441 / 702
【高校編】分岐・黒田健
職務質問(side健)
しおりを挟む
「そいつが犯人ってことはないよ」
落ち着いた山ノ内さんの声。
「絶対に出所はしてない……再審を求めて、いま係争中なんだ」
「再審?」
俺は思わず聞き返す。あの新聞記事によると、無期懲役で確定したんじゃなかったのか。
「彼の有罪の決め手になったのが、華さんの爪に残ってた彼の皮膚なんだ」
俺はうなずく。記事にもそうあった。
設楽は自分の指先をじっと見つめている。
「で、今彼と彼の弁護士が主張しているのが、その皮膚片がいつ華さんの爪に入ったか、ってこと」
山ノ内さんはコーヒーをひとくち飲んで、続ける。
「彼らが言うには、事件の前日夜、つまり数時間前だね、家を訪ねた時にひっかかれた、と」
「その記憶はありませんけど」
設楽は言った。
「ひっかいたのは、あの時です」
「……もしかしたら、その証言を頼むかも」
山ノ内さんは言いにくそうに言った。
「します」
設楽は即答した。
「私、」
「すぐに決めなくていいよ」
山ノ内さんは言う。
「そもそも受理されるかも分からない」
淡々という山ノ内さんに、設楽は神妙に頷いた。
その日は設楽を家まで送って、くれぐれも考えすぎないように言い含めた。
「いいか、お前はひとりで考えすぎるし突っ走るから、絶対一人で行動するな」
「う、分かったよ」
バツが悪そうな顔をする設楽の額にデコピン一発、少し痛そうなそこにキスを落とす。
「じゃあな、また」
「うん……次いつ会えるかな」
「スケジュール分かり次第メールするわ」
「うん」
嬉しそうな設楽が玄関に入るまで見届けて、踵を返す。すぐ横を大型バイクが走り抜けて、俺はすこしだけ目を伏せた。
(……見張られてるってのは、まぁ、気持ちいいもんじゃねぇよなぁ)
"そいつら"の存在に気づいたのは随分前だけど、多分小学生の頃にはもういたんだろうと思う。
尾行、とはまた違う。もしかしたら設楽のばーさんがなにか噛んでんじゃねぇかなとも思っているが、確証はない。
翌日、俺は初めて(高熱が出た小学生以来で)朝練をサボった。
向かうは国会議事堂前。昨日と同じところ。
行き交うのは、出勤する省庁あたりの人間か? 制服姿の高校生に、軽く目線を送るものの、気を止めるような人間はいない。忙しいんだろうと思う。
時折パトカーが巡回だろうか、赤色灯をつけたまま道路を忙しく行き来する。サイレンは鳴っていないが、まぁ気ぜわしくはなるーー。
何もしてないのに。俺は苦笑した。
スマホで時計を見る。
(授業も間に合わねーな)
こうなりゃ学校サボるか、なんて思いながら人の波を見る。
(いねぇな)
外したか、と俺は思う。昨日の男。スーツだったし、この辺で働いてんのかと思ったんだけど。
人の波も落ち着いてきた。
「きみ」
「……うっす」
二人組の、制服の警察官が目の前に立っている。やたらとにこやかなのが、かえって怖い。
「どうしたの? ずっとここにいるよね」
「学校の課題で」
俺は目線を図書館方面に向けた。
「図書館行かないといけねーんすけど、ダチが寝坊したみたいで」
「そうなの? 学生証ある?」
素直に学生証を渡す。
「荷物も見ていいかな?」
「うす」
これも素直に鞄を渡した。
「やたらと素直だね? 慣れてる?」
その言葉に苦笑いする。職質なんか慣れててたまるか。
「父親がケーカンっす」
「あれ、この学校……で、黒田か。ごめん、空手してる?」
「うっす」
「やっぱり。もしかして黒田警部補の息子さんかな?」
「お知り合いっすか」
意外な気持ちで、俺はその警察官を見た。親父と同じくらいの年齢か。
「いや、似てるなとは思ったんだよね」
「神奈川県警の黒田さん?」
もう1人の若い警官が少し面白そうに言った。
「あの黒田さん?」
「そう、あの」
俺はなんだか居た堪れない気持ちになった。何してんだあのクソ親父。何したんだ。警視庁にまで知られてんぞ……!
