人生詩集

多谷昇太

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海外放浪編

コブレンツ古城(4)

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城兵たちはいまドアを開けて告げた。「お前は死病だ。もういくばくもない」と。
何ステージだか、けっこうな胆管ガンを告げられて、俺はいまここにいる。
明日がガンの手術で、ひょっとしたらひょっとするかも…。
さあ、どうしよう…?そうだ…

「おい、ちょっと待ってくれ」と俺は帰ろうとする城兵たちを呼び止めた。
「俺は行く。あんたらといっしょに巨人のもとへ。対決するから連れてってくれ」。
城兵たちは顔を見合わせた後、鷹揚に俺にうなずいて、「ついて来い」と一言。
しかし手で首を切る仕草をして「こんど逃げたら、これだぞ」とばかり、腰の剣をつまんで鞘にもどしてみせた。

(時空転化)

うなされている同室のホステラーを残して、俺は城兵たちの後をついて行った。「いい夢に変わるよ」と一言を彼に云って。
表でシェパードの吠え声がしない。ということはドアを閉めた途端に城は中世に戻ったということで、
さらにということは、表には…

       【城兵たち…逃げることを許さぬ運命の執行者たち】
by Gioele Fazzeri
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