狐、始めました。

怠惰

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神話時代

怒り

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 その時、急に小娘の纏う雰囲気が一変した。

 目を細めた小娘が纏う魔力、妖力、神力があり得ないほど上昇して髪が伸び手足に銀色の毛が生えてくる。

 次第に小娘は一匹の狐になった。それもただの狐ではない。
 身体の大きさが数百メートルほどになり全身光加減で蒼にも見える美しい毛並み。
 水色の瞳に本来あるはずの尻尾の代わりに妖力が具現化した半透明の大きな尻尾が1本。

 その周りにありえない程の神力と妖力が混ざった魂のような形の各属性に帯びた塊が11個。

 更には周囲の空の天候が悪くなり雷が鳴り響き嵐が吹き荒れる。

 ふと下を見ると地面が凍りついていた。

 ところどころで地割れも起きている。

 だが温度は異常に高くなったり低くなったりを繰り返している。
 空間がところどころ捻じれ、音や光が強制的にねじ曲がり5感が機能しなくなる。

 木々は荒れ、日差しが強くなり、重力が重くなる。
 それはまるで全属性の自然現象が同時に起きてるようだ。

「な、なんだこれは……」

「隊長!この現象はこの場所を中心に世界全体で起こっています!」

 5感が正常に機能せず崩れ倒れた男は思わずそうつぶやいた。

 そこに現象理解を得意とする中位神がそう言うも5感が正常なものが誰一人としていないので誰にも伝わることはない。

「1人でここまでの影響力があるだと……。まるで最上位神ではないか……」

 その強大さに圧倒されるも直ぐに正気を取り戻し配下のものに念話で指示を出す。

「怯むな! 所詮は劣等種! さっさとこいつを殺せ!」

 しかし、頭では理解しても誰一人として動くことは出来ない。




~リュート視点~

 ダンジョンが割れる。この天災の中心地から離れれば離れるほどその影響は薄まるらしいが最も影響が小さい地でもその被害は馬鹿にならない。

 ダンジョン内の環境が変わる。

 神聖王国の方にこの世の者とは思えない程のの気配がする。僕はそれだけで何が起こったのか理解する。

「これがエラ様の権能なしの本気」

 リルがそんなことを思わずと言った口調で呟いた。

「やはり神聖王国がエラ様に喧嘩を売ったか、……。全く! そんなに滅びたいなら神聖王国だけで滅びろよ! これいくつかの村や町、国は滅びるだろ!」

「リュートさん、口調が乱れてますよ。」

「おっといけない。全く……無表情だけど見た目通り超絶温厚なエラ様をどうしたらここまで怒らせられるのでしょうか……」

 私達はそのままダンジョンが崩れないように全力で、魔法を使い続けた。



~コクガ視点~

 なんだこの自然現象は。今まで長く生きてきたがこんなの見たことない。

「ねぇ~コクガ~これ大丈夫なの?」

「お父様これは何なのですか?」

「我にもそんなこと分からん……」

 ハクアがのんびりとした口調で、リアも普段と同じ口調で我に訪ねてくる。

 だが二人共我の腕に引っ付いて離れない。強がっているのがバレバレだぞ……かわいい奴らめ。

 そんなことを思っているとレグが慌てて部屋に入ってきた。

「お父様! お母様! 原因がわかりました!」

「そうか! では原因はなんだ!」

「エラさんがキレた影響らしいです」

「ろ…は?」

「え~と、リュートが言うには神聖王国が自分たちの所有地だと主張していたスカイガーデンと名付けられた空島があったのを覚えていますか?」

「あ~あれね!結界で中には入れなかったけど中は神秘的な森林や庭のような物があったところね!」

「ああ、いつからあったのか知らないが本当にきれいな場所だったな。神聖王国以外のところにあったのなら外交で交渉などしたのだが……」

「お父様……ある意味あの島があそこにあって良かったかもしれませんよ。」

「どういうことだ。」

「リュートが言うには、あの空島はエラさんがリュートに神主の立場を譲り、神になった時自分の家を作るためにあの島を創ったそうです。あの島の中央にエラさんの家があるらしいですよ。」

「あの家はあそこにあったのか……。我が行ったときは転移で連れて行ってもらったが、全く気づかなかったな……」

「で? それと、エラちゃんが怒るのになんの関係があるの?」

「お母様、神聖王国があそこを本当に私物化しようとして結界を壊そうとしていました。ここからはリュートの解析の能力で調べたことですが……。上位神を含めた数十柱の神で結界にヒビをつけれたそうです。そこでエラさんが出てきて、この島を創り、ここに住んでいるから辞めろと神々に言ったそうですが、相手はエラさんの能力を確認せず、気配と見た目で上位神だが、自分達より若く弱い神だと勘違いし下等生物は言うことに従えや奴隷にしようなどと口走りエラさんがキレたそうです。獣化までして完全に本気です。そしてこの異常気象ですがエラさんが本気になり、漏れ出た魔力や妖力、神力に当てられた結果だそうです。ですが、幸いにして権能は使っていないそうですね」

 魔王城が今にも崩れそうな音がなっている。

--神聖王国……。

「あれだね……。普段温厚な人を怒らすと怖いって言うけど本当だね……」

 ハクアが我に抱きつく強さが増した。

--いや折れる。

 我はこのとき誓った。我も早く上位神になる……と。




~初代元神主~

「何がどうなっている!」

 俺の目の前にいる、今代の人種の32代目神主がそう叫ぶ。

「先程念話が入ってきましてあの島は他の上位神が創った家だそうでそこに住んでいた上位神と戦闘になったそうです。この現象はその上位神が起こしたものだとか」

 奴の部下がそう答える。ここには今上位神10人と我とこの神主しかいない。他はあの結界破りに出払った。あれほどの強力な結界。何かしら神が絡んでいるとはわかっていたがまさかただの家だったとはな……。

「そんな者さっさと始末せんか!」

「それが以上に強いらしく、狐種の神で情報によると狐種の初代元神主だそうです。」

「狐種の初代神主か……。我と同じぐらいの歳なんじゃねーか?それかそれより上だな。」

「まさか。初代様より年上の者などいないでしょうに。」

我は今年で9000歳になる。だが…。

「魔王や竜の初代神主は我より何万年も年上だぞ?」

「そうなのですか!?」

「まあ、力はわからんが」

 そんな話をしていると天井を突き破り隊長を任せていた5代目神主が血を吹き、下半身と、上半身の半分が無くなった状態で、突っ込んできた。
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