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黒い霧
アルチュール・ランボー
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しかしよくよく原詩を吟味してみるならば、恐ろしくも情けなくも、『これは俺だ』と認めざるを得ないものがある。昨今は〝ふれ合い〟なる言葉がトレンドなようだが、本来人というものは「人間」という表記からも自明なように、人と人の関わりの中に於てこそ存在意義があるというか、その面目躍如を果たし得るものである。にも拘らず孤独の名のもとに、人間としてのその本地に立てないものならば、恰も(魂の)呼吸が出来ない状態に陥る…と云えばオーバーになるが、それこそ自己中毒のような塩梅となってマルドロールの所業の如きものに転化しかねない。これを換言すれば人間というものはそれほどに他者との関係を求める、必要とする生き物なのにも拘らず、それが叶わなければ斯く奇形化さえしてまうということなのだ…。
ところでここに記した「外つ国」とはランボーの詩、いやランボーの放浪に憧れる余り、漠然とではあるが、自分のこの孤独癖という奇形を矯正する為には、一度日本を飛び出して外国を放浪するぐらいの刺激が必要か…などと思い始めていたことによるのだが、詩上では早くもその外国への旅(というか実際は逃げ!)が既に実現しており、なお且つその地でも非人扱いされるだろうことを危惧している始末である。しかしそのような詩の設定や、まして外国での放浪旅云々などはここでは拙速に過ぎるというものだろう。なぜならその実行となると、この拙小説の終い章あたりのこととなるのだし、彼の地での沙汰となるとこれはもう小説そのものを改めなければならなくなるからだ。重ねて、拙速な話の展開はすまい…。
【アルチュール・ランボー】
ところでここに記した「外つ国」とはランボーの詩、いやランボーの放浪に憧れる余り、漠然とではあるが、自分のこの孤独癖という奇形を矯正する為には、一度日本を飛び出して外国を放浪するぐらいの刺激が必要か…などと思い始めていたことによるのだが、詩上では早くもその外国への旅(というか実際は逃げ!)が既に実現しており、なお且つその地でも非人扱いされるだろうことを危惧している始末である。しかしそのような詩の設定や、まして外国での放浪旅云々などはここでは拙速に過ぎるというものだろう。なぜならその実行となると、この拙小説の終い章あたりのこととなるのだし、彼の地での沙汰となるとこれはもう小説そのものを改めなければならなくなるからだ。重ねて、拙速な話の展開はすまい…。
【アルチュール・ランボー】
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