10 / 13
3人のアポ(1)の続き
危ない!カナが滑落…
しおりを挟む
さて、いよいよ最後の最後、よく人がすべって滑落する一枚岩に来た。いかにも一気に上ってくださいとでも誘っているような、滑り台にも似た中央部を避けて左側の窪みを上って行く。その際にその旨を後続の3人に伝えたのだが「なに、こんな岩」と嘯くカナの声が気になった。3人上り終わっても俺は気になって岩の淵に立って最後のカナを待っている。カナは「そこをどけよ」と云いざま滑り台を一気に駆け上がって来た。まったく、ホールドも何もないところを危ないなと思った刹那右足を滑らせたカナが滑落しそうになった。「危ない!」と云いざま俺は姿勢を低くしてカナの右手首をつかみ力まかせに一気に身体を引き上げた。最後の岩を上り終わったと云ってはミカと喜び合っていた大伴さんがすっ飛んでくる。まさかカナが云うことを聞かずに滑り台を駆け上って来るとは思わなかったのだ。まだ俺の右手を両手でつかんだままで自失気味のカナに「カナ!このバカヤロ!なんで村田君の云うことを聞かないの!」と叱り飛ばす。しかしそう云いながらもカナの身体を確保するように支えながら「あー、でもよかったあ…村田君ありがとね。もしカナが落ちてたらあたし…」とカナの無事に安堵することしきりである。いまさらのように寄って来たミカともども俺たちを岩の淵から奥へ誘おうとするが、ようやく自分を取り戻した風のカナが平然を装って「へん、何よ、大伴さん、大騒ぎしないでよ。ちょっと足を滑らせたぐらいでさ」と云うのに「何を云ってるの!ここから下を見てごらん!」と、再び剣幕を起こしてはカナに下を指差す。下から見ればさほどでもない大岩だが上から見ると結構な高さである。もしここを転げ落ちていたら無事では済まなかったろう。
【一枚岩の写真。ネット上の渓人「流」さんから拝借しました】
【一枚岩の写真。ネット上の渓人「流」さんから拝借しました】
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
赤
伊賀見 和帆
青春
体質的な問題で不意に鼻血が出てしまう佐島(さとう)は、そのせいでなかなか学校生活に馴染めずにいた。そんな中、罰ゲームという名目で後輩にちょっかいを掛けてしまった須々木(すずき)という2個上の3年の学生と望まれない関わりを持ってしまう。性格も真逆、相容れないふたりが織りなす、不思議なスクールストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる