)

 リジィと視線を合わせた途端、貴族のお坊ちゃんは怯えて狼の耳が左右に折れて垂れた。 リジィが何かを言う間もなく、少年はダッシュで先へ行ってしまった両親を追いかけて行った。

 顔が半分隠れているのに、またしてもリジィの心情を読まれてしまった。 

 しかも、10歳くらいの少年にだ。

 (なんで分かったのかしら? 私が尻尾を撫で回したいって思ったの……)

 布で顔を半分隠している事に加え、リジィの青い瞳には怪しい光が宿っていたのだ。 怪しい様相で見つめられれば誰でも怖いだろう。 リジィは全くと言っていいほど、考えついていなかった。

 「リジィ、俺以外の男に色目を使うな」
 「えっ?! 色目なんて使ってませんけどっ!」
 「寧ろ、変態な色目を使ってましたね」

 後ろで一部始終を冷静な目で見ていたシアーラがしれっと口を出す。 声はリジィを揶揄っている色が混じっているが、顔はいつもの無表情だ。 少年の事はもういいのか、ラトが心配そうな声で話しかけて来た。 シアーラの言葉は無視するつもりのようだ。

 「リジィ、大丈夫か? 見ての通りだと思うが、ここに居るのは狼獣人がほとんどだ。 俺の様に狼の耳と尻尾も引っ込める事が出来ない者たちも多いし、俺たちは普段から耳と尻尾を引っ込めるという習慣がないからな」

 発作の事を心配しているのだろう。

 リジィも孤児院で暮らして来たが、なるべく狼獣人と接触する事を避けて来た。 

 周囲が全て狼獣人だった事はあまりない。 リジィの喉が小さく鳴り、拳を強く握りしめた。 リジィは覚悟を決めてラトの方へ視線をやる。

 「大丈夫です。 私も本格的に身体を慣らさないと駄目だと思っていたんです。 い、行きましょう、ラト様」
 「ああ、無理をするな。 駄目だったら、直ぐに帰ろう」
 「はい」
 「では、私はこちらでお待ちしております」
 「ああ」
 「シアーラは一緒に観ないの?」
 「はい、私は護衛の任務中ですので、お二人が見える位置で待機致します」
 「……そう」

 シアーラに後ろ髪を引かれたが、ラトに肩を抱かれて前へ進むように促された。

 リジィは大人しくラトに誘導され、ヴォールク家が年間予約しているボックス席へと向かった。

 観劇の内容は身分違いの男女の恋愛をテーマにしたものだった。 女優の劇中歌が素晴らしく、感動でリジィの胸を打った。

 そして、同じような内容の観劇を観た事があるのか、リジィの脳裏に仲の良さそうな両親の姿が思い出された。 孤児院に預けられる前の話だ。

 リジィはまだ二歳になってもいないだろう。 脳裏に浮かんだ両親の事を思い、本当に両親が悪事を働いたのかという疑問が湧いた。 じっと考え込んでいるリジィを見つめていたらしいラトが、そっとリジィの手を握って来た。

 先程からラトのスキンシップが激しい。

 いつものラトは、リジィの動物アレルギーを気にしてあまり近づいて来ない。 

 薬を飲んでいるので、触れられたぐらいでは発作は出ないのだが、過保護なラトは物凄く心配して来る。 調子が悪い時は、朝、起きた時から分かる。 今日は動物に触れたりしたら、絶対に発作が出るなと分かるのだ。

 ラトの金色の瞳は舞台の役者たちを映さず、リジィの少し驚いた表情を映していた。

 金色の瞳に熱が帯び、金色が濃い黄金色へと滲ませていく。 手首に刻まれた刻印が発熱して、熱いくらいリジィの胸をときめかせた。 耐え切れなくてリジィの頬がリンゴの様に赤くなった。

 突き刺さる様な視線を受け、リジィは初めて周囲の状況を理解した。 扇子で表情を隠しているが、数人の令嬢がリジィとラトを見ていた。 正しくはリジィを睨みつけ、ラトに馴れ馴れしいと、面白く思っていない事を露わにしていた。

 番の刻印は手首にあり、自身から掲げて見せないと、周囲には見えない。 ラトは美男子で、近衛の騎士団長様だ。 女性にモテる事は容易に考えつく事だ。

 (やっぱり、ラト様ってモテるのね。 初めて実感したっ!)

 ラトがモテる事にリジィの胸に痛みが差す。 そして、何か引っかかりを覚えたが、何かがはっきりとしない。 リジィの意思を無視してラトは身体を寄せて来る。

 「あの……ラト様? 引っ付きすぎではありませんかっ?!」
 「うん? そうか? リジィは気にせず、舞台に集中してくれ」
 「いや、気になりますがっ!!」

 小声で訴えたが、いつの間にかラトの膝の上で抱えられていた。 真っ赤になって慌てふためいているリジィに対して、ラトは平然としていてとても楽しそうだ。

 「俺に番が見つかった事は、もう世間に周知されている。 リジィのお披露目はいつかと、皆が待っているんだ」
 「えっ……」

 (……それは待っているの意味には、いろんな意味合いが混じっているわよねっ)

 相変わらずリジィに突き刺さる悪意ある令嬢の視線が物語っている。

 「お披露目は王家主催の舞踏会になる。 それまでに周囲から寄せられる視線に慣れるといい」
 「……っ」

 (気づいてたのっ?! あっ、だからわざと身体を密着させているのねっ! いつもは強引な事しないのにっ。 というか、切なげな表情で物理的に距離を置かれている)

 「膝抱っこはわざとですかっ?!」
 「そうだ、すまないな。 もう少しだけ、舞台が終わるまで我慢してくれ」

 リジィがラトの胸元で、小声で話すと、ラトも小声で答えた。 諦めたリジィは小さく頷き、舞台を楽しめたかは、聞くまでもない。 胸が高鳴り過ぎで、集中できず、観た内容は全て吹き飛んで行った。

 仲睦まじい二人の姿を恨めし気に見つめていた中に、高貴な人がいた事にリジィは気づいていなかった。 わざとイチャイチャしていたのは、主に高貴な人に向けてしていたのだが、リジィが知る由もない。

 膝の上でリジィを愛し気に抱いていたラトの金色の瞳が鋭く光り、客席のある一角に視線が刺した。
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