「あ、ごめん変な意味じゃないよ。あんなにいい刑事さん、なかなかいない」
「合同捜査で、ウチの本部長が怒鳴られた話は語り草だよ」
「……ご迷惑を」
ひたすら恐縮した。警官2人は朗らかに笑うと、「友達早く来るといいな」とあっさりと俺を解放してくれた。
それからすぐのことだ。
植え込みのある壁近くで張り込み続けて、もう時刻は10時を過ぎようとしているーーその時やっと、俺は動いた。
「見つけた」
手首を掴まれたその男は、一瞬ぽかんとした後ハッとした表情になった。
「は、離して」
「逃げねーならいいっすよ」
じっと見つめる。男はしばらく逡巡して、それからため息をつくように「……昨日、設楽華さんといましたね」と呟いた。身体から力が抜ける。俺は手を離した。
「あんた、なんなんすか」
「何、とは」
「設楽の母親殺した男の何」
男は、ぎくりと肩を揺らした後、低い声で、絞るように言った。
「あの男はーー設楽さんを殺したのは、僕の父親です……」
それから弱々しく笑った。
「まさか街中で会うなんて思いもしませんでした」
「話聞かせてもらえるっすか」
「少し待ってもらえますか」
男は、その紫の風呂敷包みを軽く持ち上げた。
「書類を届けなくてはいけないので」
「どこに」
「そこ」
男の目線の先には、国会議事堂。
「逃げも隠れも、しませんから」
そう言って、彼は俺に名刺を渡した。
「……自衛官なんすか」
「ええと、自衛隊員、といえばそうなんですけど」
男ーー名刺によると、上田さんは困ったように笑った。
「僕は防衛庁の職員です……国会図書館のカフェでいいかな」
俺は頷いた。今日はもう、学校へ行く気はなかった。
落ち着いた山ノ内さんの声。
「絶対に出所はしてない……再審を求めて、いま係争中なんだ」
「再審?」
俺は思わず聞き返す。あの新聞記事によると、無期懲役で確定したんじゃなかったのか。
「彼の有罪の決め手になったのが、華さんの爪に残ってた彼の皮膚なんだ」
俺はうなずく。記事にもそうあった。
設楽は自分の指先をじっと見つめている。
「で、今彼と彼の弁護士が主張しているのが、その皮膚片がいつ華さんの爪に入ったか、ってこと」
山ノ内さんはコーヒーをひとくち飲んで、続ける。
「彼らが言うには、事件の前日夜、つまり数時間前だね、家を訪ねた時にひっかかれた、と」
「その記憶はありませんけど」
設楽は言った。
「ひっかいたのは、あの時です」
「……もしかしたら、その証言を頼むかも」
山ノ内さんは言いにくそうに言った。
「します」
設楽は即答した。
「私、」
「すぐに決めなくていいよ」
山ノ内さんは言う。
「そもそも受理されるかも分からない」
淡々という山ノ内さんに、設楽は神妙に頷いた。
その日は設楽を家まで送って、くれぐれも考えすぎないように言い含めた。
「いいか、お前はひとりで考えすぎるし突っ走るから、絶対一人で行動するな」
「う、分かったよ」
バツが悪そうな顔をする設楽の額にデコピン一発、少し痛そうなそこにキスを落とす。
「じゃあな、また」
「うん……次いつ会えるかな」
「スケジュール分かり次第メールするわ」
「うん」
嬉しそうな設楽が玄関に入るまで見届けて、踵を返す。すぐ横を大型バイクが走り抜けて、俺はすこしだけ目を伏せた。
(……見張られてるってのは、まぁ、気持ちいいもんじゃねぇよなぁ)
"そいつら"の存在に気づいたのは随分前だけど、多分小学生の頃にはもういたんだろうと思う。
尾行、とはまた違う。もしかしたら設楽のばーさんがなにか噛んでんじゃねぇかなとも思っているが、確証はない。
翌日、俺は初めて(高熱が出た小学生以来で)朝練をサボった。
向かうは国会議事堂前。昨日と同じところ。
行き交うのは、出勤する省庁あたりの人間か? 制服姿の高校生に、軽く目線を送るものの、気を止めるような人間はいない。忙しいんだろうと思う。
時折パトカーが巡回だろうか、赤色灯をつけたまま道路を忙しく行き来する。サイレンは鳴っていないが、まぁ気ぜわしくはなるーー。
何もしてないのに。俺は苦笑した。
スマホで時計を見る。
(授業も間に合わねーな)
こうなりゃ学校サボるか、なんて思いながら人の波を見る。
(いねぇな)
外したか、と俺は思う。昨日の男。スーツだったし、この辺で働いてんのかと思ったんだけど。
人の波も落ち着いてきた。
「きみ」
「……うっす」
二人組の、制服の警察官が目の前に立っている。やたらとにこやかなのが、かえって怖い。
「どうしたの? ずっとここにいるよね」
「学校の課題で」
俺は目線を図書館方面に向けた。
「図書館行かないといけねーんすけど、ダチが寝坊したみたいで」
「そうなの? 学生証ある?」
素直に学生証を渡す。
「荷物も見ていいかな?」
「うす」
これも素直に鞄を渡した。
「やたらと素直だね? 慣れてる?」
その言葉に苦笑いする。職質なんか慣れててたまるか。
「父親がケーカンっす」
「あれ、この学校……で、黒田か。ごめん、空手してる?」
「うっす」
「やっぱり。もしかして黒田警部補の息子さんかな?」
「お知り合いっすか」
意外な気持ちで、俺はその警察官を見た。親父と同じくらいの年齢か。
「いや、似てるなとは思ったんだよね」
「神奈川県警の黒田さん?」
もう1人の若い警官が少し面白そうに言った。
「あの黒田さん?」
「そう、あの」
俺はなんだか居た堪れない気持ちになった。何してんだあのクソ親父。何したんだ。警視庁にまで知られてんぞ……!
