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私小説
インマヌエル哲学
しおりを挟む私の快進撃(?)は続いている。
「それから、成瀬大人は、こういうふうなことを言っている。神様が見えるというのは次元の低いことであり、神様の啓示を受けるなんてことは、やろうと思えばいくらでもできるんだ。
実は、私という存在は、神様とか、宇宙意識と同一なんだよ。神様も私も他人も同じものなんだよ。それを、明確にすることができるのが、瞑想なんだよ。
ということを言い出した。俺はこの話を聞いてすぐにピンと来た。これは、オショー・ラジニーシも同じことを言っている。彼は、「全体」という言葉を使っている。私は全体の一部であり、あるいは、全体そのものなのだ。だから、私は神である。私は悟りを開いた。そんなものは次元の低いことなのさ。
目覚めなさい。という言葉の中にはそういう意味があるんだよ。つまり、私はあなたであり、あなたは私なのだ。あなたは他人を羨む必要はないし、嫉妬する必要もないのだ。何故なら、他人を知った瞬間、それはあなたであるから……」
会田鉄夫は膝を叩く。
「俺もそれは思っていた。アイドルファンっているだろ。あれは、アイドルを応援しているのではなく、アイドルになっているんだとね」
「そうそう。そうなんだ。アニメファンもそうで、たとえるなら、エヴァンゲリオンになっているんだよ。あそこの登場人物になっているんだよ」
「そうだよな。全くそうなんだよ」
私は呼吸を整える。会田鉄夫と私は近所のレストランで食事をしていたが、あたりは流行病で閑散としていた。
「死んだ人を悼む時もそうで、あれは、死んだ人になっているんだよ。愛というものも、相手になっている。全ては全体が合一しているのだ。どうして、川に溺れている人を人は助けるのか?それは、その人になっているから。その人が自分だったら大変だろうと思うから。瞑想とは、全てを合一させること。一旦、全体に戻ることなんだ。全体とは宇宙意識などよりも上だよね」
「なるほど」
「そして、滝沢氏の説く、インマヌエル哲学もそうで、神様は、不即不離である。とね。つまり、これも全く同じことを言っているんだよ。我々は孤独ではないんだよね。たとえば、こういう小説を書いている。読んでいる人がいる。その段階で繋がっている」
「交流している」
「そうそう。このブログだってそうなんだよ。会田鉄夫も私もないんだよ。読者もないんだよ。全ては通じているから」
「全くだ」
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