上 下
30 / 66

30

しおりを挟む
「やっぱりおかしいんよ。こんなの厄日じゃ済まされない」
「どういうこと?」
「この高校やっぱり変なんよ。私が起こせないような命にかかわる危険なことばっか。しかも私が守り切れないなんて変、予知すら出来ないんよ」
 パキネは自分に不甲斐なさを感じているような表情をしていた。目を瞑り、悔しそうに唇を嚙みしめていた。
「俺に、悪霊がとりついているってことはありえない?」
「ありえない。悪霊はあたし全部みえてるんよ。疫病神がとりついてるブンに。わざわざ悪霊たちだって、とりつこうとはしないもんなんよ」
「でも、パキネより、っていうか疫病神以上に不幸を起こせる奴っているのか?」
 パキネが最悪のひらめきをした表情で、息を飲んだ。
「この世に七体いる……私より厄介な神が」
 一人で納得するパキネは大切なことを呟いた。
「七体って、七福神?」
「その逆」
「逆?」
「きっとこの高校、邪神がいるんよ!」
 聞き覚え名のない単語だった。
「じゃ、しん?」
 パキネは座ったまま、話を続けた。
「元は厄をもたらす神だから、疫病神とも血縁が濃いんだけど、邪神は神といえど、妖怪みたいなもので、今のところ現世には、この世に七体しかいないって言われている化け物なんよ」
「そんな化け物がなんで俺を襲うんだよ」
「現代では邪神は疫病神の天敵なんよ。邪神は自らの能力を高めるのに私みたいな疫病神とか貧乏神とか破壊神とか災いを呼ぶような神を食べて吸収して成長していくんよ」
「じゃあ狙いは俺じゃなくてパキネ?」
 パキネがやったと立ち上がって、スカートの中が見えた。ピンクだったのが意外で、一瞬、邪神のことなんかどうだってよくなったけど、パキネは話しを続けた。
「そうとも言えるけど、結局の狙いはブンなんよ。ブンを亡き者にすれば、私はまた霊界に帰ることになるんだけど、ブンがもし死ぬようなことになったら、セーブしていた本来の膨大な霊力をもつあたしのことを、そのタイミングで多分吸収したいんよ」
「吸収って、どうなるの?」
 俺も立ち上がって、ズボンの裾に着いたホコリをはらった。先生が階段の上から「大丈夫か?」と声をかけてくれたので「平気です」と答えたら、ぶつかった二人が「ホントゴメン」と言って頭を下げてくれた。
「で、吸収ってされるとどうなるの?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

処理中です...