上 下
10 / 29

気づいて、しまった(理人視点)

しおりを挟む
 ひとつ、分かったことがある──ちゅ、と茉白の内腿にキスを落とし、優しく撫でただけで、大袈裟なくらいに感じてびくり、と跳ねる身体。
 茉白は──クチ感じるんじゃない。
 クチ感じる、ひと、なのだ。
 つまり、と──俺は組み敷いた茉白が、俺が与えた快楽によってトロトロになっているのを見下ろしながら、確信する。

(茉白は、……多分、全身が性感帯なんだ)

 うわぁ、となんだかよく分からない感情に頭を抱えたくなる。愛おしすぎて。
 同時に、どうしようもないほどに、嫉妬した。茉白の、過去の恋人たちに。

(どんなふうに、そいつらの前で乱れたのか)

 嫉妬で頭がどうにかなりそう、だった。
 つう、と脇腹を舌で舐める。

「ゃんっ、はぁ、ぁっ、あっ」

 ほとんど無意識だと思う。
 茉白は物欲しげに腰を揺らして、ただ甘い声で啼いた。

「茉白」

 はふはふ、と浅い息をしながら、こてんと茉白が首を傾げる。可愛すぎか。
 そのあどけない表情を──きちんと成人している女性に対して使うのは、どこか不適切かもしれないけれど、やたらと無垢な表情を見ていると、自分の悋気なんか薄っぺらいものに感じる。

「なぁ、に? 理人くん……」
「……いや」

 笑いかけて、臍の横にキス。

「ぁんっ!」

 また、びくりと反応する身体。
 俺は身体を起こして、ばさりと服を脱いでしまう。ひどく暑かった。

「ひゃあ!」

 茉白が恥ずかしがって、両手で顔を覆う。……いちいち純粋な反応に、胸がきゅんとなる。

「茉白」

 名前を呼んで、手をどかして──また、キスをした。
 触れるだけのキス。
 離れて、茉白の全身をじっと見つめた。
 真っ白な下着。
 総レースであしらわれた、ブラジャーと呼んでいいのか分からない代物に包まれた、茉白の可愛らしい乳房。
 つぷん、とその先端が勃っているのが分かるほどに、薄い布地。

「う、あ、あまり、見ないで」

 茉白はそう言ったあとに、はっとしたような顔をして「あ、でも、その、見たいなら」とモゴモゴと呟く。
 そうしながらも、太ももを重ねて隠そうとするから、さりげなく足に触れて開かせた。

「ひゃあっ」
「見せて、茉白。茉白の全部が見たい」
「うう……」

 真っ赤な顔で、きゅっとシーツを握る茉白。
 隠そうとしたのは、Tバックと呼べるのかすら、な下着。
 かろうじて、中央だけが透けない布地。けれど、あとは真っ白なレースと、細い細い紐状のレースで彩られているだけ。
 腰にはそのレース紐が、可愛らしくリボン結び……で、俺に解かれるのを待っている。

(どうやって解こう……)

 口でしたら、茉白は恥ずかしがるだろうか。いやでも恥ずかしがる茉白すごく可愛いし、と顔に目線をやると──茉白が、硬直していた。

「ま、茉白?」
「……っ、え、あの。そんな、おっき、……く? え? ていうか、そんな、そんな形」

 驚愕の目線で見つめるのは、俺のもうすっかり硬くなって茉白に入りたがっている、それで……いや、今日は挿れないけど。
 さすがに、見ず知らずの人間にもらったコンドームは使えない。

「入る……え? 入らない?」
「茉白、落ち着いて」

 よしよし、と頭を撫でた。

「今日はそこまで、しない」
「いえ、でも、あの、……人体に、入りますか? それが」

 そう口走ったあと、茉白はハッとしたように口をつぐむ。

「っ、あ、すみませ、はしたないことを……じゃない、理人くんはそんな女性が好きで」
「いや、それは誤解だけれど」
「誤解?」

 不思議そうに茉白は言うけれど、目線の先は未だに俺の股間で。
 見過ぎじゃないですか、茉白さん……。

「あの、茉白。もしかして、今までのひとより、大きい?」

 多少の自尊心をくすぐられながら、そんなことを聞く。デリカシーがないだろうか。
 茉白はふるふると首を振った──あ、なんか傷つく……と、思ってもみなかった言葉が、茉白から発された。

「いえ、私……初めて、なので。他の方の、その、それ、が……どんな大きさなのか、見たことがありません」

 息を飲んだ。
 ええと、聞き間違い……では、なくて?

「茉白……っ、もしかしたら、失礼なことを聞いているのかもしれないけれど」
「? はい」
「しょ、じょ?」
「……はい」

 恥ずかしげに、茉白は目の縁を紅く染める。──それから、はっと顔を青くした。

「……っ、処女、めんどくさいですか!?」
「全くない! 全然大丈夫! 落ち着いて!」
「良かったぁ」

 ほっ、としたように茉白は頬を緩める。
 俺は半ば戦慄していた──こんな「感じやすい」女の子が、今まで誰の毒牙にもかからずいられた奇跡に。

(神様!)

 信じてもない神に感謝を捧げる。
 そんな俺を見つめながら、茉白は言葉を続けた。

「あの、だから、他の方のは分からないんですけど」

 茉白は、興味深そうに手を伸ばす。
 たおやかな指が、先端に触れて。

「濡れ、てる?」

 びっくりしたように、茉白がくちゅくちゅと先端を指先でいじる。
 あああやめてくれ茉白さん!

「……っ、茉白、その」
「男の方も、濡れるんですね」
「まぁ、そう、……ですね、ハイ」

 先端の、傘の部分を興味深げに、茉白はつまむ。

「……っ!」
「ひゃ、ごめんなさい、痛かったですか?」

 眉を下げて、茉白は謝る。

「……痛くはない、から」

 茉白のその手を、下まで誘導して、握らせた。……背徳感。なんだか背徳感がすごい。

「……ちょっと、擦って」

 茉白の小さな手を上から握って、ゆっくり、と擦り上げる。

(あ、ヤバイ)

 もう、だ。もう、イきそうになってる。
 好きな女の子の手で、されてるだけなのに──と、茉白はやたらと真剣な顔をしている。

「茉白?」
「あ、その……覚えますっ」

 茉白は意気込んだ様子で俺に告げる。

「理人くんの、っ、握ったときのっ、好きな……手の強さ」

 あっけなく陥落した残りの理性を、咎めることは誰にもできないはずだ。

「あっ、やぁっ、理人く、っ、あ……!」

 布越しに、茉白の乳房にむしゃぶりつく。くちゅりと先端を噛み、もう片方の手で揉みしだく。
 俺のから離れていく茉白の手。
 寂しいけれど、先に……茉白を気持ちよくしたい。
 乳房を上下に揺さぶるように揉み上げると、茉白の声の糖度が上がる。

「っ、あ、ん、っ、や……っ、理人くんっ、理人くんっ、待って、まってぇっ、なんか、なんか変なのっ、いやっ、ゃぁっ、ぁ、あ……っ!」

 茉白の腰が跳ね、俺の身体に押し付けられた。すっかり濡れ切ったそソコ。
 茉白はがくり、と身体から力を抜く。

「大丈夫か?」
「な、んか、……お腹と、あたま、がぶわって、……」

 半泣きで俺にそう、なんとか説明する茉白が愛おしい。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

冷徹上司の、甘い秘密。

青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。 「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」 「別に誰も気にしませんよ?」 「いや俺が気にする」 ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。 ※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

溺愛婚〜スパダリな彼との甘い夫婦生活〜

鳴宮鶉子
恋愛
頭脳明晰で才徳兼備な眉目秀麗な彼から告白されスピード結婚します。彼を狙ってた子達から嫌がらせされても助けてくれる彼が好き

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛

冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!

処理中です...