368 / 702
【高校編】分岐・山ノ内瑛
ドレッドノート(side???)
しおりを挟む
白い入道雲が浮かぶ青い空は、殺意が湧きそうなくらいに眩しくて、蝉はうるさくて汗はダラダラで、オレはなんでこんな日にランニングさせられてんだろー、って思う。
「熱中症なるよなこんな暑いのに、なぁネギ」
隣を無言で走る、同じバスケ部のネギーー幼稚園からの幼馴染、根岸から返事はない。
「? おいネギ、根岸」
「え?」
「おい大丈夫か、ぼーっとしてるけど」
体調悪いのか、と聞くけど「そんなことない」と根岸は否定した。
「つか最近変だぞお前」
「……そうか?」
「そうだよ。あ、分かった。彼女と上手くいってないのか」
「彼女?」
「え、高等部の……、違ったのか」
「違う。あんな女」
根岸は吐き捨てるように言った。ほんとに何かあったのかもしれない。
だって、あんなに好きだったのに。ちょっと異常かもってくらい執着してたし。
(いや、ほんとにおかしかったよな)
執着の度合いが普通ではなかった、と思う。まぁ、小さい頃からずっと好きだったらしいから。
でも、付き合い始めてしばらくは、根岸も調子良かった。オレたちは大体2軍で定着しちゃってるけど、根岸は夏休み前くらいまでは、1軍と2軍を行ったり来たりしていた。
そこからは、お互い無言で走った。
やっとの思いで体育館まで戻って来てオレはぎょっとした。エントランスには中等部では悪名高い(なぜか水泳部女子からは人気がある)風紀委員会の女王陛下こと、設楽華先輩がじっと館内見取り図を見ていた。
(山ノ内探してんのかな)
夏休み中の部活にまで来なくたって、と思っていると、隣の根岸が一歩踏み出した。
「根岸?」
「こっち来い」
根岸は設楽先輩の腕を掴む。オレは、いや近くにいたやつ全員ギョッとしたと思う。
設楽先輩は思いっきり眉をひそめたまま、連れていかれた。
「え、……どうする?」
「つか、設楽先輩と根岸、どんな関係」
ちょっと場がざわついた。まぁ少なくとも、色恋沙汰ではなさそうな……。お互いの表情がヤバかった。
「どうしたー?」
体育館の扉が開いて、1軍の連中がゾロゾロ出てきた。ちょうど休憩に入ったらしい。
「いや、今さぁ、そこに設楽先輩いたんだけど」
「あ、まじか。さっき一瞬、観覧席にいたよ」
「山ノ内にまた文句言いに来たのかと思ったけど」
ちらりと山ノ内を見ると、何も言わずに麦茶のペットボトルを一気飲みしていた。汗まみれなのに爽やかだ。ムカつくな。
視線に気づいた山ノ内は「なんも言われてへんで」と普通に答えた。
「だよな。だって今、根岸に腕掴まれて連れていかれて」
「……は?」
山ノ内の表情が凍った。
「どっち行ったん」
「え、山ノ内? どうしたんだよ」
「ええねん。どっち連れてかれたんや」
少し焦ったような声。オレは意外だった。山ノ内って、いつもどちらかというと余裕があるタイプだし(ふざけてる時は面白いヤツだと思うけど)というか、そもそも"天敵"なんて言われてる設楽先輩のこと、何をそんなに? いや、根岸が心配?
