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第三章 愛と迷い
彼の本心ー3***
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「それだったら、最初からきちんと話してくれていれば良かったのに……」
彼はぎゅっと抱きしめると呟いた。
「里沙は今だって感情に溺れることなく、現状を厳しく突いてくる。だから、言えなかった。中途半端に手を出して今の状況を知られたら、君が俺から離れていきそうで怖かったんだ。里沙と付き合うために縁談は片づけると決めたから、そんなに待たせる気もなかった」
私は彼をじっと見て答えた。
「この縁談の話を聞いたとき、あなたが私に隠したかった理由もすぐにわかった。だけど、ショックだった。お相手がお嬢様だということは文也さんに聞く前からわかっていた。それでも、あなたに連絡しなかったのは待つと決めていたから」
「ふーん。俺に連絡しないでなぜ文也?それも腹立つんだけど……」
「だって、あなたに聞くと私甘えてしまいそうだったから。それにあなたが会社で何を目指しているのか何も知らなかった。もしかして、あの会社で出世したいなら良い縁談だし、私が諦めればいいことでしょ。文也さんにその辺りを聞いてみたかったの」
「それで、文也はなんて?」
「あなたが専務の友人だというだけでなく、お父様である社長に気に入られて入社していると教えてくれたの。それを聞いたらそれ以上聞く勇気がなくなって……だんだん悲しくなって、もういいですって文也さんの話遮ってしまった。それで飲んでいたら酔い潰れたの」
突然彼は私を抱きしめた。
「はー、里沙お前そういうところすごく可愛い。だから、文也も里沙のこと気に入ってものにしたいとか言い出したんだな。危ないところだった」
「文也さんはそんな私を見て、あの縁談をあなたは望んでいないし、だからこそ待ってろと言われたんじゃないかって慰めてくれた」
「里沙、俺の彼女になるよな?」
「縁談がなくなったらでしょ?」
彼は私を抱き寄せると、あちこちキスしだした。手が動き出した。服の中に入っていく。
「……ん、なに、ダメよ」
彼の手を上から押さえた。後ろから羽交い絞めにされ、彼が私の肩に顔を擦り付ける。
「もう、遅い。止まれない……好きだ、里沙……今の話を聞いたら余計に……欲しくてたまらない」
「あ……」
彼は私のベッドを見つけると、私を引っ張って連れて行った。
「里沙の香りのするベッド。おかしくなりそうだ。それから……俺のことは名前で呼んでくれ」
「……賢人、好き……」
「まったくもう……本当に小悪魔だな。特にその目。最初のキスもその目にやられたんだ。俺にはお前だけだ、安心しろ……だから、お前もずっと俺だけを見てろ。よそ見禁止だ」
私が弱いところをぎゅっと握る。
「あっ、ああ……」
「好きだ、里沙。お前だけだ、こんなふうに俺をさせるのは……」
「だめ、ここは壁が薄いの」
彼は私に入る間際、抱え起こすとニッコリ笑って言った。
「じゃあ、両方塞いでやるよ」
すると食べるように私に口づけをしながら、入ってきてずっとそのままになった。彼のいいように身体を触られ、揺さぶられて上り詰める。なのに熱の出口がなくなった。彼が私の喘ぎを食べていく。行為の生々しい音だけが響いてる。
「……ん……ん……」
私が上り詰めて奥で震えたとき、それを受けて中の彼も豹変した。両方強くキスされて頭が真っ白になる。
求めていたのは私も同じ。彼が好きという気持ちで締め付けてしまう。
長い夜が始まった。
彼はぎゅっと抱きしめると呟いた。
「里沙は今だって感情に溺れることなく、現状を厳しく突いてくる。だから、言えなかった。中途半端に手を出して今の状況を知られたら、君が俺から離れていきそうで怖かったんだ。里沙と付き合うために縁談は片づけると決めたから、そんなに待たせる気もなかった」
私は彼をじっと見て答えた。
「この縁談の話を聞いたとき、あなたが私に隠したかった理由もすぐにわかった。だけど、ショックだった。お相手がお嬢様だということは文也さんに聞く前からわかっていた。それでも、あなたに連絡しなかったのは待つと決めていたから」
「ふーん。俺に連絡しないでなぜ文也?それも腹立つんだけど……」
「だって、あなたに聞くと私甘えてしまいそうだったから。それにあなたが会社で何を目指しているのか何も知らなかった。もしかして、あの会社で出世したいなら良い縁談だし、私が諦めればいいことでしょ。文也さんにその辺りを聞いてみたかったの」
「それで、文也はなんて?」
「あなたが専務の友人だというだけでなく、お父様である社長に気に入られて入社していると教えてくれたの。それを聞いたらそれ以上聞く勇気がなくなって……だんだん悲しくなって、もういいですって文也さんの話遮ってしまった。それで飲んでいたら酔い潰れたの」
突然彼は私を抱きしめた。
「はー、里沙お前そういうところすごく可愛い。だから、文也も里沙のこと気に入ってものにしたいとか言い出したんだな。危ないところだった」
「文也さんはそんな私を見て、あの縁談をあなたは望んでいないし、だからこそ待ってろと言われたんじゃないかって慰めてくれた」
「里沙、俺の彼女になるよな?」
「縁談がなくなったらでしょ?」
彼は私を抱き寄せると、あちこちキスしだした。手が動き出した。服の中に入っていく。
「……ん、なに、ダメよ」
彼の手を上から押さえた。後ろから羽交い絞めにされ、彼が私の肩に顔を擦り付ける。
「もう、遅い。止まれない……好きだ、里沙……今の話を聞いたら余計に……欲しくてたまらない」
「あ……」
彼は私のベッドを見つけると、私を引っ張って連れて行った。
「里沙の香りのするベッド。おかしくなりそうだ。それから……俺のことは名前で呼んでくれ」
「……賢人、好き……」
「まったくもう……本当に小悪魔だな。特にその目。最初のキスもその目にやられたんだ。俺にはお前だけだ、安心しろ……だから、お前もずっと俺だけを見てろ。よそ見禁止だ」
私が弱いところをぎゅっと握る。
「あっ、ああ……」
「好きだ、里沙。お前だけだ、こんなふうに俺をさせるのは……」
「だめ、ここは壁が薄いの」
彼は私に入る間際、抱え起こすとニッコリ笑って言った。
「じゃあ、両方塞いでやるよ」
すると食べるように私に口づけをしながら、入ってきてずっとそのままになった。彼のいいように身体を触られ、揺さぶられて上り詰める。なのに熱の出口がなくなった。彼が私の喘ぎを食べていく。行為の生々しい音だけが響いてる。
「……ん……ん……」
私が上り詰めて奥で震えたとき、それを受けて中の彼も豹変した。両方強くキスされて頭が真っ白になる。
求めていたのは私も同じ。彼が好きという気持ちで締め付けてしまう。
長い夜が始まった。
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