「あ、ごめん変な意味じゃないよ。あんなにいい刑事さん、なかなかいない」
「合同捜査で、ウチの本部長が怒鳴られた話は語り草だよ」
「……ご迷惑を」
ひたすら恐縮した。警官2人は朗らかに笑うと、「友達早く来るといいな」とあっさりと俺を解放してくれた。
それからすぐのことだ。
植え込みのある壁近くで張り込み続けて、もう時刻は10時を過ぎようとしているーーその時やっと、俺は動いた。
「見つけた」
手首を掴まれたその男は、一瞬ぽかんとした後ハッとした表情になった。
「は、離して」
「逃げねーならいいっすよ」
じっと見つめる。男はしばらく逡巡して、それからため息をつくように「……昨日、設楽華さんといましたね」と呟いた。身体から力が抜ける。俺は手を離した。
「あんた、なんなんすか」
「何、とは」
「設楽の母親殺した男の何」
男は、ぎくりと肩を揺らした後、低い声で、絞るように言った。
「あの男はーー設楽さんを殺したのは、僕の父親です……」
それから弱々しく笑った。
「まさか街中で会うなんて思いもしませんでした」
「話聞かせてもらえるっすか」
「少し待ってもらえますか」
男は、その紫の風呂敷包みを軽く持ち上げた。
「書類を届けなくてはいけないので」
「どこに」
「そこ」
男の目線の先には、国会議事堂。
「逃げも隠れも、しませんから」
そう言って、彼は俺に名刺を渡した。
「……自衛官なんすか」
「ええと、自衛隊員、といえばそうなんですけど」
男ーー名刺によると、上田さんは困ったように笑った。
「僕は防衛庁の職員です……国会図書館のカフェでいいかな」
俺は頷いた。今日はもう、学校へ行く気はなかった。
0
お気に入りに追加
3,084
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!
神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう.......
だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!?
全8話完結 完結保証!!
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
破滅回避の契約結婚だったはずなのに、お義兄様が笑顔で退路を塞いでくる!~意地悪お義兄様はときどき激甘~
狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
☆おしらせ☆
8/25の週から更新頻度を変更し、週に2回程度の更新ペースになります。どうぞよろしくお願いいたします。
☆あらすじ☆
わたし、マリア・アラトルソワは、乙女ゲーム「ブルーメ」の中の悪役令嬢である。
十七歳の春。
前世の記憶を思い出し、その事実に気が付いたわたしは焦った。
乙女ゲームの悪役令嬢マリアは、すべての攻略対象のルートにおいて、ヒロインの恋路を邪魔する役割として登場する。
わたしの活躍(?)によって、ヒロインと攻略対象は愛を深め合うのだ。
そんな陰の立役者(?)であるわたしは、どの攻略対象ルートでも悲しいほどあっけなく断罪されて、国外追放されたり修道院送りにされたりする。一番ひどいのはこの国の第一王子ルートで、刺客を使ってヒロインを殺そうとしたわたしを、第一王子が正当防衛とばかりに斬り殺すというものだ。
ピンチだわ。人生どころか前世の人生も含めた中での最大のピンチ‼
このままではまずいと、わたしはあまり賢くない頭をフル回転させて考えた。
まだゲームははじまっていない。ゲームのはじまりは来年の春だ。つまり一年あるが…はっきり言おう、去年の一年間で、もうすでにいろいろやらかしていた。このままでは悪役令嬢まっしぐらだ。
うぐぐぐぐ……。
この状況を打破するためには、どうすればいいのか。
一生懸命考えたわたしは、そこでピコンと名案ならぬ迷案を思いついた。
悪役令嬢は、当て馬である。
ヒロインの恋のライバルだ。
では、物理的にヒロインのライバルになり得ない立場になっておけば、わたしは晴れて当て馬的な役割からは解放され、悪役令嬢にはならないのではあるまいか!
そしておバカなわたしは、ここで一つ、大きな間違いを犯す。
「おほほほほほほ~」と高笑いをしながらわたしが向かった先は、お兄様の部屋。
お兄様は、実はわたしの従兄で、本当の兄ではない。
そこに目を付けたわたしは、何も考えずにこう宣った。
「お兄様、わたしと(契約)結婚してくださいませ‼」
このときわたしは、失念していたのだ。
そう、お兄様が、この上なく厄介で意地悪で、それでいて粘着質な男だったと言うことを‼
そして、わたしを嫌っていたはずの攻略対象たちの様子も、なにやら変わってきてーー
※タイトル変更しました
悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?
りーさん
恋愛
気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?
こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。
他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。
もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!
そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……?
※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。
1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる