自らを越えて 第一巻

多谷昇太

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丹沢行(2)守護・指導霊の出現?

天の助け

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竜二とやらが「へー、さすがだね、オートモさん。あんたのことは2人から聞いてるよ。いつか御目文字したいと思っていたんだ。けどなオートモさん…」と絡んでくるのに「人の名前を変に伸ばして云うな!」ついに大伴さんが爆発気味に云ってしまう。俺は内心でくやしくてしょうがない、自分に!である。「おお、こええ。けどよ大伴さん、このカナとミカはよ、俺たちのダチなんだ。そのダチとこうやって偶然会ったのによ、少しぐらい話しするのがなぜ悪い?」「偶然とは思えないわね。話からすると…とにかく、私たちには登山計画というものがあるのよ。悪いわね。すぐに行かせてもらうわ。村田君」「はい…」もう吹っ切って行こうとしたその時に下から別のパーティが登って来た。「こんにちはー」20才前後の男ばかり4人のパーティである。大平橋手前の2メートル滝を登った地点で族と問答していた大伴さんが下から上がって来る一行に「あ、はい。こんにちは。すいません、ルートを塞いでしまって」と笑顔で答えてから「ほら、カナとミカ、村田君、登攀、登攀。私たちだけの沢登りじゃないのよ。行った行った!」と命令を下す。さても今度こそ俺は脇目もふらずに沢を登り出しカナとミカも「竜二、悪いな」「バーイ、竜兄ぃとサブ。大伴さん、恐いから盾突いちゃダメだよ」とそれぞれ云い残したあとで俺の後を歩き出した。ただ「おう、カナ。じゃ後でまたな」という竜二の最後の言葉と「オゥーッ!オートモさん、怖い!♫オートモさんの場合は余りにも冷たい(1969年のヒット曲、新谷のり子の「フランシーヌの場合は」を捩ったのだろう)♬ハハハハ」と大声で替え歌をしてみせるサブの野卑さが気になったが…。

【大平橋写真。手前の岩の上に大伴さんが居た分けです。※ネット上からAYコーナー山ブログNo2さんの写真をお借りしました】

 

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