混乱しつつも、あっち、と指差したジム方面に山ノ内は走っていった。ぽかん、と見送るけど、オレはひとり後を付けた。いや何がなんだか分かんないけど、もしケンカとかだったら止めなきゃと思って。
着いた時には、山ノ内はブチ切れてた。
(うわぁ)
関西弁、怖っ。
オレの横を、設楽先輩が涙目で駆け抜けていく。さすがに普段の勢いはない。中3とはいえ、山ノ内も根岸も背が高い方だし、あんな風に腕掴まれたり凄まれたりしたら怖くなると思う。普通の女の子なら。
(ふつうの)
そう考えて、少し意外に思う。設楽先輩も、ふつうの女子なのかもなんて。
「で? 何してたんや」
山ノ内はまだキレてる。
「関係ないだろ」
「それは俺が決めることや言うてる」
「知るか」
「まぁまぁまぁ」
オレは間に入った。
「もうコーチ戻ってくるよ。とりあえず頭冷やせよ、2人とも」
2人はしばらく無言で睨み合ってたけど、ほとんど同時みたいに舌打ちをして、山ノ内が離れて行った。
「……何があったんだよネギ」
「うるせぇ」
根岸は無言でしゃがみこむ。
「オレだって」
根岸は言った。
「何が何だか」
「……、ネギ?」
しばらくして、根岸はよろりと立ち上がった。
「……練習、戻る」
「おう」
皆のところに戻ってしばらくして、誰かが根岸に尋ねた。
「お前、女王陛下とどんな関係だよ」
「女王陛下?」
「え、設楽先輩……」
「いまの、設楽華?」
「え、そうだよ。知らなかった?」
きょとん、というよりは呆然、と根岸は宙を見つめた。
「マジかよ」
「鹿王院さんの許婚だろ? 尻に敷かれてるって」
「常盤の偉いさんの孫娘だろ、ここの学園長も親戚だって」
根岸の顔が青くなる。
「え、ネギ、マジで知らなかったの」
「……あいつの友達だし、大した奴じゃないと勝手に」
「あいつ?」
根岸は「なんでもない」と答えた後は何も答えず、淡々と練習をこなし足早に帰っていった。
練習終わり、更衣室を出ようとしたところで肩を叩かれた。
「? あ、山ノ内」
「さっきはスマンな」
苦笑いする山ノ内は、いつも通りの笑顔で安心する。
「いや、あんなキレてんの見たの初めてでこっちもテンパった。ごめん」
「謝られるとほんま申し訳ないわ」
ぺこり、と頭を下げられた。
「や、大丈夫だって!」
「ケジメや」
「……ネギと何があったのかは、教えてもらえないんだよな?」
「……すまん」
「いいけど、さ」
オレは肩をすくめた。
「まぁ、なんでお前が天敵の設楽先輩のとこに駆けつけたかは、ホント謎すぎんだけど」
「謎にしといてや一生」
「あっは、まぁ一瞬、山ノ内は設楽先輩が好きなのかなとか思ったけど」
一瞬、山ノ内が言葉に詰まって、オレは「え?」と変な声が出る。
山ノ内はキョロキョロして、周りに誰もいないことを確認すると、もう一度オレに頭を下げた。
「すまん、それ、黙っといてくれへん? 油断してたわ」
「え、うそ、まじ? 好きなの?」
「せやねん」
顔を上げた山ノ内は、いっそ堂々と返事をした。
「マジで好き」
「まじかよ」
なんでそうなった。
「お前、ドMなの?」
そう聞くと、山ノ内はめっちゃ爆笑して「せやねん!」と楽しそうに言い放った。
「ほんま、ド級のドMやで」
「へぇー。Sっぽいけど。なぁ、告白とかしないの」
それに対して、山ノ内は曖昧に微笑むだけだった。
「熱中症なるよなこんな暑いのに、なぁネギ」
隣を無言で走る、同じバスケ部のネギーー幼稚園からの幼馴染、根岸から返事はない。
「? おいネギ、根岸」
「え?」
「おい大丈夫か、ぼーっとしてるけど」
体調悪いのか、と聞くけど「そんなことない」と根岸は否定した。
「つか最近変だぞお前」
「……そうか?」
「そうだよ。あ、分かった。彼女と上手くいってないのか」
「彼女?」
「え、高等部の……、違ったのか」
「違う。あんな女」
根岸は吐き捨てるように言った。ほんとに何かあったのかもしれない。
だって、あんなに好きだったのに。ちょっと異常かもってくらい執着してたし。
(いや、ほんとにおかしかったよな)
執着の度合いが普通ではなかった、と思う。まぁ、小さい頃からずっと好きだったらしいから。
でも、付き合い始めてしばらくは、根岸も調子良かった。オレたちは大体2軍で定着しちゃってるけど、根岸は夏休み前くらいまでは、1軍と2軍を行ったり来たりしていた。
そこからは、お互い無言で走った。
やっとの思いで体育館まで戻って来てオレはぎょっとした。エントランスには中等部では悪名高い(なぜか水泳部女子からは人気がある)風紀委員会の女王陛下こと、設楽華先輩がじっと館内見取り図を見ていた。
