もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

会田鉄夫と会食

クラインの壷

　時折、私は読者と作者はクラインの壷のようなものだと思っていることがあって、どっちがどっちだかわからないのであり、もっとも読むということは絶対に、書いてあること以外のことを思ってしまうことであって、それは避けられないのである。一方、書いている方は、そのものの核のようなもの芯のようなものを捉えつつ、前に進まないといけないというか、結果として前に進んだからそのものは書かれているのである。

　大切なのは……一体私はどうして知りもしない人にこんな話をするのか訳がわからないが……書かれているから読めるということであり、私も読まれるものをまたぞろ、そろそろ、書きたくなってきたからである。そして、その形式ということで言えば、小説が一番ふさわしいものであろう。というのも基本的に何を書いても自由だからであり、この場合、自由が担保されていることが大切である。というのも誤読の自由というものもあるからだ。

　愚行権というものがあって、人生のレールには全く関係のないことに熱中するのもその人の自由という考え方があるのだ。たとえば、私のように長時間かけて金にもならない文章を書き続けること、それもそうだろう。でも、人生というものはそういうある意味、ものにならない幅広さというものがあっても良いものなのだ。無駄がない人生というものは息苦しいからである。私は、だから、これから小説とは関係のないことをダラダラと書いてゆこうと思う。それは、小説というものが自由だからであり、人生というものが基本的には自由という属性を先に持っているからでもある。

　たとえば、今が西暦3000年としてそれが何であろうか。そこに住んでいる人々は同じ人生同じ人間同じ喜怒哀楽なのだ。生きていることに変わりはない。しかも、最近、「2022年保全活動」というものが行われている。というのも今の人たちにとって2022年こそ理想の年でありその時代のまんまに外観を保とうという運動が行われているのである。だから、ほとんど変わらなくなっているのだ。つまるところ、私はスピリットを描きたいのだ。それだけだ。