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抗争東支部編
地下迷宮籠城戦 ~対澄男エリア~
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鳴り響く銃声と爆音。聞いても何の腹の足しにもならない男の悲鳴や、骨が砕ける音。
なんのことはない。雑魚が何人集まろうと雑魚は雑魚だ。多勢に無勢なんて言葉があるが、肉体能力で雲泥の差がある俺とコイツらでは、真正面で殺り合ったら誰が勝つかは目に見えている。
一度拳を振るえば、衝撃で軽く百人ぐらいは宙を舞う。俺の殴る蹴るに直撃食らった奴はワンパンで地に伏し、衝撃波をモロに食らった奴は意識こそあれど大怪我を負って戦う余力などありはしない。
人間が戦争で用いる戦術として数の暴力は大きな武器のはずなのだが、膂力の差が大きすぎると、数の暴力って無意味なんだなと改めて思う。
だがしかし。
「あー……めんどくせえ!!」
一人一人はマジで取るに足らない雑魚ばかり。特筆して強いやつは一人もおらず、魔法や魔術すら使ってこない。痛くも痒くもない銃とかマシンガンとかロケットランチャーとか、クッソしょうもない装備しか持ち合わせていやがらない、数が多いだけのクソザコナメクジ集団である。
金髪野郎に霊力の使用を禁止されてなけりゃ、煉旺焔星で全員まとめて消し炭にしてやるのだが、それができない以上、一人一人ブチのめしていくしかない。クソ面倒極まりない作業だ。
魔法とか使ってくるならまだ楽しめたが、銃火器とか舐めているとしか思えない。
『おい金髪野郎!! もうめんどくせぇから霊力禁止解いてくれや!!』
あまりの面倒くささに耐えられず、金髪野郎に霊子通信をブチ込む。
今回の霊子通信は久三男力作の秘匿回線じゃない。任務請負機関が作った、任務請負証経由の公式回線だ。
『ダメに決まってんだろ。この程度の相手、何人来ようが拳と蹴りで十分だ』
『お前寝ぼけてんのか? なんでこんな物量を一々殴る蹴るで相手しなきゃならねぇんだ、頭沸いてんのか!!』
『お前こそ沸いてるのか? こんな狭い空間で煉旺焔星……だっけ? あんな広範囲火属性魔法使ったら大惨事になるだろ。迷宮ぶっ壊す気か』
『魔法じゃなくて技だし別にぶっ壊したところで大したことないし気に食わなきゃそっちで直せばいいしなんも問題ねぇじゃん!!』
『いやありまくりだから。お前がなくても俺らからしたら大問題この上ねぇから』
クソが、話にならねえ。金髪野郎の全く変わらない対応に、もう返事するのもめんどくさくなってきた。どうせバレねぇし黙って使ってしまおうか。
『黙ってても無駄だぞ。俺とお前のエリアは距離的にそう遠くねぇ。煉旺焔星とかいう広範囲破壊魔法なんざ使えばすぐ分かる』
『チッ!!』
悪巧みはあっさり読まれた。言い返そうにも、金髪野郎の言っていることは事実だからどうしようもない。
地下迷宮にはアリの巣みたくとにかく沢山の通路があるんだが、敵軍を殲滅するために一際広い領域がいくつか作られている。その場所に一人ずつ、主戦力である俺たちが配置されている。
迷宮は割と広いので、一人一人のエリア間の距離はかなり開いているんだが、何故だか金髪野郎と俺のエリアは謎に近かった。下手に煉旺焔星でエリア内を爆撃すれば、爆音が奴にも聞こえるくらいには壁が薄い。最悪威力調整をミスると、俺のエリアと金髪野郎のエリアが繋がってしまう可能性もあるくらいだ。
『堪ったもんじゃねぇぜ、この物量を拳で相手するとかよ!!』
『これが普通だ、じきに慣れるさ』
『おいおい俺を舐めるなよ? 堪え性の無さは筋金入りって母さんから言われたぐれぇだぜ?』
『どんな苦難も反復してたら慣れるって俺のお袋は言ってたぜ』
『あ? そりゃないな』
『いやぁ、あるんだなこれが』
唐突に始まった母親合戦。今まで戦った相手の中で、裏鏡水月とかいうクソチーターを除けば規格外生物はこの前出会った花筏百代か、母さんこと流川澄会なわけだが、あのバーサーカーを超えるトチ狂った奴がいると思えない。
コイツの母親がどんな奴かは知らんが、所詮そこらと大して変わらないだろう。そんなのが言っていることなど、俺からしたらアテにならないってもんだ。
『兄さん、戦ってるところごめん!』
母親の話題になったので、そこらの男を凌ぐ体躯と筋肉量を持つ母さんとの模擬戦の日々を思い出していると、突然霊子通信が割り込んでくる。
通信回路から流れ出る焦燥感。相手は久三男だが、声音と霊力の波長からして急用なのは明らかだった。
『マズイよ兄さん。もしかしたらと思って調べたら、ドンピシャだった!』
『……色々端折りすぎだ。何のことかさっぱり分からん』
『兄さんも感じてない? この戦いがヌルすぎるって』
『そりゃあな。御玲でもワンパンで終わらせられるような雑魚がより集まってるだけの烏合の衆だし、退屈この上ないぞ』
『だろうね……だからこそなんだ』
『…………あー、なるほど。もしかしてこの戦い、敵の策か』
久三男は急いで頷く。だろうな、とは思ってはいたんだ。
久三男の言った通り、この戦いはヌルすぎる。何の策もない、ただの物量戦だ。それでも俺ら全員に対して敵の数が多すぎるから迷宮まで造って籠城しているわけだが、ぶっちゃけ敵勢力は以前東支部の覇権を取っていた連中。覇権を仙獄觀音に奪われて一年以上経った今、覇権を取り返すための策くらいは、いくら弱いといっても弱いなりに講じているはず。
そうでなきゃ本格的に擁護しようがない無能と言ってやるところだが、やはり敵はそこまで間抜けでもなかったらしい。東支部を攻略するための情報収集や作戦を用意していたわけだ。
『……迷宮による籠城作戦は見破られてたな。まあ、無理もねぇか』
仙獄觀音が東支部を解放して一年以上。いくら仙獄觀音率いる護海竜愛が強大な戦力を誇ると言っても、覇権を取られた連中が黙って指咥えて眺めているわけがない。
護海竜愛どもは自分らの戦力に戦意喪失したからとか言っていたが、だったらそもそもこんな勝ち目のない、誰が勝つか丸分かりな戦いをすると思えない。実際この迷宮に投入されたギャング全員が捨て駒みたいなもんだし、いくら替えが効くとはいえ何の意図もなく自分たちのための兵隊を数十万も無駄遣いするなんてあまりに勿体なさすぎる。また揃え直すのも一苦労だろうし、ここまで大規模な犠牲を払ってまでやろうとしているのだから、敵もそれなりに本気なはずだ。
もしこの戦い自体が前座だとするなら、敵の本命は一つに絞られる。
『支部内に工作員的な奴らを忍ばせて、俺ら主力陣が出払ってる間に東支部請負人を皆殺し……ってところか』
久三男がまた頷く。どうやら考えていた中で、最悪なパターンが的中してしまったらしい。
今、迷宮籠城戦に投入された戦力は東支部が持ちうる全てだ。予備戦力など存在しない。作戦は支部ビル内に潜んでいる敵の工作員の存在を考慮していないから、ソイツらを迎撃する戦力はない。
そしておそらくソイツらの単体での戦闘能力は暴閥の出で、生半可な奴らじゃないはず。少なくとも魔術すら使えず、銃火器と物量でしか対応できないギャングどもとは比較にならない力を持っているはずだ。
『チッ……もう戦いは始まってる。何人かは殺られてるか』
『いや、今動き始めようとしてる。どうやらすぐに動こうとせず、兄さんたちが物量に釘付けになるのを待ってたっぽい』
『あー、そうか。すぐに動き出すと流石に対応されちまう可能性もあるもんな。でも物量が迷宮内に行き渡った今なら、仮にバレても俺らはすぐに持ち場を離れられない』
『迷宮攻略されちゃうしね』
『できたらできたで、敵からしたら万々歳だろうな』
敵は別にクソ真面目に迷宮を打破する必要はない。この戦いはただの前座である以上、俺たちはただ無駄に捨て駒と戦わされているだけの状態だ。
ここから焦って俺たちが持ち場を離れれば迷宮を物量のゴリ押しで攻略されて、ギャング連中が東支部ビルに辿り着いてしまう。そうなればビル内で大乱戦だ。俺たちが工作員を探し回っている間に、戦場は滅茶苦茶にかき回されてしまうだろう。
