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第二十二局 マッサージチェアでも矢倉さんは守りが固い?
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二日目は一日ずっと将棋を指しまくった。
一部、菊水先輩による将棋講座もあった。いくつかの戦法とその対策方法を教えてもらった。アヒル囲い。エルモ囲い。筋違い角や45角戦法。どれも聴いた事がなかった。矢倉さんはこういう戦法はとってこないものなぁ。いろいろ知識が増えた一日だ。
とにかく今日は将棋を指して温泉に入るだけの一日だった。さすがに僕も疲れがたまる。
だけど温泉に入るとそれも癒えたような気がする。温泉最高だ。
あ、そういえば入り口の手前にマッサージチェアが設置されていたな。今日はかなり疲れたし、マッサージチェアにかかってみよう。
僕はマッサージチェアの設置されているコーナーに向かってみる。
二台あるマッサージチェアのうち一台に座って硬貨を入れる。すると勝手に身体が持ち上がり寝姿にちかい形になってマッサージが始まる。
これ重力から解放されるとかいう売り文句のマッサージチェアだ。
おおう、これは心地よい。疲れが癒やされる。極楽極楽。
マッサージを堪能していると隣に誰かやってきたようだ。がやがやと声が聞こえる。
「あ、ほらマッサージチェアあるよ。これしかも話題の重力を感じなくなるとかいう奴だ。かなり心地よいんだよね」
うん。聞こえてくるこの声はいちご先輩のようだ。
「へー。そうなんですね。私マッサージとかしたことなくて」
こちらの声は、矢倉さんかな。どうやら女性陣もお風呂あがりのようだ。
「ほほー。ちょうど一台空きがあるみたいだし、じゃあこれはいちど矢倉っちにも体験してもらおうじゃない。ほら、すわってすわって」
木村先輩もいるようだ。どうやら矢倉さんがマッサージをするらしい。
「お金は私が出したげる。さて、矢倉っちの初体験! 初体験ですよ! これはそそる」
初体験って、間違っちゃないけど、なんだかワードチョイスがちょっとあれだなぁ。これ、たぶんいつもの木村先輩のセクハラギリギリ発言だ。
「じゃあせっかくなので初体験してみます」
たぶん矢倉さんはセクハラ発言には気がついていないようで、素直にマッサージチェアに座ったようだ。だめだよ、矢倉さん。木村先輩にのせられたらと思うものの、マッサージ中なので何も言えない。
「んじゃ始めるよ」
木村先輩の声が響く。同時にとなりでマッサージチェアが動く音がする。
「あぅ。くすぐったい……」
矢倉さんの声が響く。
「ん……。あ……。う~。声がでちゃう……」
声は聞こえてくるものの、しかし今自分は寝姿になっていて、頭もふくめてかなりすっぽり包み込むような形になっているため、隣の姿はみえない。
「あぅ……うん…………あ」
矢倉さんがマッサージに反応して声を漏らしていた。
やばい。なんか姿が見えないと変な声に聞こえる。
「だ、だめ……あ…………うん……」
これはまずい。矢倉さんの姿は見えない。見えないからこそ余計に想像が膨らんでしまう。
鎮まれ。鎮まれ。僕の中の荒ぶる神様。鎮まるんだ。違う。これは違うんだ。ただマッサージしているだけなんだ。
「あぅぅ。くすぐったいです……」
「あー。矢倉ちゃんはあんまりマッサージとか必要ないタイプかな」
いちご先輩のにやけた声も聞こえてくる。
「うう。ん……あぅ…………はぅ」
ご、拷問なのか。これは新手の拷問だ。
耐えろ耐えるんだ。鎮まるんだ。
なんだかよくわからない時間を何とか意識をそらしながらこらえていく。
やがて僕の方のマッサージチェアが終了して、身体が起こされる。でもなんとか別のところは起きずにすんだ。すんだよね。
「あれ。美濃っち。隣にいたのは美濃っちだったのか」
「え、ええ。まぁ、はい」
「え、ええ!? 美濃くん!?」
矢倉さんが何か驚いた声を漏らす。しかしマッサージチェアは動きを続けており、それに合わせて矢倉さんが声を漏らしてしまう。
「う……ぅぅ。はぅ…………あぅ……ん」
しかし何かを言いたいようではあったけれど、マッサージチェアの動きに合わせて声を漏らしていた。どうにも声を我慢できないようだ。
僕もなんだか我慢できなくなりそうで、少し気が狂いそうだった。
「へー。美濃っちどうだった?」
「え、ええ。まぁ、心地よかったです」
「ほほー。ふぅん。なるほどねぇ」
何か含みを漏らした声で答える。
く。これに何か反応したら負けだ。ここは知らないふりをして通すのが正解なんだ。
とりあえず何も答えなかったけれど、何だか木村先輩もいちご先輩もにやけた顔で僕の方をみている。
やがて矢倉さんのマッサージも終わって、身体が元に戻る。
それから真っ赤な顔をした矢倉さんが降りてくる。少し浴衣がはだけていて、その、いや、なんでもありません。
「ま、マッサージは私には合わないみたいです……」
矢倉さんはふらふらとしながら、顔をうつむかせていた。
矢倉さんの状態に、僕の方がノックアウトされそうです。