(山ノ内探してんのかな)
夏休み中の部活にまで来なくたって、と思っていると、隣の根岸が一歩踏み出した。
「根岸?」
「こっち来い」
根岸は設楽先輩の腕を掴む。オレは、いや近くにいたやつ全員ギョッとしたと思う。
設楽先輩は思いっきり眉をひそめたまま、連れていかれた。
「え、……どうする?」
「つか、設楽先輩と根岸、どんな関係」
ちょっと場がざわついた。まぁ少なくとも、色恋沙汰ではなさそうな……。お互いの表情がヤバかった。
「どうしたー?」
体育館の扉が開いて、1軍の連中がゾロゾロ出てきた。ちょうど休憩に入ったらしい。
「いや、今さぁ、そこに設楽先輩いたんだけど」
「あ、まじか。さっき一瞬、観覧席にいたよ」
「山ノ内にまた文句言いに来たのかと思ったけど」
ちらりと山ノ内を見ると、何も言わずに麦茶のペットボトルを一気飲みしていた。汗まみれなのに爽やかだ。ムカつくな。
視線に気づいた山ノ内は「なんも言われてへんで」と普通に答えた。
「だよな。だって今、根岸に腕掴まれて連れていかれて」
「……は?」
山ノ内の表情が凍った。
「どっち行ったん」
「え、山ノ内? どうしたんだよ」
「ええねん。どっち連れてかれたんや」
少し焦ったような声。オレは意外だった。山ノ内って、いつもどちらかというと余裕があるタイプだし(ふざけてる時は面白いヤツだと思うけど)というか、そもそも"天敵"なんて言われてる設楽先輩のこと、何をそんなに? いや、根岸が心配?
混乱しつつも、あっち、と指差したジム方面に山ノ内は走っていった。ぽかん、と見送るけど、オレはひとり後を付けた。いや何がなんだか分かんないけど、もしケンカとかだったら止めなきゃと思って。
着いた時には、山ノ内はブチ切れてた。
(うわぁ)
関西弁、怖っ。
オレの横を、設楽先輩が涙目で駆け抜けていく。さすがに普段の勢いはない。中3とはいえ、山ノ内も根岸も背が高い方だし、あんな風に腕掴まれたり凄まれたりしたら怖くなると思う。普通の女の子なら。
(ふつうの)
そう考えて、少し意外に思う。設楽先輩も、ふつうの女子なのかもなんて。
「で? 何してたんや」
山ノ内はまだキレてる。
「関係ないだろ」
「それは俺が決めることや言うてる」
「知るか」
「まぁまぁまぁ」
オレは間に入った。
「もうコーチ戻ってくるよ。とりあえず頭冷やせよ、2人とも」
2人はしばらく無言で睨み合ってたけど、ほとんど同時みたいに舌打ちをして、山ノ内が離れて行った。
「……何があったんだよネギ」
「うるせぇ」
根岸は無言でしゃがみこむ。
「オレだって」
根岸は言った。
「何が何だか」
「……、ネギ?」
しばらくして、根岸はよろりと立ち上がった。
「……練習、戻る」
「おう」
皆のところに戻ってしばらくして、誰かが根岸に尋ねた。
「お前、女王陛下とどんな関係だよ」
「女王陛下?」
「え、設楽先輩……」
「いまの、設楽華?」
「え、そうだよ。知らなかった?」
きょとん、というよりは呆然、と根岸は宙を見つめた。
「マジかよ」
「鹿王院さんの許婚だろ? 尻に敷かれてるって」
「常盤の偉いさんの孫娘だろ、ここの学園長も親戚だって」
根岸の顔が青くなる。
「え、ネギ、マジで知らなかったの」
「……あいつの友達だし、大した奴じゃないと勝手に」
「あいつ?」
根岸は「なんでもない」と答えた後は何も答えず、淡々と練習をこなし足早に帰っていった。
練習終わり、更衣室を出ようとしたところで肩を叩かれた。
「? あ、山ノ内」
「さっきはスマンな」
苦笑いする山ノ内は、いつも通りの笑顔で安心する。
「いや、あんなキレてんの見たの初めてでこっちもテンパった。ごめん」
「謝られるとほんま申し訳ないわ」
ぺこり、と頭を下げられた。
「や、大丈夫だって!」
「ケジメや」
「……ネギと何があったのかは、教えてもらえないんだよな?」
「……すまん」
「いいけど、さ」
オレは肩をすくめた。
「まぁ、なんでお前が天敵の設楽先輩のとこに駆けつけたかは、ホント謎すぎんだけど」
「謎にしといてや一生」
「あっは、まぁ一瞬、山ノ内は設楽先輩が好きなのかなとか思ったけど」
一瞬、山ノ内が言葉に詰まって、オレは「え?」と変な声が出る。
山ノ内はキョロキョロして、周りに誰もいないことを確認すると、もう一度オレに頭を下げた。
「すまん、それ、黙っといてくれへん? 油断してたわ」
