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第二章 デュランス河のほとりで
月明り
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それに何よりかによりこの日本ほど子供の誘拐に対して厳しい目を持つ国はないのだ。世間の弾劾が至って厳しくごく偶に身代金目当ての誘拐があってもほぼ100%検挙され犯人が成功した試しがない。唯一問題なのが幼児性愛異常者による犯罪でこちらの方は近年増加傾向にあると聞く。しかしそれにしたって女の子の手を引いていた40年配の男の身なりは隆としたものだったし性格異常者などという雰囲気はなかったのだが…ただそれを云うよりはもっと気にかかることが実はあって、あの折り通りがかりに私を一睨みしていったあの男の目が何と云うか、実に精悍できついものだったのだ。それを例えるなら、そう、魔王?とでもいうような…。ま、もっともそれにしても何にしても考え過ぎだろう。おっつけ2人が歩いて行った先の、川の手通りを左折したあたりの家に住む親子連れなのに違いない。無用な詮索は止したがよかろうとばかり横たえた身体を反転させて窓側を向く。帰った早々大きく開けた窓から中秋の名月の月明りが差し込んでいた。今さらのように帰宅後台所の灯は点けたが部屋のそれは暗いままだったことに気づく。しかしそのお陰で月の光が窓側の壁に掛けた絵を神秘的に浮かび上がらせていた。その絵というのは実は私が描いたもので、一人の若い女性の肖像画であった。それは忘れようにも忘れられない、今からおよそ20年前に夢の中で出会った少女のもので、自らをA子、渋谷少女A子と名乗っていた。その夢の余りの強烈さに少女をいつまでも止めたく思い、苦労に苦労を重ねて何とか描き上げたイメージ画だった。それが月明りに照らされて私をじっと見つめている。
【私の描いた実際の絵は油絵でこれとはまったく違っていますが一応これをその絵と思ってください。こちらはpinterestに掲載された作品を勝手にお借りしたものです(しかしホントにいい作品ですね)↓】
【私の描いた実際の絵は油絵でこれとはまったく違っていますが一応これをその絵と思ってください。こちらはpinterestに掲載された作品を勝手にお借りしたものです(しかしホントにいい作品ですね)↓】
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