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学内実戦実習編

性悪猫かぶり女

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健治が迎えにきてくれたので足早に教室を出る。
「紅君、ちょっと話があるんだけどいい?」
エントランス前の広場で女の子に声をかけられた。
ちなみにその子を俺は知っていて、今最も会いたくない人物だ。
「何話って?」
内容のおおよそは見当付いているが一応聞く。
「今回の戦闘実習、私をチームに入れて欲しいの!」ほらやっぱり。
この女の子は雨宮 蓮菜と言う。いつも俺が式神のみ使える訓練場に連れて行かれる時に、人質役をしている子だ。
彼女は入学当初から俺に普通に接してくれていて、そこを今朝の男子学生に目をつけられて巻き込まれてしまっている。
というのが表向きの話で、実は率先して人質役を買って出て、裏で俺から巻き上げた金を受け取っている、ただのクズだ。
でも本人は俺が惚れていると思っているらしく、平気で話しかけてきたり、図々しいお願いという名の要求を突きつけてくる。
因みにこいつはこの学園で二桁を超える男と肉体関係になっているいう噂もある。
まぁ事実だけど。 

今まではこれ以上敵を作ると面倒くさそうだったから放置してきたが、コンや恵子さんをきてくれたし、これ以上相手にする必要もないよな。
「それは無理な相談だな」
「どうして?メンバーは健治君とメイドさんでしょ?後1人空いてるんだし私も入れてくれないかなぁ?」
俺思わず苦笑いしてしまう。
一回こいつを連れて行った時は最悪だった。色仕掛けや夜這いをし、健治のクラスメイト達の人間関係をめちゃくちゃに引っ掻き回し、食料水を惜しげも無く使い、そして肝心な戦闘の時に姿を消す。
健治達はお前は悪くないと言っていたが、そのせいで水が切れて川の水を飲むことになったんだけど、なぜか用意してた浄水用の錠剤だったりが無くなってて、メンバーのほとんどが腹を下しとその看病で2日くらい動けなくなってしまった。
後で食料水を管理してた雨宮を問い詰めたら、落としたとか言っていたが俺間違いなく隠して自分だけ使ってたと思う。思う。
そこにいたのが全員治癒術師だったから大事には至らなかったが、本当に申し訳ないと思う。
そのテストで俺らは生徒会を倒して1位になったので何もしていない彼女の成績もその分上がっている。
何とも度し難いことだが、前々から食料泥棒として噂が広がってるため学院生からは避けられている。
そんなことになっているのだから、相手にもされなかったのだろう。
それでノコノコと俺のところに来たってことだろう。
「まず雨宮さんが役に立つ要素はない。前回食料を運搬と管理する係だったのに、君は食料を寧ろ世水のように使っていて役割を果たせないような奴を次誰が誘う?」
「そんなふうに言わなくてもいいのに」雨宮が泣き始めた。
広場の真ん中で泣き始めたもんだから野次馬が集まり始めた。
まぁ外から見てたら、俺がちょっとかわいい女の子泣かせてるんだもんな。
俺が付いてこないことに気がついた健治が戻ってきたのか遠目からこっちを見守っている。
俺は健治にまだ来ないくていいと目配せした。
それと同時に1人の男子学生がやってくる。
「蓮菜どうしたんだい?」
「私前回仕事に失敗しちゃったから、今回チームに入れてもらえないって言われたのぉ」雨宮が男子に泣きついている。正直言って命に関わることで、パーティ参加を拒否されるくらいなら安いもんだと思う。だってこれ戦場や陰陽師としての仕事中なら完璧戦犯だからね?
「なんて酷いことを!ミスを挽回できるチャンスすら与えないとは君は鬼か!」声を張り上げていう。おそらく周りにこいつは訴えかけて無理やり組ませてまたいい思いをしたいだけだろう。

「なら貴方が組んであげればいいのではありませんか?」
黙って聞いていた恵子さんが当然の疑問を投げかけた。

「そりゃ彼女が彼と同じがいいと言ったからそっちが組むべきだろ!」
「坊っちゃまは断りになりましたので、それに貴方のような性悪猫かぶりビッチはたとえ坊っちゃまが許しても、私が許可しませんので。」
性悪猫かぶりビッチ、かなりのパワーワードが出てきたな。

「ピッチなんてひどい!なんてこと言うの」
「そうだ彼女はそんなこと言われるような筋合いはない!」
もうこっちが完璧に悪人に見られてるんだよなぁ。
「ピッチかと言う証拠になるかは怪しいですが、性悪猫かぶりの証拠ならございます。」
そう言って恵子さんは自分の頭に手をかざした。
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