さよならはまるいかたち

「私と一緒に死んでくれますか」

 切り立った崖の上で見知らぬ少女が僕に死のうと誘いかけてくる。
 鈴蘭のようなささやく匂いと、打ち付ける波の音が僕を誘う。
 
 そして僕は現実に引き戻される。
 それは僕が見た夢。だけど僕が見た夢は必ず現実になってしまう。

 そんな中、クラスの仲間達と伊豆旅行へと向かうことになり、夢で見た未来が現実になろうとしている事を感じている。
 そこに再び降りてきた未来は、双子の妹の麗奈をナイフで刺す自分の姿だった。

 あり得ない未来に困惑するものの、旅行先では夢でみた見知らぬ少女、桜乃と出会っていた。
 どこか不思議な桜乃に少しずつ惹かれるものを感じながらも、麗奈にくる未来を恐れ続ける。

 そしてそこに僕がみた未来が現実になる。
 僕はナイフに刺された麗奈の姿を、はっきりととらえていた。

 麗奈を刺した犯人はいったい誰なのか。桜乃はなぜ僕に死のうと誘いかけるのか。
 謎めいた彼女は何を知っているのか、わからないまま事態は急速に進んでいく。

 僕が見た未来には必ず別れを伴ってしまう。
 僕は「さよなら」を言わないように未来を変えられるのか。

 絶対に未来を変えてみせると誓いながら、僕は犯人を捜す。


※表紙は花月夜れん様よりいただいたファンアートを入れさせていただきました。花月夜れん様、本当にありがとうございます!!
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