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26.前半クローディア視点、後半ギルバート視点
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「んぅ……ギ、ギル、うぅん……も、もう……」
王都に向かう馬車の中。
相変わらず馬車の中で続く激しいスキンシップ。
「……ん、……気持ちいいのか?」
かすれた声で囁きながら、私の耳の外側をゆっくりと舌でなぞる。
ギルの骨張った手が私の腰を撫で上げる。
それだけで、私の体がじんわりと甘く疼く。
「ち、ちが……や、やめて……」
コノアがいるのに……。もう恥ずかしすぎて、めまいがする。
「俺の匂いをつけないとな……不安でしょうがない」
……匂いって、……マーキング?
頭がしびれて、体に熱が帯びていく。
ギルは私の首筋をチュッと強めに吸い上げた。
「ふぅ……で、でも、もうずっと……」
……馬車に乗ってからずっとこの調子だ。
「部屋は別にしているだろう? 寂しいんだ。慰めてくれ」
な、慰めてって!?
ギルは熱がこもった眼差しで、私の唇をペロリと舐めあげ、胸元のリボンを外そうと指をかける。
ダ、ダメ!!!! さ、さすがに、それは!!
「いい加減にしてください!!!」
……コノアの怒鳴り声が響き渡った。
「ですから! 未婚の身ですることではないでしょう!!」
……はい、その通りです。
私は恥ずかしくてうつむいていると、ギルは堂々とした態度でコノアに言い返す。
「ふん。マーキングの必要性は教えたはずだぞ。理解していないのか」
獣人は強者の匂いに敏感だから、ギルの匂いを私につけることで、敵を威嚇することができるらしい。それが私の身を守ることに繋がると説明してくれたから、私も納得したんだけど……。
「だからといって限度があるでしょう!!」
コノアとギルのにらみ合いが始まる……。
最近この一連のやり取りは恒例になりつつある。最初はハラハラしていたけど、ギルは少し楽しんでいるような気がしてきた。
前に、自分にここまで刃向かう奴は珍しいと呟いていたし……。そう聞いたとき、心がモヤッとしてしまったのは、思い過ごしだと思いたい。
ギルとコノアが言い合っているのを、どう止めようかと考えながら胸元の服の乱れを直していると……
馬車が止まり、王都に到着したことを告げる。ギルが窓の外を見ながら快活に笑っていた。
「よし、ようやく王都に着いたな。ディア、見てみろ!」
ギルの言葉で私は馬車の窓から外を覗くと……
窓のから見えた王都を囲う堅牢な城壁。高くそびえ立つ見張り塔。城壁から覗く砲台。城門の前では、複数の武装した騎士が立ち並ぶ。
こ、これは……都というより要塞では?
あまりの迫力に圧倒され思わず息をのむ。
「……あれは、鳥?」
空を見ると無数の鳥がなにかを伝えるように王都の上空を飛来している。
「ああ、俺が帰還したからな。出迎えているんだろう」
出迎える……? 鳥が……?
ギルは当たり前のように言いながら、上空の鳥を見つめていた。
馬車は王都の城門を通ると、そのまま王城まで辿りつく。ガルブレイス王国の王城は、フォンテーヌ王国の王城のような華美に装飾された造りではなく、おそらく軍事的な目的を優先して造られているのだと思う。一見武骨な印象を受けるが、城内に入ると精錬されたと調度品や、彫刻が随所に飾られていた。
すごい、城の外見と内城の印象が全然違う。
調度品も品があって洗練されているわ。
そういえばフォンテーヌ王国の王城の内城の装飾は権力を見せつけるようで、華美過ぎて目が痛かったわね。
そう思いながら、コノアと一緒にギルに連れられて城内を歩いていると……
「さて、うるさいのがいるな」
城内の執務室へ辿りついたギルは、部屋にいた青年に笑いかける。
「うるさいとは、ずいぶんな物言いですね」
そう答えた青年はつり上がった細い目をさらに細める。
スラリと伸びた背。少し幼さが残る顔立ち。
頭から生える黄金色の三角形の耳。
ふさふさした尻尾は先の部分だけ白くなっている。
き、狐?狐の獣人かしら?
手に持つのは、書類の束?
……ハッ! 机の上に書類が山のように積み上げられている!
「ディア、紹介しよう。この男はレーナルだ」
私はレナール様に挨拶をすると、レナール様は微笑みながら挨拶を返してくれた。
だけど、なんだろう。微笑みが冷たいような?
「レナール、ディアは俺の番だ。ようやく見つけることができたんだぞ!」
ギルは勝ち誇るように告げると、レナール様は、おめでとうございます、と言いながらうっすらと微笑んだ。
め、目が全く笑っていない!
口元も引きつっている!?
「ダレンから聞いていますよ。陛下が番と繋がって、ご自分の立場や責務を放棄して窓から飛び立ったとね」
お、怒っている! 怒っているわ、絶対に!
だ、だって、ふ、吹雪が! 吹雪がみえる!!!
「うむ、悪かった」
ギルは腰に手を当て、ふんぞり返るように謝った。
え……それって謝っているのかしら? 態度が、その態度はどうなの!?
ギルの態度を見て、レナール様の眉間にしわが寄る。私がハラハラしながら、二人をみていると、レナール様は怒りを鎮めるように眉間を手でこすり、静かな声で話しはじめた。
「政務が滞っております。急ぎの案件は今日中に判断を願います」
「分かった。すまないが、ディアは少し休んでいてくれ。落ち着いたら、使いをよこすから」
「えぇ、はい」
これは、迷惑をかけてしまっている……。
仕事が滞っているのは、やっぱり私のせいよね?
分かっていたことだが、ギルの負担になっている現実に打ちのめされる。
「あの、ギルが忙しかったら、私だけで王立図書館に行ってもいいかしら? ギルの負担になってしまうのは申し訳ないし……」
これ以上負担を増やしたくないと思い伝えると、レナール様が淡々とした口調で制した。
「その心配には及びません。夕刻に王立図書館長の謁見の場を整えております。謁見の場にクローディア様も同席してもらいます」
「……そ、そうですか……」
すべて任せっきりになってしまっている。
迷惑をかけてばっかりだわ。
レナール様の氷のように冷たい口調が胸にグサリと突き刺さる。
「俺は負担だと思ったことはないぞ。ディアは何も気にせず休んでいてくれ。……寂しいなら、俺も一緒に休もうか……」
ギルの発言で、また吹雪が!!
ひ、ひぃーーこわい。レナール様の目が怖すぎるぅ!
「い、いえ、大丈夫です!! ひ、一人で休めます!!」
私はレナール様の目から逃げるように、コノアと一緒に部屋を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇
ギル視点。
「調べがついたのか?」
ディアが出ていった扉を見つめながら、レナールに確認すると……
「そう、伺っております。……陛下のご明察通りかと」
冷静な口調で話しながらも、その声色に哀れむような感情が交じっている。
「……そうか、ディアに気を遣ってくれたんだろう。感謝する」
レナールは誤解されやすいが、昔から思慮深く、情が深い。ディアを引きとめたのも、彼女が一人で真実を知ることがないように配慮したのだろう。
「いえ、私ができることなど些細なことですから。……クローディア様には辛い現実ですね」
「ああ、だが俺が彼女を支える」
たとえ悲しみに打ちひしがれようとも、俺が必ず彼女の笑顔を取り戻す。そしてディアを傷つけた報いは必ず受けてもらう。
「……まずは仕事を片付けてくださいね」
ディアの一族を苦しめていたフォンテーヌ王国に対し、激しい憎悪の念を燃やしていると、レナールが目の前に書類の束を差し出してきた。
「ああ、面倒だがな。しかたないか」
責務を放棄する訳にもいかない。そう思い書類の山が築かれている机に目を向け、ため息をつきながら作業に取りかかろうとすると、
「陛下、今朝方、エーベルヴァイン卿より書状が届いております」
緊張した面持ちでレナールは封書を差し出す。
手渡された封書の封蝋に押印されている、蛇の紋章。
「……本物だな。俺が帰還したことを見計らったようなタイミングだな」
相変わらず薄気味悪い。まるで常に見張っていると知らしめるようだ。
「どう致しましょうか?」
「まずは、ディアの意向を確認してからだな。すぐに動きだせるように準備だけはしておいてくれ」
「承知致しました」
蛇の頂点に君臨する、蛇の王。
ヘイスティングス・エーベルヴァイン。
奴と対峙することは避けられないだろうな。
下手をすれば国ごと丸呑みにされかねない。
気を引き締めなければ……。
来たるべきその時に向けて。
王都に向かう馬車の中。
相変わらず馬車の中で続く激しいスキンシップ。
「……ん、……気持ちいいのか?」
かすれた声で囁きながら、私の耳の外側をゆっくりと舌でなぞる。
ギルの骨張った手が私の腰を撫で上げる。
それだけで、私の体がじんわりと甘く疼く。
「ち、ちが……や、やめて……」
コノアがいるのに……。もう恥ずかしすぎて、めまいがする。
「俺の匂いをつけないとな……不安でしょうがない」
……匂いって、……マーキング?
頭がしびれて、体に熱が帯びていく。
ギルは私の首筋をチュッと強めに吸い上げた。
「ふぅ……で、でも、もうずっと……」
……馬車に乗ってからずっとこの調子だ。
「部屋は別にしているだろう? 寂しいんだ。慰めてくれ」
な、慰めてって!?
ギルは熱がこもった眼差しで、私の唇をペロリと舐めあげ、胸元のリボンを外そうと指をかける。
ダ、ダメ!!!! さ、さすがに、それは!!
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……コノアの怒鳴り声が響き渡った。
「ですから! 未婚の身ですることではないでしょう!!」
……はい、その通りです。
私は恥ずかしくてうつむいていると、ギルは堂々とした態度でコノアに言い返す。
「ふん。マーキングの必要性は教えたはずだぞ。理解していないのか」
獣人は強者の匂いに敏感だから、ギルの匂いを私につけることで、敵を威嚇することができるらしい。それが私の身を守ることに繋がると説明してくれたから、私も納得したんだけど……。
「だからといって限度があるでしょう!!」
コノアとギルのにらみ合いが始まる……。
最近この一連のやり取りは恒例になりつつある。最初はハラハラしていたけど、ギルは少し楽しんでいるような気がしてきた。
前に、自分にここまで刃向かう奴は珍しいと呟いていたし……。そう聞いたとき、心がモヤッとしてしまったのは、思い過ごしだと思いたい。
ギルとコノアが言い合っているのを、どう止めようかと考えながら胸元の服の乱れを直していると……
馬車が止まり、王都に到着したことを告げる。ギルが窓の外を見ながら快活に笑っていた。
「よし、ようやく王都に着いたな。ディア、見てみろ!」
ギルの言葉で私は馬車の窓から外を覗くと……
窓のから見えた王都を囲う堅牢な城壁。高くそびえ立つ見張り塔。城壁から覗く砲台。城門の前では、複数の武装した騎士が立ち並ぶ。
こ、これは……都というより要塞では?
あまりの迫力に圧倒され思わず息をのむ。
「……あれは、鳥?」
空を見ると無数の鳥がなにかを伝えるように王都の上空を飛来している。
「ああ、俺が帰還したからな。出迎えているんだろう」
出迎える……? 鳥が……?
ギルは当たり前のように言いながら、上空の鳥を見つめていた。
馬車は王都の城門を通ると、そのまま王城まで辿りつく。ガルブレイス王国の王城は、フォンテーヌ王国の王城のような華美に装飾された造りではなく、おそらく軍事的な目的を優先して造られているのだと思う。一見武骨な印象を受けるが、城内に入ると精錬されたと調度品や、彫刻が随所に飾られていた。
すごい、城の外見と内城の印象が全然違う。
調度品も品があって洗練されているわ。
そういえばフォンテーヌ王国の王城の内城の装飾は権力を見せつけるようで、華美過ぎて目が痛かったわね。
そう思いながら、コノアと一緒にギルに連れられて城内を歩いていると……
「さて、うるさいのがいるな」
城内の執務室へ辿りついたギルは、部屋にいた青年に笑いかける。
「うるさいとは、ずいぶんな物言いですね」
そう答えた青年はつり上がった細い目をさらに細める。
スラリと伸びた背。少し幼さが残る顔立ち。
頭から生える黄金色の三角形の耳。
ふさふさした尻尾は先の部分だけ白くなっている。
き、狐?狐の獣人かしら?
手に持つのは、書類の束?
……ハッ! 机の上に書類が山のように積み上げられている!
「ディア、紹介しよう。この男はレーナルだ」
私はレナール様に挨拶をすると、レナール様は微笑みながら挨拶を返してくれた。
だけど、なんだろう。微笑みが冷たいような?
「レナール、ディアは俺の番だ。ようやく見つけることができたんだぞ!」
ギルは勝ち誇るように告げると、レナール様は、おめでとうございます、と言いながらうっすらと微笑んだ。
め、目が全く笑っていない!
口元も引きつっている!?
「ダレンから聞いていますよ。陛下が番と繋がって、ご自分の立場や責務を放棄して窓から飛び立ったとね」
お、怒っている! 怒っているわ、絶対に!
だ、だって、ふ、吹雪が! 吹雪がみえる!!!
「うむ、悪かった」
ギルは腰に手を当て、ふんぞり返るように謝った。
え……それって謝っているのかしら? 態度が、その態度はどうなの!?
ギルの態度を見て、レナール様の眉間にしわが寄る。私がハラハラしながら、二人をみていると、レナール様は怒りを鎮めるように眉間を手でこすり、静かな声で話しはじめた。
「政務が滞っております。急ぎの案件は今日中に判断を願います」
「分かった。すまないが、ディアは少し休んでいてくれ。落ち着いたら、使いをよこすから」
「えぇ、はい」
これは、迷惑をかけてしまっている……。
仕事が滞っているのは、やっぱり私のせいよね?
分かっていたことだが、ギルの負担になっている現実に打ちのめされる。
「あの、ギルが忙しかったら、私だけで王立図書館に行ってもいいかしら? ギルの負担になってしまうのは申し訳ないし……」
これ以上負担を増やしたくないと思い伝えると、レナール様が淡々とした口調で制した。
「その心配には及びません。夕刻に王立図書館長の謁見の場を整えております。謁見の場にクローディア様も同席してもらいます」
「……そ、そうですか……」
すべて任せっきりになってしまっている。
迷惑をかけてばっかりだわ。
レナール様の氷のように冷たい口調が胸にグサリと突き刺さる。
「俺は負担だと思ったことはないぞ。ディアは何も気にせず休んでいてくれ。……寂しいなら、俺も一緒に休もうか……」
ギルの発言で、また吹雪が!!
ひ、ひぃーーこわい。レナール様の目が怖すぎるぅ!
「い、いえ、大丈夫です!! ひ、一人で休めます!!」
私はレナール様の目から逃げるように、コノアと一緒に部屋を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇
ギル視点。
「調べがついたのか?」
ディアが出ていった扉を見つめながら、レナールに確認すると……
「そう、伺っております。……陛下のご明察通りかと」
冷静な口調で話しながらも、その声色に哀れむような感情が交じっている。
「……そうか、ディアに気を遣ってくれたんだろう。感謝する」
レナールは誤解されやすいが、昔から思慮深く、情が深い。ディアを引きとめたのも、彼女が一人で真実を知ることがないように配慮したのだろう。
「いえ、私ができることなど些細なことですから。……クローディア様には辛い現実ですね」
「ああ、だが俺が彼女を支える」
たとえ悲しみに打ちひしがれようとも、俺が必ず彼女の笑顔を取り戻す。そしてディアを傷つけた報いは必ず受けてもらう。
「……まずは仕事を片付けてくださいね」
ディアの一族を苦しめていたフォンテーヌ王国に対し、激しい憎悪の念を燃やしていると、レナールが目の前に書類の束を差し出してきた。
「ああ、面倒だがな。しかたないか」
責務を放棄する訳にもいかない。そう思い書類の山が築かれている机に目を向け、ため息をつきながら作業に取りかかろうとすると、
「陛下、今朝方、エーベルヴァイン卿より書状が届いております」
緊張した面持ちでレナールは封書を差し出す。
手渡された封書の封蝋に押印されている、蛇の紋章。
「……本物だな。俺が帰還したことを見計らったようなタイミングだな」
相変わらず薄気味悪い。まるで常に見張っていると知らしめるようだ。
「どう致しましょうか?」
「まずは、ディアの意向を確認してからだな。すぐに動きだせるように準備だけはしておいてくれ」
「承知致しました」
蛇の頂点に君臨する、蛇の王。
ヘイスティングス・エーベルヴァイン。
奴と対峙することは避けられないだろうな。
下手をすれば国ごと丸呑みにされかねない。
気を引き締めなければ……。
来たるべきその時に向けて。
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