この恋、腐れ縁でした。

氷室ユリ

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第五章 扉の先で待ち受けるものは

  守るべきもの(3)

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 イーグルと別れて何とか車を走らせ、滞在先のホテルに戻った。フロントでキーを受け取り、ようやく部屋に入る。

 頭痛は酷くなり、発熱のせいか体が重い。
「疲れた……。取りあえず、シャワーでも浴びよう」
 今すぐに全てを洗い流したかった。あのイケ好かない男といた時間も、汗も硝煙も。
「気持ちい~……」シャワーから出るぬる目のお湯は、熱を帯びた体に心地良かった。

 もう少し堪能したいが、残念ながら疲れの方が上回っている。
 バスローブだけを羽織って、ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。ソファに放り投げられたバッグの中で、携帯が何度もバイブしている。

「新堂さん……」私は夢の中でその電話を取っていた。
 そしてそのまま眠ってしまったのだった。


 どのくらい経っただろう、この部屋のドアをノックする音が聞こえた気がした。

「朝霧様、フロントでございます。朝霧様?」

 どこか夢の中の事のように感じて応じずにいると、再び声がする。
「早く開けてくれ!」別の声だ。どうやらもう一人いるらしい。
「っ、はい!」
 カードキーが差し込まれ、ドアが開かれた様子。一体何事だ?

 一人が中に駆け込んだ。
「朝霧、いるんだろう?」ああ、この声は知っている。
 その人はベッドに倒れ込んだ私を発見し、額に手を当てるとこう呟いた。
「全く恐れ入ったぜ……!」

 あまりに疲れていて、この人が誰で自分がどういう状況か、今は考えたくない。
 こんな緊張感のなさは、自分の本能が危険はないと判断しているからに他ならない。

 フロントマンが遠慮がちに部屋の外から声をかける。
「あの……救急車を呼びましょうか?」
「その必要はない。処置は俺がする。氷水とタオルを持って来てくれないか」
「かしこまりました!」
 フロントマンがいなくなったのを確認すると、その誰かは私を仰向けにしてバスローブを解いた。下には何も身に着けていない。

「こんな格好で……。お前は熱があるんだぞ?悪化したらどうする」
 呟きながらも胸に聴診器が当てられる。
 しばしの沈黙の後、「取りあえず解熱剤を打つぞ」と言った。
 ああ……注射は嫌だ、やめて!私の心の声などもちろんスルーされ、左腕に鋭い痛みが走る。
「ううっ……ん」

「朝霧?分かるか」
 うっすら目を開けると、私を覗き込んでいたのは貴島さんだった。
「貴島さん?待って……あなたがここにいる訳ない。やっぱり夢、見てるんだ……」
「夢じゃない。新堂の代わりに来たんだ。頭痛いんだろ?今解熱鎮痛剤を打った」

 貴島さんが肌蹴た前を閉じてくれた時、ちょうど背後のドアから声がした。
「お待たせしました、ご要望の物、お持ちしました」

「ああ、そこに置いてくれ」
「はい。あ、朝霧様!お目覚めですね、良かったぁ」私が目を開けているのに気づいて声をかけてきた。それにしても大袈裟に聞こえる。
「済みません、ご迷惑を……」一応謝罪しておこう。
「いいえ!本当に良かったです!」フロントマンは心底安心したように言う。

「少し様子を見て連れて帰る。チェックアウトを」
「かしこまりました、すぐに手配いたします」
 頭を下げると、フロントマンは部屋を出て行った。

「本当に夢じゃないみたいね。で、どういう事?」ようやく会話する余力が生まれた。
「GPSだよ。居場所はすぐに分かる。新堂のヤツが、お前が発熱してるって言うんだ。全く驚きだよ、声だけで判断するなんて?」と肩を竦める。
 ああ、そういう事か。
「何度も電話かけてたみたいだが、こんな状態じゃ出れないよなぁ」さすがは長年主治医を務めてただけの事はある!と関心している。
「全てはお見通し、なのよ。あの人にはね……」嬉しいような悔しいような。

「それにしてもあのフロントマン、やけに私の事気にしてたみたいだけど、何かあったの?」
 こう尋ねると、フロントに駆け込んだ時の事を教えてくれた。
 個人情報は教えられないと頑なに断られたため、強硬手段に出た事を。
 自分は主治医で患者には一刻の猶予もない、早く薬を打たないと手遅れになる!こう脅したとか。

「規則を優先するか人命を優先するかで、苦しんだんだろうさ」最後に締めくくる。
 それは申し訳なかった。もっときちんと謝罪すべきだった。
「色々とごめんなさい。私はもう大丈夫、あなたは帰って。早く新堂さんの側に……」
 今この人がここにいるという事は、彼が一人だという事だ。

