多谷昇太「歌詞集」

歌謡曲・唱歌の章

あたい名はB…なめんなよ

「東京ひとりぼっち」
（一）
あたい野良猫　東京の　飛び出て来たの　お家から
きょうは新宿　あす渋谷　いいことなんにもありゃしない
生きるのホント　つらいのよ　ああ、東京一人ぼっち

（ニ）
つめたい街さ　東京は　みんなすまして　知らんぷり
ジングルベルや　ハロウィンの　祭り騒ぎは　知らぬこと
人などホント　勝手だな　ああ、東京一人ぼっち

（三）
ビルのあかりを　見あげてりゃ　知らず涙が　にじみ出る
帰りたいけど　帰れない　母さんあたいを　見捨てたよ
何さ捨てたは　このあたい　ああ、東京一人ぼっち

（四）
あたい負けない　東京に　負けりゃみんなが　踏んで行く
宇田川行って　同じ子見つけ　その子の面倒　見てあげる
どうせあたいら　Ｂ級さ　ああ、東京一人ぼっち

〔セリフ〕
「あちし名はＢ、Ｂ級さ。それでもダチ公見捨てやしない。そん子の心、大事に大事にしてあげる。暖（あった）めてやる。冷たい、嘘ぱっちの大人社会なんて、大嫌いだ！一人ぼっちでも……筋を通すよ」

　　　　　　　　　　　【東京ひとりぼっち、イメージ】

「ちきしょう！おまえらもこいつ（私）も、大人はみんな嫌いだ！嘘っぱちだ！Ａ子に助けてと云った覚えもない。あたいを殺すなら、さっさと殺しやがれ！」。すっかり切れたＢ子がアスラーに向かって云い放つ。スケ番格で、渋谷で自分と同じ家出少女らの面倒を見ていたＢ子。時代時代の社会の本音や毒に染まりがちな、又それ故に迷妄と自己矛盾に陥りがちな娘であると、さらには…（当アルファポリス掲載、小説「渋谷少女Aーイントロダクション」より）

　　　　　　　　　　　　　【渋谷少女B子、イメージ】