「え、うそ、まじ? 好きなの?」
「せやねん」
顔を上げた山ノ内は、いっそ堂々と返事をした。
「マジで好き」
「まじかよ」
なんでそうなった。
「お前、ドMなの?」
そう聞くと、山ノ内はめっちゃ爆笑して「せやねん!」と楽しそうに言い放った。
「ほんま、ド級のドMやで」
「へぇー。Sっぽいけど。なぁ、告白とかしないの」
それに対して、山ノ内は曖昧に微笑むだけだった。
0
お気に入りに追加
3,077
あなたにおすすめの小説
【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
前話
【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
転生令嬢は覆面ズをゆく
唄宮 和泉
ファンタジー
女子高生である九条皐月は、トラックにはねられて意識を失っい、気づけば伯爵令嬢に転成していた。なんだかんだとその世界でフェーリエとして生きていく覚悟を決めた皐月。十六歳になったある日、冒険者デビューを果たしたフェーリエは謎の剣士ユースに出会う。ひょんな事からその剣士とパーティーを組むことになり、周りに決められたパーティー名は『覆面ズ』。やや名前に不満はあるものの、フェーリエはユースとともに冒険を開始した。
世界が見たいフェーリエと、目的があって冒険者をするユース。そんな覆面ズの話。
※不定期更新 書けたらその都度投稿します
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
日乃本 義(ひのもと ただし)に手を出すな ―第二皇子の婚約者選定会―
ういの
BL
日乃本帝国。日本によく似たこの国には爵位制度があり、同性婚が認められている。
ある日、片田舎の男爵華族・柊(ひいらぎ)家は、一通の手紙が原因で揉めに揉めていた。
それは、間もなく成人を迎える第二皇子・日乃本 義(ひのもと ただし)の、婚約者選定に係る招待状だった。
参加資格は十五歳から十九歳までの健康な子女、一名。
日乃本家で最も才貌両全と名高い第二皇子からのプラチナチケットを前に、十七歳の長女・木綿子(ゆうこ)は哀しみに暮れていた。木綿子には、幼い頃から恋い慕う、平民の想い人が居た。
「子女の『子』は、息子って意味だろ。ならば、俺が行っても問題ないよな?」
常識的に考えて、木綿子に宛てられたその招待状を片手に声を挙げたのは、彼女の心情を慮った十九歳の次男・柾彦(まさひこ)だった。
現代日本風ローファンタジーです。
※9/17 少し改題&完結致しました。
当初の予定通り3万字程度で終われました。
※ 小説初心者です。設定ふわふわですが、細かい事は気にせずお読み頂けるとうれしいです。
※続きの構想はありますが、漫画の読み切りみたいな感じで短めに終わる予定です。
※ハート、お気に入り登録ありがとうございます。誤字脱字、感想等ございましたらぜひコメント頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
鑑定の結果、適職の欄に「魔王」がありましたが興味ないので美味しい料理を出す宿屋のオヤジを目指します
厘/りん
ファンタジー
王都から離れた辺境の村で生まれ育った、マオ。15歳になった子供達は適正職業の鑑定をすることが義務付けられている。
村の教会で鑑定をしたら、料理人•宿屋の主人•魔王とあった。…魔王!?
しかも前世を思い出したら、異世界転生していた。
転生1回目は失敗したので、次はのんびり平凡に暮らし、お金を貯めて美味しい料理を出す宿屋のオヤジになると決意した、マオのちょっとおかしな物語。
※世界は滅ぼしません
☆第17回ファンタジー小説大賞 参加中
☆2024/9/16
HOT男性向け 1位
ファンタジー 2位
ありがとう御座います。
婚約破棄がお望みならどうぞ。
和泉 凪紗
恋愛
公爵令嬢のエステラは産まれた時から王太子の婚約者。貴族令嬢の義務として婚約と結婚を受け入れてはいるが、婚約者に対して特別な想いはない。
エステラの婚約者であるレオンには最近お気に入りの女生徒がいるらしい。エステラは結婚するまではご自由に、と思い放置していた。そんなある日、レオンは婚約破棄と学園の追放をエステラに命じる。
婚約破棄がお望みならどうぞ。わたくしは大歓迎です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる