渋谷少女Ａイントロダクション

復仇の女王、Ａ子の変容「おのれ、うからめ…」

それにも拘らずいまＡ子しか頼る術（すべ）のないこの境遇でそのＡ子をも切ってしまったＢ子…一瞬間を置いて流石（さすが）にしょげ返り、「ちきしょう、此処はいったい何処だい？渋谷だろ？だったらあたいのダチ公は何処に行った？仲間に会いたいよう…」と一人ごつ。こんな惨めなＢ子にも拘らず魔王の意を得ようと先程の男が「アスラーの旦那、この子の仲間に俺たちがなってあげましょうか？」、つまり廻しましょうか？などと云ってしゃしゃり出る。「Ｂ子を抹殺する」という魔王の言を捉えてのことだったがその瞬間、魔王は知らず、Ａ子の身に異変が起きた。Ａ子のオーラが赤く染まった気がし、隣の私は熱いとさえ感じた。魔王の横に彼と等身大の鬼女が現れてすぐに消える。誰の仕業かしゃしゃり出た男が遠くへと投げ飛ばされ、立ち上がってそれを見詰めていたＡ子の顔に群集が凍り付く。この娘の何者たるかを悟ったようだ。アスラーが我が娘と呼ぶのも強ち嘘ではなかった。光の器の大きさに目を付けた魔族らがＡ子のベクトル、即ち天上地下いずれを指すかに期待して縁故を図ったからだ。下生した天使と雖も不条理の内に逝かされた事実はやはり無念の極みだった。そこへ付け込んで恨みや怒りの情念を彼女に抱かせ得れば確かに彼の娘とも、あるいは同じ魔族に、即ち復仇の女王ともなり得る所以だった。「Ｂ子をこれ以上傷付けることは私が許さない！！おのれ、輩（うから）め…人を何だと思っている!?私たちを辱め、挙句殺し…」。したり顔の魔王の笑みに彼ら魔族の意を察した私が「Ａ子さん！」と呼び掛けてみる。しかしその私の呼び掛けに振向いたＡ子の顔に私は肝を潰された。これがあの天使か!?絶世の美少女のＡ子か!?正視に堪えない魔王と同じ鬼面となって、剰え女性ならではの情念のおどろおどろしさが加わり、二目とは見れない形相となっている。これぞ正しく現れたる復仇の女王に違いなし！

　　　　　【凄まじい怒りの念で復仇の女王へと変貌し行くＡ子…】