「ダメだ。俺が連れて帰らないと、今度は新堂がお前を連れ戻しに来るだけだぞ?」
「それはもっと困るじゃない!」
「なら大人しく言う事を聞くんだな。仕事はもう終わったんだろ?」
「ええ……」両手で照明の眩しさを遮る。

「そうとなったら朝霧、さっさと着替えろ。その格好じゃ帰れない」
「……ああそうだった。って、貴島さんさっき私のハダカ見たよね?」絶対見られた!
 そんな事を訴えながら上体を起こした時、腰に激痛が走る。
「うっ!……っ」

 動きを止めた私を見て聞いてくる。「どうした?」
「腰が……痛くてっ」
「それは例の場所か?もしかして内部で炎症でも……って、よもやあっちか?おい、また足が動かないとか言うなよな?」
 慌て始める貴島さんをそれはないと宥め、手を貸してもらいながら起き上がる。

 その拍子に肌蹴ていたバスローブが落ち、半裸状態になってしまった。
「いやん……っ!」
「ちょっと腰、見せてみろ」
 落ちたローブをたくし上げて胸元に持って行く私。一方気にも留めずに後ろに回って姿勢を屈めそれを持ち上げる貴島さん。

「ちょっと……いいってば、見なくてっ」
 急に疲労感が襲ってくる。「ああダメ、……だるい……」体が後ろに傾く。
「おっとっ!」
 自分の方に倒れ掛かった私を支え、貴島さんが言った。「もういい。どうせ目視じゃ何も判断できんだろう。とにかく服だ服!どこにある?」

 一人で騒いでいた貴島さんだが、いつの間にか私に服を着せ終えていた。
 もはやぐったりでされるがままだ。そこへ再びフロントマンがやって来たようだが、もうすでに私の意識は闇の中だった。


 気がつくと薄暗い空間に寝かされている。
 ここが車の中だと気づいたのは、ハザードランプの点滅するカチカチカチ……という規則的な音が聞こえたからだ。

「おい、大丈夫か?」この声と共に、私の額に冷えた手が乗った。
「うう……ん……」何だか苦しい。そう伝えようとしても、だるさで声を出せない。
 左胸を押さえて訴えてみる。

「熱が高いな……。薬が全く効いてない。おい、そこ痛むのか?」
 良かった、どうやら通じたらしい。私は押さえた手に力を入れた。
 貴島さんが首筋に手を触れている。やっぱり冷たくて気持ちがいい。ただ脈を確認しているだけだろうが。
「し、新堂さ……」会いたい、言葉が続かない。

「ああ、もうすぐ会わせてやるから。もう少し我慢しろ」
 こんな言葉の後に車が走り出す。またも私は夢の世界に突入したのだった。


 次に意識が浮上したのは、下半身に冷気を感じたからだ。

「さてと。また、座薬でも入れるとするか……」
 遠くの方でこんな事を言われた気がする。
「しつこい熱にはこれが一番!すぐに楽にしてやるからな」

 横向きにされ両膝を折り曲げた格好になると、すぐに肛門に圧迫感がやってきた。
「ああっ、……何、するのよ……」ようやく声が出せた。いや、本当は出ていなかったのかもしれない。なぜなら答えは一言も返ってこなかったから。
「新堂さ、ん……っ」今すぐに抱きしめてほしい。

「やれやれ!こいつの頭の中には、ヤツしかいないんだな……」
 小さくそう言って、どこか寂しげに笑い立ち上がった貴島さんを、ぼんやりと眺める。

 すぐにその気配は消えた。
 そしてまたしても私はまどろみの中に引き込まれて行った。


 翌朝、ベッドで背伸びをして起き上がる。

「ふぁ~あ……。良く寝た!」
 昨夜の事はあまり覚えていない。「ん?何よ、これ……」
 自分の胸に付いた配線類を見下ろしていると、貴島さんが顔を出した。

「おはよう朝霧。具合はどうだ?熱は無事下がったみたいだな」モニターを見て言う。
「ちょっと!何これ」まるで重病人ではないか?
「何って、心電図モニターの配線だろ」
「そうじゃなくて、何で付いてるのって意味!」
 昨夜腰痛を訴えはしたが、どう考えても心電図は関係ないだろう。

「お前は発熱すると不整脈が出るから、念のためな」事も無げに言う。
「……早く取って」
「ああ。もう大丈夫だな」

 貴島さんが丁寧にそれらを外してくれるが、当然私は胸元を晒している。

「……。あんまり見ないでよね?」隠す訳にも行かず口で言うしかない。
「バカ、見なかったら取れないだろ」意に介さずの貴島さんに、「それでも!あんまり見ないでっ」と再度訴える。
「無茶苦茶言ってくるぜ、全く!」
「フンだ!」無性に腹が立つ。なぜかは分からない。

「おい、俺は医者だぞ?そんな事一々訴えるヤツがあるか。それも主治医に取る態度じゃないよなぁ?」
「誰が主治医よ」若干声は抑え気味になったが、反論を続ける。
「じゃあ、俺は何なんだ?」
「知らない!」もう支離滅裂だ。イライラして一方的に会話を打ち切る。

 こんな言い合いを聞きつけて、まなみが現れた。

「朝っぱらからうるさいわね~!二人とも、いい加減にしなさいよ?」
「おいまなみ、これはどう見ても朝霧が悪いぞ?」
「何よ、人の胸見まくってるそっちでしょ!昨夜だってハダカ見られたし……っ」そうだ、そうだった!自分で言っていて思い出す。
 他にも何かあったような……。

「あのなぁ……」
「ハダカ?!ちょっとソウ先生っ!まなみが寝静まった後に、ユイと何したの!」まなみが真っ赤な顔で叫ぶ。
「ばっ、バカ野郎、何もしてない!座薬をこいつの尻に入れただけ!」
 弁解のために言ったのだろうが、これがさらに私の怒りに火を点けた。
「っ!ちょっと、尻にって……勝手に何してくれてるのよ!」

 そこへ新堂さんまでが見に来た。「何を騒いでるんだ?」

「新堂さぁ~ん!」今や涙目の私。
 目が合うと不安そうに彼の瞳が揺れた。
 それでも「俺は入ってもいいのかな?」と主治医に確認するのを忘れない優等生な患者だ。
 頷くや否や、「聞いてくれよ、新堂。俺は無実だ!」と貴島さんが訴え始めた。
「一体どうした」

 私が一通り説明すると、新堂さんは途端に笑い出した。

「おい新堂、笑い事じゃないぞ!」まずは貴島さんが、そして私もすぐに応じる。
「そうよ笑い事じゃないから!大体何で座薬なのよ、それって子供にするんでしょ。嫌がらせ?それともエッチな事考えて……!」
 貴島さんが再びバカ野郎!と叫ぶ。

「まあまあ二人とも落ち着け」新堂さんが私達を宥める。

「まずユイ。おまえは解熱剤が効きにくいんだ。強力で即効性のある座薬の使用は間違ってない。むしろ注射嫌いのヤツには向いてると思うが?」
 ああ、私の味方はいないのか……。
 そう思って落ち込んだ時、彼が私の耳元で囁いた。「ただ……おまえの可愛いお尻が見られてしまったのは悔しいけどな」

 驚きのあまり、新堂さんを凝視したまま固まる。こんな事を言う人だったか?

「それから貴島。俺も昔はよく言われたよ。そんなの無視すればいいんだ」
 これまた予想外の言葉に、呆気に取られたのは貴島さんだけではない。
「ちょっと?新堂さんっ、無視は酷くない?」思えば散々無視された経験が……。
 勢い良く言い返したものの、今度はあまりに爽やかな笑みを向けられて慌てる。

「あっ……あのね、笑って誤魔化そうったって、そうは……」

 急に黙ってしまった私を横目に貴島さんが言った。
「こういう笑顔に、きっと世の女共はイチコロなんだろうなぁ」
 こんな言い分は、自分もその魅力を感じたという証拠だ。男の貴島さんですら見惚れさせてしまう、新堂和矢の悩殺スマイル!

 彼は確実に回復していた。それを、この笑顔が物語っているではないか。
 上手い事煙に巻かれた感じだが、もうどうでも良くなってしまった。


 その後私は、現在の主治医から三日間の安静を言い渡された。もう熱は下がっていたが、いざこざが終わったら何でも言う事を聞くと約束したので仕方がない。

 そして、まだまだ新堂さんを長時間独占する事は許されていない。にも関わらず、この日私達はこっそりベッドから抜け出し、主治医のいぬ間に会合を開いた。
 くれぐれも言っておくが、これの主催者は私ではない。彼が一刻も早く何があったのか知りたがったのだ。

 我らが主治医貴島さんは今、何も知らずにまなみと買物をしている。

「ねえ、もうベッドに戻ろうよ。こんな事がバレたら雷落ちるよ?また似た者同士って言われちゃう!」私はともかく、彼までもこんな事をしようとは?
 イーグルの件を一通り説明し終えて、先に怖気づいたのは私だ。

 全てを話せば昨年にまで遡ってしまうため、取りあえず三日前の侵入者の件から話した。締め上げた敵は逃がしたと。実際一人は逃がしたので嘘ではない。
 侵入者を吐かせてみれば、イーグルが関係しているらしい。そして元凶はマセラティ。それに乗ったヤブ医者に不具者にされたイーグルが、復讐のために探していたのだと。

「やっぱりあのメールの画像は別人だったんだな」主治医の雷の事など意に介さずといった様子で、新堂さんが言う。
「でも、もうあの頃の殺し屋イーグルは存在しない」
 私をしばし見つめた後、彼がうな垂れる。
「それはそうと、ここでそんな事があったとは……貴島に迷惑をかけてしまったな」

 これで私が、あの日何が何でも行きたがった気持ちは分かってもらえただろう。

「ユイ、……散々引き留めた身で何だが。感謝する、解決してくれて助かった」
 いいのよ、と首を横に振る。こういうのは私の仕事なのだから。
「だが、なぜわざわざイーグルの頼みまで聞き入れた?」
 彼にはきっと私の心境は分からないだろう。イーグルに同情してしまったなど。

「依頼されたから。それも百万ドルで!ただの人探しよ?断る理由ないでしょ」
 本音は語らずにこれだけ言った。
「なるほどね」意味深な目を向けられる。私はあなたの真似をしただけですから?

 貴島邸のリビングにて会話は続く。

「だけど驚きよ、キハラとイーグルが先輩後輩の仲だったなんて?」
「俺にはコメントのしようがないが」
 当然だ。「いいの、今のはただの独り言!それよりゴメンね、色々黙ってて。貴島さん口止めしたの私だから、あの人を責めないでね」
 彼は微笑んで頷いてくれた。

 どこか以前までの気性の荒さがなくなったような……と思ったのは勘違いだったようだ。
「それにしても熱があるのが分かってて、バスローブ姿で寝入るとはどういう事だ?」
 当時の状況はすでに貴島さんから聞いていたらしい。
「はい?」話の展開が急なのですが!
「あれだけ無茶するなと言ったのに……」彼の顔はたちまち苦悩を示す。

 だって暑かったしだるかったんだもん、と口から出かかった言葉を飲み込む。
「ごめんなさい!」

「一つ確認だが、おまえは貴島の事を男として意識してるのか」静かな声で言う。
「は?なっ、何よそれ、あるワケないでしょ!」どこからそんな発想が?
 目が点になる私に彼は続ける。「この間、朝に騒いでた件だ。医者に尻を見られたって怒る女はいない。だからユイは、あいつを男として見てるのかなと思っただけだ」
 彼は何ら怒りを示す事もなく、淡々とこんな事を言った。

 あんぐりと口が開いたまま、何も言えない。予想外のコメントだ。

「そんなふうに思われたなら誤解だわ!そんな訳ない。だって貴島先生は、あなたの大事な親友で、今は私達の主治医。ちゃんとそう認識してる!」
「本当にそうか?」
「私が子供なだけ……いつまでもこんな事言ってて、最低ね」

 究極に落ち込んだ私をフォローしてくれたのは、いつの間にか帰って来ていた貴島さんだった。

「朝霧、気にしなくていい。これからも言いたい事は遠慮なく言ってくれ」
 これが心からの言葉だとすぐに分かる。この人は本当にいい人だ。
「……ごめんなさい。私、恩を仇で返してるよね」
「気にするなって!俺達の仲だろ?なあ、まなみ!」

「そうよユイ、気にしないで!オトコはみんなエッチなんだから。だってね先生、たまにそういう雑誌見てるの、まなみ知ってるもん!」これは爆弾発言だ。
 途端に慌て出す貴島さん。「んな!何を言ってるんだ?こら、まなみぃ!!」
「きゃははっ!」
 まなみは笑いながら走って行った。それを貴島さんが追い駆ける。

 バタバタと二人の廊下を走る音が響いた。

「おいおい、ホントかよ!……待てよ、だとすると本当に欲求不満でユイの体が見たかったという可能性も?それなら話は別だ、おい貴島!話がある!」
「あ……、新堂さん!まだ走っちゃダメだよ?」

 彼まで二人の後を追い駆けて行ってしまった。呆気に取られるのが先で、塞ぎ込んだ気持ちはどこへやら消えていた。

「変なの。……何よ、私だけ反省して損した!って、起き出してた事何も言われなかったけど?寝てなくたっていいんじゃない!」


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