矢倉さんの守りは固い……んだろうか。これは。
僕が勝手にやられているだけかもしれない。
一部、菊水先輩による将棋講座もあった。いくつかの戦法とその対策方法を教えてもらった。アヒル囲い。エルモ囲い。筋違い角や45角戦法。どれも聴いた事がなかった。矢倉さんはこういう戦法はとってこないものなぁ。いろいろ知識が増えた一日だ。
とにかく今日は将棋を指して温泉に入るだけの一日だった。さすがに僕も疲れがたまる。
だけど温泉に入るとそれも癒えたような気がする。温泉最高だ。
あ、そういえば入り口の手前にマッサージチェアが設置されていたな。今日はかなり疲れたし、マッサージチェアにかかってみよう。
僕はマッサージチェアの設置されているコーナーに向かってみる。
二台あるマッサージチェアのうち一台に座って硬貨を入れる。すると勝手に身体が持ち上がり寝姿にちかい形になってマッサージが始まる。
これ重力から解放されるとかいう売り文句のマッサージチェアだ。
おおう、これは心地よい。疲れが癒やされる。極楽極楽。
マッサージを堪能していると隣に誰かやってきたようだ。がやがやと声が聞こえる。
「あ、ほらマッサージチェアあるよ。これしかも話題の重力を感じなくなるとかいう奴だ。かなり心地よいんだよね」
うん。聞こえてくるこの声はいちご先輩のようだ。
「へー。そうなんですね。私マッサージとかしたことなくて」
こちらの声は、矢倉さんかな。どうやら女性陣もお風呂あがりのようだ。
「ほほー。ちょうど一台空きがあるみたいだし、じゃあこれはいちど矢倉っちにも体験してもらおうじゃない。ほら、すわってすわって」
木村先輩もいるようだ。どうやら矢倉さんがマッサージをするらしい。
「お金は私が出したげる。さて、矢倉っちの初体験! 初体験ですよ! これはそそる」
初体験って、間違っちゃないけど、なんだかワードチョイスがちょっとあれだなぁ。これ、たぶんいつもの木村先輩のセクハラギリギリ発言だ。
「じゃあせっかくなので初体験してみます」
たぶん矢倉さんはセクハラ発言には気がついていないようで、素直にマッサージチェアに座ったようだ。だめだよ、矢倉さん。木村先輩にのせられたらと思うものの、マッサージ中なので何も言えない。
「んじゃ始めるよ」
木村先輩の声が響く。同時にとなりでマッサージチェアが動く音がする。
「あぅ。くすぐったい……」
矢倉さんの声が響く。
「ん……。あ……。う~。声がでちゃう……」
声は聞こえてくるものの、しかし今自分は寝姿になっていて、頭もふくめてかなりすっぽり包み込むような形になっているため、隣の姿はみえない。
「あぅ……うん…………あ」
矢倉さんがマッサージに反応して声を漏らしていた。
やばい。なんか姿が見えないと変な声に聞こえる。
「だ、だめ……あ…………うん……」
これはまずい。矢倉さんの姿は見えない。見えないからこそ余計に想像が膨らんでしまう。
鎮まれ。鎮まれ。僕の中の荒ぶる神様。鎮まるんだ。違う。これは違うんだ。ただマッサージしているだけなんだ。
「あぅぅ。くすぐったいです……」
「あー。矢倉ちゃんはあんまりマッサージとか必要ないタイプかな」
いちご先輩のにやけた声も聞こえてくる。
「うう。ん……あぅ…………はぅ」
ご、拷問なのか。これは新手の拷問だ。
耐えろ耐えるんだ。鎮まるんだ。
なんだかよくわからない時間を何とか意識をそらしながらこらえていく。
やがて僕の方のマッサージチェアが終了して、身体が起こされる。でもなんとか別のところは起きずにすんだ。すんだよね。
「あれ。美濃っち。隣にいたのは美濃っちだったのか」
「え、ええ。まぁ、はい」
「え、ええ!? 美濃くん!?」
矢倉さんが何か驚いた声を漏らす。しかしマッサージチェアは動きを続けており、それに合わせて矢倉さんが声を漏らしてしまう。
「う……ぅぅ。はぅ…………あぅ……ん」
しかし何かを言いたいようではあったけれど、マッサージチェアの動きに合わせて声を漏らしていた。どうにも声を我慢できないようだ。
僕もなんだか我慢できなくなりそうで、少し気が狂いそうだった。
「へー。美濃っちどうだった?」
「え、ええ。まぁ、心地よかったです」
「ほほー。ふぅん。なるほどねぇ」
何か含みを漏らした声で答える。
く。これに何か反応したら負けだ。ここは知らないふりをして通すのが正解なんだ。
とりあえず何も答えなかったけれど、何だか木村先輩もいちご先輩もにやけた顔で僕の方をみている。
やがて矢倉さんのマッサージも終わって、身体が元に戻る。
それから真っ赤な顔をした矢倉さんが降りてくる。少し浴衣がはだけていて、その、いや、なんでもありません。
「ま、マッサージは私には合わないみたいです……」
矢倉さんはふらふらとしながら、顔をうつむかせていた。
矢倉さんの状態に、僕の方がノックアウトされそうです。
矢倉さんの守りは固い……んだろうか。これは。
僕が勝手にやられているだけかもしれない。
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