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学内実戦実習編

割と知りたくなかった事実

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「おらぁ、くたばれ雑魚ガァ!」
「ぐはぁ」
俺は訓練場の壁に叩きつけられる。
「今日はこれぐらいで勘弁してやるよ」
そう言って俺を痛めつけていた学生は式神に俺の財布から金を抜き取らせて去っていった。
「はぁ」
俺は今17歳、国の陰陽師育成機関で陰陽師の候補生をしている。
ここに来てからは、痛めつけられてから、金をむしりとられる日々。
それもそのはず、俺が在学しているのは、式神使役科。なのに俺は式神と1体も契約いない。
学園で用意された式神と契約ができなかったからだ。
それからは無能と周りから罵られ、式神の訓練と称した暴力。
ここ式神の訓練用は特殊な結界が張られていて、この空間では、式神使役に関する術以外の術が無効化される。誰だよこんなもの作った奴。そこで毎日ボコボコにされる。
日によっては女子にもやられる。
教師達に訴え出たこともあったが、これの実行犯に学園長の娘が関わっていたので簡単にもみ消された。
流石に契約もできないなら、ここにいる意味もないと思い、実家に事の全てを伝えて退学させてもらう事をお願いしたら
[どうにか手は打つ、お前には式神使いの才能はあるから、知識だけつけて待ってろ、後仕送りは増やすから財布に入れとく額を少し減らしておけ。]ときたが、式も使えないのに才能があるとか訳わかんねぇな。
俺としてもあの約束は守りたいのでここにまだ居てもいいなら、ここで勉強したかったからよしとしてる。
実家からこの返答があって半年経つけどね。


この訓練場は訓練を終えると結界が消えるので傷を治癒の術式で癒すことができる。
とりあえず歩けるようになるまで回復したら保健室に行こう。
また変なふうに折れた骨が繋がったら治すの大変だろうし。
とか考えて治るのを待っていると法衣をまとった女性が訓練場に入ってきた。
この辺じゃ見ないうちの地元でよく使われている法衣を着ている。
「無様じゃの、あれだけ立派な陰陽師になると言っておったのにこのざまかぇ?」
クスクスと狐耳をつけた、金髪ロングのお姉さんが話しかけてくる。
「久しぶりだな、コン俺はまだ立派に陰陽師になるどころか他の式神との契約もできてない。いつになるかわからないけど、俺は君との約束守れるのかな?」
それを聞くと本格的に笑い出した。
「いやいやすまんな、立派な主人になる約束ならもう果たしておる。なんせ仮契約から正式に契約を結んでやるために来たのだからの」仮契約?そんなことした覚えはないけど。
「記憶にないって顔しておるな、そりゃそうさ。なんせわっちが勝手に仕込んだものだしのぉ、わっちというものがありながら先にほかの雑魚と契約されまいとしてやったのだが、それが原因でこんなことになるとは本当に申し訳ない。」コンが頭を下げてくる。
おいちょっと待て、お前が原因だったかぁ。まぁここにきてくれたってことは親父達は分かっていて、知らせてくれたのだろうけど。
「まぁ過ぎたことは仕方がないけど、正式に契約すれば多少は妖力にも余裕が出る?」
「仮契約は予約みたいなものだから、もともと大量の妖力を使う、だからかなり余裕が出ると思うぞ。」
ちなみに妖力は体内エネルギーで術を使うのに必須の力だ。
これを自然に外から取り込む術もあって、今まで俺は乏しい妖力を外部から取り込んで色々まかなってきた。
「正式に契約を結ぶと、俺のところにいるしかないがいいのか?故郷の村は大丈夫なのか?」そうコンをこっちにくる時一回誘ったが断られているのだ。理由はコンの親が許してくれなかったからなんだけど。うちの親は妖狐の長を説得したってことか。
「父上もわっちが懇願すれば意見などできるものか。1番の問題の村の防衛力低下だったのじゃが、それに村はそちの一族と専属契約してから、警備も行商人もつけてもらえて、大丈夫じゃよ」嬉しそうに尾をパタパタさせている。
「なら心配いらないな、これからよろしく頼む。」俺は親指から血を出してコンに差し出し、コンはそれを舐めた。
訓練場に赤い光で埋め尽くされる。
俺たちの契約が完了した。
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