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 レナちゃんほどじゃないけど、みんな姿勢がよく、俺たちに部活説明をする部長の女子以外の部員は、正座をし、立ち上がり、弓に矢を準備し、同じ型で弓を引いて矢を放つ。
初めて見る弓道の所作に、僕は完全に見とれていた。
 綺麗だ。だけど、弓を引いた女子部員の一人に、突如、蜂がまとわりつくように飛んでいて、焦った彼女の態勢が崩れ、矢を飛ばしてしまった。
 その矢が、俺に向かって飛んできた。一瞬の出来事だった。一秒もなかった。避けられない。反射神経が追い付かない。矢が刺さる。そう確信したら、怖くて、目を瞑った。
 痛いと思った。けど、予想していたほどの痛みじゃなかった。目をゆっくり開けると、パキネが素手で矢を掴んでいた。でも、一センチ間に合わなかったようで、左の太股の脇に矢の先がかすめて細長く四センチくらい傷になってしまっていた。
 パキネの腕から力が抜け、矢は床に落ちた。
「大丈夫ですか!」
 矢を放ってしまった先輩がそう言って駆け寄ってきた。
 痛みは大したことなかったけど、制服のズボンには穴が開き、血が滲みだした。
「だ、大丈夫です。ちょっとかすめちゃったみたいですけど」
「ブンくん!」
 レナちゃんが声をあげ、俺に寄り添って、今度はポケットティッシュを取り出し、止血してくれた。
 でも、そんなことより、パキネがうずくまって、磨き上げられた弓道場の床に倒れ込んでいた。
「パキネ!パキネ!おい!パキネ!」
 頭の中で叫びまくった。だけど、返事がない。
 ルキが、パキネを抱きかかえるように抱きかかえたら、パキネは薄っすらと目を開けて、俺と視線が合うと、ニヤッと力なく笑った。
 よかった。きっと瞬発的に霊力を使って、俺を守護したから、この前の車が突っ込んで来た時と同じで、動けなくなったのだろう。
「パキネ、大丈夫か?」
「ごめん。予知できんくて、矢の軌道変えられなかったんよ。ギリギリ掴んだけど、血、出ちゃったね」
「ありがとう。血は出てるけど、そんなに痛くないよ」
「うん。でも、ごめん」
 そう言うと、天使の腕の中で、パキネはぐったりとして、目を瞑った。
「コレって、ただの厄日なのかしら?」
 傷口を押さえながらレナちゃんがそう言って、どういうことだろうと思った。
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