そもそも敵の侵入を許してしまった時点で、敵は目的を半分達してしまっている。つまり俺たちは半分敗北しているようなもので、このままだとこの前座に勝ってもその頃には東支部内が血みどろだ。待っているのは戦略的敗北という五文字のみ。
『クソッ、面倒だぜ。弱いなりに考えたな』
盛大に舌打ちをブチかます。
弱いからこその悪知恵というべきか、往生際が悪いというべきか。面倒極まりないことをしてくれたものだ。幸い俺の持ち場は直接イラ・バータリーとかいうクソ地味眼鏡っ子には繋がっていないから、ここで持ち場を放棄したとしてもすぐにクソ地味眼鏡っ子のところが制圧されることはない。でも問題は―――。
『それが分かったところで、金髪野郎に後でどやされるリスクを背負ってまで面倒を抱える意義があるのかどうか、だよな……』
迫り来る雑魚どもをブチのめしながら、盛大にため息をついた。
正直、東支部の連中がどうなろうと興味はない。仲間でもなんでもない奴らがクソな奴らにクソ間抜けに殺される―――ただそれだけのこと。
冷たいと思われるかもしれないが、仲間を守ることが至上の俺に、仲間以外の命をどうにかしてやる義理なんざありはしない。東支部の連中は護海竜愛が守るのがスジだし、守れなかったなら、それだけの能がなかったってだけの話なのだ。
でも、何故だろうか。別の考えも脳を駆け巡るんだ。
東支部の連中がクソな奴らに皆殺しにされるのをわかっていながら、ソイツらをみすみす見捨てるのは、領土の覇権のため、虐殺と略奪を厭わないクソ暴閥とクソギャングの奴らと大して変わらないんじゃないかと。
そう考えたとき、仲間のため―――その言葉が一気に中身のない綺麗事に思えてしまうことも。
助けられるかもしれない奴らを、助ける義理もないが助けに行く。聞こえはいいが、そんなものは偽善だ。俺にとって一番大切なもの、一番守るべきものは何なのか。それが何なのかを自問自答するのは今更すぎる。
助ける義理のない奴らを助けた結果、御玲に傷つくようなことがあれば俺は俺が許せない。仲間は死んでも守り切る、そのルールを破りかねない要因を、自分の手で作ってしまうとか阿呆もいいところだ。
仲間でもなんでもない奴らに哀れんで手を差し伸べるなどただの偽善。俺の力は仲間を守るためだけに振るわれなければならないもの。
ここまで分かっているはずなのに―――。
「……はぁ。俺って奴はつくづく甘いな」
優しさを捨てきれない。仲間のためなら、仲間を守るためなら、どんな非道に手を染めようと構わない。仲間のいない世界など無意味で無価値、滅びようが俺には関係ない。
そう割り切れたならどれだけ楽で、どれだけ一途になれただろうか。
一途というより、もはや妄執に等しいかもしれないが、少なくとも今みたいに迷うことなんてなかったはずだ。
「でも……迷ってる暇なんざねぇよな」
俺は人間だ。クソ親父のクソみたいな野望のせいで半分ドラゴンのゲテモノに改造されちまったが、心までゲテモノになるつもりはない。この捨てきれない、うざったくて鬱陶しい感情だって、なんとなく、なんとなくだが、捨てちゃいけねぇ―――大事なモンだと思ってしまったんだ。
たとえ、ただの偽善でしかないとしても。
『おい、クソ金髪エセ貴族野郎』
『いい加減名前で呼べよ、ほぼ悪口じゃねぇか』
感情が昂ってつい口の悪さに拍車がかかってしまったが、そんなことはどうでもいい。用件だけさっさと伝えて、俺はやるべきを実行する。
『今からテメェと俺の持ち場を繋げる。俺はちと野暮用ができたからよぉ、あとは任せた』
『はぁ? お前何言って』
『煉旺焔星!!』
事態は急を要する。ちんたらちんたら許可取っているようじゃ、到底物事は進まない。
無理を通せば道理が引っ込む。やっぱ俺にはこれが一番似合っているのだ。
猛烈な轟音と爆音とともに、迷宮の壁に綺麗な大穴が空いた。気持ちただの壁より硬かった気がしたが、所詮気持ち程度。俺の煉旺焔星の前には塵の寄せ集めにすぎない。余波で数百人くらい有象無象が吹っ飛んだようだが、多分死んじゃいねぇだろう。仮に死んでいようが俺には関係ないが。
「お、おい!? 何やってんだお前!?」
俺って自慢じゃないが結構コントロールが良い方ではなかろうか。ちょうど掘削した横穴の先に、金髪野郎が汗水垂らしながら大声で叫んでいる。
顔色からしてかなりキレているし、胸ぐら掴んでくる勢いなのは間違いない。そんな時間はないので、俺が返す返事は決まっている。
「じゃ、あとはよろしく!」
金髪野郎の「おい待てこら!! あとはよろしくってなんだ!! 説明しろって!! おぉい!!」とかいう怒鳴り声が聞こえるが無視だ。
とりあえず霊子通信を久三男、御玲、澄連に繋げる。面倒くさいので秘匿回線だ。百代とかいう規格外もいないし、今はこれでいいだろう。
『御玲、澄連。状況は久三男から聞いてるな?』
御玲と澄連たちから肯定の意思を感じとる。時間がない、とっとと話を進めよう。
『俺は今から東支部ビルに潜んでるクソ野郎どもを始末してくる。久三男、場所を教えろ』
分かった、と俺の気迫に気圧され気味の久三男が一人一人の位置情報を通信回線経由で叩き込んでくれる。映像で送ってくれるもんだから、馬鹿な俺でも間違いようがない。確実に全員、ノーミスでぶち殺せる。
『持ち場を離れるおつもりですね』
『何? 文句ある? あるなら後で聞くぜ』
霊子通信から若干の不満気を滲み出す御玲に、ほんの少し霊圧を出して凄む。
『いいえ。私はメイドとして、貴方の横暴の肩代わりをしますよ』
だが御玲から伝わるのは怒りじゃなく、いつもの冷静さだった。何かしら言ってくるもんだと思っていただけに、少し拍子抜けだ。霊子通信内だとはいえ、身構えた自分が馬鹿らしい。
『……いいのかよ?』
『貴方のそういうところは今更じゃないですか。もう慣れましたよ。貴方が落とした分の株は私が補填しますから、心おきなく行ってきてください』
『そうかい。だったら躊躇なく後の面倒は頼もうかな』
御玲が是非もないなら、俺は思う存分動き回れる。御玲にかける負担を重くしてしまうのはと一瞬だけ気が引けたが、御玲の迷いない声音を聞けば、もう退くことが許されないことくらい分かる。
俺は歩み始めた。だったらもう止まらねぇ。俺がやるべきは、仲間を信じて前に進むことだけだ。
戦いが終わった後、御玲を労ってやらなきゃなと考えながら、迷宮を掘削して東支部ビルへ戻ったのだった。
なんのことはない。雑魚が何人集まろうと雑魚は雑魚だ。多勢に無勢なんて言葉があるが、肉体能力で雲泥の差がある俺とコイツらでは、真正面で殺り合ったら誰が勝つかは目に見えている。
一度拳を振るえば、衝撃で軽く百人ぐらいは宙を舞う。俺の殴る蹴るに直撃食らった奴はワンパンで地に伏し、衝撃波をモロに食らった奴は意識こそあれど大怪我を負って戦う余力などありはしない。
人間が戦争で用いる戦術として数の暴力は大きな武器のはずなのだが、膂力の差が大きすぎると、数の暴力って無意味なんだなと改めて思う。
だがしかし。
「あー……めんどくせえ!!」
一人一人はマジで取るに足らない雑魚ばかり。特筆して強いやつは一人もおらず、魔法や魔術すら使ってこない。痛くも痒くもない銃とかマシンガンとかロケットランチャーとか、クッソしょうもない装備しか持ち合わせていやがらない、数が多いだけのクソザコナメクジ集団である。
金髪野郎に霊力の使用を禁止されてなけりゃ、煉旺焔星で全員まとめて消し炭にしてやるのだが、それができない以上、一人一人ブチのめしていくしかない。クソ面倒極まりない作業だ。
魔法とか使ってくるならまだ楽しめたが、銃火器とか舐めているとしか思えない。
『おい金髪野郎!! もうめんどくせぇから霊力禁止解いてくれや!!』
あまりの面倒くささに耐えられず、金髪野郎に霊子通信をブチ込む。
今回の霊子通信は久三男力作の秘匿回線じゃない。任務請負機関が作った、任務請負証経由の公式回線だ。
『ダメに決まってんだろ。この程度の相手、何人来ようが拳と蹴りで十分だ』
『お前寝ぼけてんのか? なんでこんな物量を一々殴る蹴るで相手しなきゃならねぇんだ、頭沸いてんのか!!』
『お前こそ沸いてるのか? こんな狭い空間で煉旺焔星……だっけ? あんな広範囲火属性魔法使ったら大惨事になるだろ。迷宮ぶっ壊す気か』
『魔法じゃなくて技だし別にぶっ壊したところで大したことないし気に食わなきゃそっちで直せばいいしなんも問題ねぇじゃん!!』
『いやありまくりだから。お前がなくても俺らからしたら大問題この上ねぇから』
クソが、話にならねえ。金髪野郎の全く変わらない対応に、もう返事するのもめんどくさくなってきた。どうせバレねぇし黙って使ってしまおうか。
『黙ってても無駄だぞ。俺とお前のエリアは距離的にそう遠くねぇ。煉旺焔星とかいう広範囲破壊魔法なんざ使えばすぐ分かる』
『チッ!!』
悪巧みはあっさり読まれた。言い返そうにも、金髪野郎の言っていることは事実だからどうしようもない。
地下迷宮にはアリの巣みたくとにかく沢山の通路があるんだが、敵軍を殲滅するために一際広い領域がいくつか作られている。その場所に一人ずつ、主戦力である俺たちが配置されている。
迷宮は割と広いので、一人一人のエリア間の距離はかなり開いているんだが、何故だか金髪野郎と俺のエリアは謎に近かった。下手に煉旺焔星でエリア内を爆撃すれば、爆音が奴にも聞こえるくらいには壁が薄い。最悪威力調整をミスると、俺のエリアと金髪野郎のエリアが繋がってしまう可能性もあるくらいだ。
『堪ったもんじゃねぇぜ、この物量を拳で相手するとかよ!!』
『これが普通だ、じきに慣れるさ』
『おいおい俺を舐めるなよ? 堪え性の無さは筋金入りって母さんから言われたぐれぇだぜ?』
『どんな苦難も反復してたら慣れるって俺のお袋は言ってたぜ』
『あ? そりゃないな』
『いやぁ、あるんだなこれが』
唐突に始まった母親合戦。今まで戦った相手の中で、裏鏡水月とかいうクソチーターを除けば規格外生物はこの前出会った花筏百代か、母さんこと流川澄会なわけだが、あのバーサーカーを超えるトチ狂った奴がいると思えない。
コイツの母親がどんな奴かは知らんが、所詮そこらと大して変わらないだろう。そんなのが言っていることなど、俺からしたらアテにならないってもんだ。
『兄さん、戦ってるところごめん!』
母親の話題になったので、そこらの男を凌ぐ体躯と筋肉量を持つ母さんとの模擬戦の日々を思い出していると、突然霊子通信が割り込んでくる。
通信回路から流れ出る焦燥感。相手は久三男だが、声音と霊力の波長からして急用なのは明らかだった。
『マズイよ兄さん。もしかしたらと思って調べたら、ドンピシャだった!』
『……色々端折りすぎだ。何のことかさっぱり分からん』
『兄さんも感じてない? この戦いがヌルすぎるって』
『そりゃあな。御玲でもワンパンで終わらせられるような雑魚がより集まってるだけの烏合の衆だし、退屈この上ないぞ』
『だろうね……だからこそなんだ』
『…………あー、なるほど。もしかしてこの戦い、敵の策か』
久三男は急いで頷く。だろうな、とは思ってはいたんだ。
久三男の言った通り、この戦いはヌルすぎる。何の策もない、ただの物量戦だ。それでも俺ら全員に対して敵の数が多すぎるから迷宮まで造って籠城しているわけだが、ぶっちゃけ敵勢力は以前東支部の覇権を取っていた連中。覇権を仙獄觀音に奪われて一年以上経った今、覇権を取り返すための策くらいは、いくら弱いといっても弱いなりに講じているはず。
そうでなきゃ本格的に擁護しようがない無能と言ってやるところだが、やはり敵はそこまで間抜けでもなかったらしい。東支部を攻略するための情報収集や作戦を用意していたわけだ。
『……迷宮による籠城作戦は見破られてたな。まあ、無理もねぇか』
仙獄觀音が東支部を解放して一年以上。いくら仙獄觀音率いる護海竜愛が強大な戦力を誇ると言っても、覇権を取られた連中が黙って指咥えて眺めているわけがない。
護海竜愛どもは自分らの戦力に戦意喪失したからとか言っていたが、だったらそもそもこんな勝ち目のない、誰が勝つか丸分かりな戦いをすると思えない。実際この迷宮に投入されたギャング全員が捨て駒みたいなもんだし、いくら替えが効くとはいえ何の意図もなく自分たちのための兵隊を数十万も無駄遣いするなんてあまりに勿体なさすぎる。また揃え直すのも一苦労だろうし、ここまで大規模な犠牲を払ってまでやろうとしているのだから、敵もそれなりに本気なはずだ。
もしこの戦い自体が前座だとするなら、敵の本命は一つに絞られる。
『支部内に工作員的な奴らを忍ばせて、俺ら主力陣が出払ってる間に東支部請負人を皆殺し……ってところか』
久三男がまた頷く。どうやら考えていた中で、最悪なパターンが的中してしまったらしい。
今、迷宮籠城戦に投入された戦力は東支部が持ちうる全てだ。予備戦力など存在しない。作戦は支部ビル内に潜んでいる敵の工作員の存在を考慮していないから、ソイツらを迎撃する戦力はない。
そしておそらくソイツらの単体での戦闘能力は暴閥の出で、生半可な奴らじゃないはず。少なくとも魔術すら使えず、銃火器と物量でしか対応できないギャングどもとは比較にならない力を持っているはずだ。
『チッ……もう戦いは始まってる。何人かは殺られてるか』
『いや、今動き始めようとしてる。どうやらすぐに動こうとせず、兄さんたちが物量に釘付けになるのを待ってたっぽい』
『あー、そうか。すぐに動き出すと流石に対応されちまう可能性もあるもんな。でも物量が迷宮内に行き渡った今なら、仮にバレても俺らはすぐに持ち場を離れられない』
『迷宮攻略されちゃうしね』
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ここから焦って俺たちが持ち場を離れれば迷宮を物量のゴリ押しで攻略されて、ギャング連中が東支部ビルに辿り着いてしまう。そうなればビル内で大乱戦だ。俺たちが工作員を探し回っている間に、戦場は滅茶苦茶にかき回されてしまうだろう。
そもそも敵の侵入を許してしまった時点で、敵は目的を半分達してしまっている。つまり俺たちは半分敗北しているようなもので、このままだとこの前座に勝ってもその頃には東支部内が血みどろだ。待っているのは戦略的敗北という五文字のみ。
『クソッ、面倒だぜ。弱いなりに考えたな』
盛大に舌打ちをブチかます。
弱いからこその悪知恵というべきか、往生際が悪いというべきか。面倒極まりないことをしてくれたものだ。幸い俺の持ち場は直接イラ・バータリーとかいうクソ地味眼鏡っ子には繋がっていないから、ここで持ち場を放棄したとしてもすぐにクソ地味眼鏡っ子のところが制圧されることはない。でも問題は―――。
『それが分かったところで、金髪野郎に後でどやされるリスクを背負ってまで面倒を抱える意義があるのかどうか、だよな……』
迫り来る雑魚どもをブチのめしながら、盛大にため息をついた。
正直、東支部の連中がどうなろうと興味はない。仲間でもなんでもない奴らがクソな奴らにクソ間抜けに殺される―――ただそれだけのこと。
冷たいと思われるかもしれないが、仲間を守ることが至上の俺に、仲間以外の命をどうにかしてやる義理なんざありはしない。東支部の連中は護海竜愛が守るのがスジだし、守れなかったなら、それだけの能がなかったってだけの話なのだ。
でも、何故だろうか。別の考えも脳を駆け巡るんだ。
東支部の連中がクソな奴らに皆殺しにされるのをわかっていながら、ソイツらをみすみす見捨てるのは、領土の覇権のため、虐殺と略奪を厭わないクソ暴閥とクソギャングの奴らと大して変わらないんじゃないかと。
そう考えたとき、仲間のため―――その言葉が一気に中身のない綺麗事に思えてしまうことも。
助けられるかもしれない奴らを、助ける義理もないが助けに行く。聞こえはいいが、そんなものは偽善だ。俺にとって一番大切なもの、一番守るべきものは何なのか。それが何なのかを自問自答するのは今更すぎる。
助ける義理のない奴らを助けた結果、御玲に傷つくようなことがあれば俺は俺が許せない。仲間は死んでも守り切る、そのルールを破りかねない要因を、自分の手で作ってしまうとか阿呆もいいところだ。
仲間でもなんでもない奴らに哀れんで手を差し伸べるなどただの偽善。俺の力は仲間を守るためだけに振るわれなければならないもの。
ここまで分かっているはずなのに―――。
「……はぁ。俺って奴はつくづく甘いな」
優しさを捨てきれない。仲間のためなら、仲間を守るためなら、どんな非道に手を染めようと構わない。仲間のいない世界など無意味で無価値、滅びようが俺には関係ない。
そう割り切れたならどれだけ楽で、どれだけ一途になれただろうか。
一途というより、もはや妄執に等しいかもしれないが、少なくとも今みたいに迷うことなんてなかったはずだ。
「でも……迷ってる暇なんざねぇよな」
俺は人間だ。クソ親父のクソみたいな野望のせいで半分ドラゴンのゲテモノに改造されちまったが、心までゲテモノになるつもりはない。この捨てきれない、うざったくて鬱陶しい感情だって、なんとなく、なんとなくだが、捨てちゃいけねぇ―――大事なモンだと思ってしまったんだ。
たとえ、ただの偽善でしかないとしても。
『おい、クソ金髪エセ貴族野郎』
『いい加減名前で呼べよ、ほぼ悪口じゃねぇか』
感情が昂ってつい口の悪さに拍車がかかってしまったが、そんなことはどうでもいい。用件だけさっさと伝えて、俺はやるべきを実行する。
『今からテメェと俺の持ち場を繋げる。俺はちと野暮用ができたからよぉ、あとは任せた』
『はぁ? お前何言って』
『煉旺焔星!!』
事態は急を要する。ちんたらちんたら許可取っているようじゃ、到底物事は進まない。
無理を通せば道理が引っ込む。やっぱ俺にはこれが一番似合っているのだ。
猛烈な轟音と爆音とともに、迷宮の壁に綺麗な大穴が空いた。気持ちただの壁より硬かった気がしたが、所詮気持ち程度。俺の煉旺焔星の前には塵の寄せ集めにすぎない。余波で数百人くらい有象無象が吹っ飛んだようだが、多分死んじゃいねぇだろう。仮に死んでいようが俺には関係ないが。
「お、おい!? 何やってんだお前!?」
俺って自慢じゃないが結構コントロールが良い方ではなかろうか。ちょうど掘削した横穴の先に、金髪野郎が汗水垂らしながら大声で叫んでいる。
顔色からしてかなりキレているし、胸ぐら掴んでくる勢いなのは間違いない。そんな時間はないので、俺が返す返事は決まっている。
「じゃ、あとはよろしく!」
金髪野郎の「おい待てこら!! あとはよろしくってなんだ!! 説明しろって!! おぉい!!」とかいう怒鳴り声が聞こえるが無視だ。
とりあえず霊子通信を久三男、御玲、澄連に繋げる。面倒くさいので秘匿回線だ。百代とかいう規格外もいないし、今はこれでいいだろう。
『御玲、澄連。状況は久三男から聞いてるな?』
御玲と澄連たちから肯定の意思を感じとる。時間がない、とっとと話を進めよう。
『俺は今から東支部ビルに潜んでるクソ野郎どもを始末してくる。久三男、場所を教えろ』
分かった、と俺の気迫に気圧され気味の久三男が一人一人の位置情報を通信回線経由で叩き込んでくれる。映像で送ってくれるもんだから、馬鹿な俺でも間違いようがない。確実に全員、ノーミスでぶち殺せる。
『持ち場を離れるおつもりですね』
『何? 文句ある? あるなら後で聞くぜ』
霊子通信から若干の不満気を滲み出す御玲に、ほんの少し霊圧を出して凄む。
『いいえ。私はメイドとして、貴方の横暴の肩代わりをしますよ』
だが御玲から伝わるのは怒りじゃなく、いつもの冷静さだった。何かしら言ってくるもんだと思っていただけに、少し拍子抜けだ。霊子通信内だとはいえ、身構えた自分が馬鹿らしい。
『……いいのかよ?』
『貴方のそういうところは今更じゃないですか。もう慣れましたよ。貴方が落とした分の株は私が補填しますから、心おきなく行ってきてください』
『そうかい。だったら躊躇なく後の面倒は頼もうかな』
御玲が是非もないなら、俺は思う存分動き回れる。御玲にかける負担を重くしてしまうのはと一瞬だけ気が引けたが、御玲の迷いない声音を聞けば、もう退くことが許されないことくらい分かる。
俺は歩み始めた。だったらもう止まらねぇ。俺がやるべきは、仲間を信じて前に進むことだけだ。
戦いが終わった後、御玲を労ってやらなきゃなと考えながら、迷宮を掘削して東支部ビルへ戻ったのだった。
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登場人物たちは、自分たちの存在意義や、現実世界との関係性を模索しながら、仮想世界を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。果たして彼らは真実にたどり着き、自由を手に入れることができるのか。そして、現実世界と仮想世界の境界線は、どのように変化していくのか。
この物語は、SFとファンタジーの要素を融合させながら、人間の記憶、感情、そしてアイデンティティの本質に迫る壮大な冒険譚である。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
セルリアン
吉谷新次
SF
銀河連邦軍の上官と拗れたことをキッカケに銀河連邦から離れて、
賞金稼ぎをすることとなったセルリアン・リップルは、
希少な資源を手に入れることに成功する。
しかし、突如として現れたカッツィ団という
魔界から独立を試みる団体によって襲撃を受け、資源の強奪をされたうえ、
賞金稼ぎの相棒を暗殺されてしまう。
人界の銀河連邦と魔界が一触即発となっている時代。
各星団から独立を試みる団体が増える傾向にあり、
無所属の団体や個人が無法地帯で衝突する事件も多発し始めていた。
リップルは強靭な身体と念力を持ち合わせていたため、
生きたままカッツィ団のゴミと一緒に魔界の惑星に捨てられてしまう。
その惑星で出会ったランスという見習い魔術師の少女に助けられ、
次第に会話が弾み、意気投合する。
だが、またしても、
カッツィ団の襲撃とランスの誘拐を目の当たりにしてしまう。
リップルにとってカッツィ団に対する敵対心が強まり、
賞金稼ぎとしてではなく、一個人として、
カッツィ団の頭首ジャンに会いに行くことを決意する。
カッツィ団のいる惑星に侵入するためには、
ブーチという女性操縦士がいる輸送船が必要となり、
彼女を説得することから始まる。
また、その輸送船は、
魔術師から見つからないように隠す迷彩妖術が必要となるため、
妖精の住む惑星で同行ができる妖精を募集する。
加えて、魔界が人界科学の真似事をしている、ということで、
警備システムを弱体化できるハッキング技術の習得者を探すことになる。
リップルは強引な手段を使ってでも、
ランスの救出とカッツィ団の頭首に会うことを目的に行動を起こす。
世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】
しおじろう
SF
時は世紀末、地球は宇宙人襲来を受け
壊滅状態となった。
地球外からもたされたのは破壊のみならず、
ゾンビウイルスが蔓延した。
1人のおとぼけハク青年は、それでも
のんびり性格は変わらない、疲れようが
疲れまいがのほほん生活
いつか貴方の生きるバイブルになるかも
知れない貴重なサバイバル術!
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
電子世界のフォルトゥーナ
有永 ナギサ
SF
人工知能を搭載した量子コンピュータセフィロトが自身の電子ネットワークと、その中にあるすべてのデータを物質化して創りだした電子による世界。通称、エデン。2075年の現在この場所はある事件をきっかけに、企業や国が管理されているデータを奪い合う戦場に成り果てていた。
そんな中かつて狩猟兵団に属していた十六歳の少年久遠レイジは、エデンの治安維持を任されている組織エデン協会アイギスで、パートナーと共に仕事に明け暮れる日々を過ごしていた。しかし新しく加入してきた少女をきっかけに、世界の命運を決める戦いへと巻き込まれていく。
かつての仲間たちの襲来、世界の裏側で暗躍する様々な組織の思惑、エデンの神になれるという鍵の存在。そして世界はレイジにある選択をせまる。彼が選ぶ答えは秩序か混沌か、それとも……。これは女神に愛された少年の物語。
<注意>①この物語は学園モノですが、実際に学園に通う学園編は中盤からになります。②世界観を強化するため、設定や世界観説明に少し修正が入る場合があります。
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