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第二章 デュランス河のほとりで
山倉タクシー登場
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川に投げ込まれようとしただと?こんな幼気ない(いたいけない) 子を…思わず抱き上げて「かわいそうに!も、もう大丈夫だからね。遅くなった…小父さんが悪かった」と告げては涙ぐみもしてしまう。しかしその「遅くなった」という言葉を聞き咎めて連れを介抱していた女性が「あの、遅くなったって…あ、あなたは、その…この子のお知り合いですか?」と聞いてきた。「はい…」私が説明しようとすると下の車道に停車した車(さきほどのゆっくりと近づいて来た車だ)のドアが開いて男が声をかけてくる。「おい、どうした?終わったのか?」濃霧のために我々の姿をよく確かめも出来ずに聞いてきたようだ。剣呑な内容のその問いに私と一瞬顔を見合わせてから「誰ですか?あなたは。終わったのかって何のこと?」と女性が訊くのに「なに?女?…ちっ、いったいどうなっているんだ?」とばかりに鉄柵を乗り越えてこちらに上って来ようとしたがしかしこの時さらにもう1台の車がうしろに来て停車しバザーランプをたいた。車の屋根におぼろに浮かんだ行灯(あんどん)から見てタクシーのようだ。「やあ、今晩は。どうしました?堤の上になにかあるんですか?」などとおせっかい極まりないことを聞いてくる。決まり悪げにまた苛立たしげに男はもう一度鉄柵を乗り越えて車に戻りそのドアに手をかけながら「い、いや、何も…ちょっと小便をしようと思っただけだ。だが、もう止めた」と吐き捨てるように云い残してから、そのまま車を急発進させ走り去ってしまった。一方タクシーは動かずに停車したままである。
【感が当たった。ミッドナイトは俺のテリトリーだ。山倉タクシー、参上したぜ。↓from pinterest】
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