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空手少年は息をひそめる(side秋月翔)
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「オイこら秋月大丈夫か」
「大丈夫……、ごめん、タケちゃん」
お風呂のあと、俺はひっくり返っていた。湯あたりしたのだ。
大浴場から出てすぐの休憩スペース。自販機と、1人がけのソファがたくさん置いてあるそこで、俺はタケちゃんが買ってくれた麦茶をちょこちょこ飲みつつ、体力の回復をはかっていた。
「お、こっち長いのあるじゃん、寝てろ」
「あ。ほんと」
自動販売機の裏、木製のついたてで見えにくくなっていたが、竹製の、横になれるような長椅子。
よろよろと移動して、ごろんと横になる。タケちゃんもその椅子の隅っこに座って「まぁしかしお前が優勝だよ」とにやりと笑った。
「でしょー?」
「けどな、そんなになるまで我慢しなくていいじゃねえか」
「なんとなくだよ、なんとなく……」
そう、なんとなく、クラスの男子何人かで「誰が最後まで湯船に浸かれるか選手権」を開催してしまったのだ。そして湯あたりしている。まさしく自業自得だ。
「あ、でも結構良くなってきた」
「もう少し集合まであるから寝てろ」
「うん」
素直に頷いて、天井でくるくる回っているでかいファンを眺める。扇風機の涼しくないやつみたいなの。
「あれってさぁ、なんのために回ってんの」
「あ? あー、空気ジュンカンさせてんだろ」
「出来んのかなあんなゆっくりで」
「できるから商品になってんじゃねぇの」
「そうかなぁ……」
それから俺たちは少しだけ無言になった。ファンは相変わらずくるくる回っている。
その時、女風呂の出口が騒がしくなった。集団で女子が出てきたのだ。多分、声からしてクラスの子。
「え、そうなの!? あいつらそうなんだ」
「うっそ!」
「ねー、意外だよね、いつから付き合ってんのかな」
「クラス違うと気づかないね」
「ね」
どうやらコイバナのようだ。
ちらりとタケちゃんを見上げたけど、タケちゃんは興味なさそうにペットボトルの麦茶のフタをあけていた。
彼女たちの楽しそうな声は、徐々に近づいて、やがて自動販売機の前まで来た。ついたてがあるので、向こうはこっちに気づいてないだろうなぁ、と思う。
「てかさ、黒田」
さすがに自分の名前が出たので、タケちゃんも眉を上げた。
ついたての向こうでは、女の子たちがジュースを選んでいる音がする。ぴー、がしゃん。
「アイツ、設楽ちゃん好きじゃんね」
「わかる」
「バレバレ」
タケちゃんはどうでもよさそうに麦茶を飲んだ。バレてても別にいいんだろう。てか、そもそも華ちゃん本人が気づいてないことが驚きだ。
「高嶺の花じゃんね」
「ひよとツートップだよね、6年で……あ、わたしオレンジジュースにしよ」
うんうん、とうなずく。ほんとにあの2人は可愛い。華ちゃんは、可愛いというより美人さんだけど。
「優しいし、大人っぽいしね、基本。給食の時以外」
「あ、うん給食の時以外」
タケちゃんは少し面白そうに口だけで笑った。
「でもさ、高嶺の花だけどさ、押したらいけそーじゃない? 黒田」
「え、そう?」
「だってそこそこ顔いいし、ブッキラボーだけど優しくない?」
「まぁね」
自分が褒められているのが多少面映ゆいのか、タケちゃんはものすごく深く眉間にしわを寄せた。
(今更ここにいるってバレたら気まずいなぁ)
俺はファンを見上げながら息をひそめる。タケちゃんもさすがに麦茶を飲む手を止めていた。
「てか設楽さんも、ちょっと黒田には甘えてるフシある」
「えっまじ?」
「あ、分かる、雰囲気そんな」
「えっ黒田行けるくないそれ? あっこくっついたら面白いんだけど」
「ヘタにいじると黒田引きそう。とりあえず観察だけしとこ」
「そうしよ」
「ねー」
ふふふ、と女の子たちは楽しそうに笑う。
最後の1人がジュースを買い終わったようで、足音がゆっくりと離れていく。
「てかその設楽さんさ、胸やばい」
「気づかなかったよねー」
「きやせする? っていうの?」
「肌も白くてキレーだよね。なんかケアしてんのかな」
「アンタ触ってたじゃん」
「うーん、あれやばいね、女のわたしでもやばかったね」
「うっそまじ、触らせて貰えばよかった」
「設楽ちゃんそーいうの嫌がりそうじゃん、やめときな」
「えー」
女の子たちは角を曲がって行って、声も遠のいて行った。
ちらり、タケちゃんを見上げる。
頭を抱えていた。
「秋月、俺は」
「うん」
「最後のは聞かなかったことにしたい、忘れたい」
「え、なんで」
きょとんと、見上げる。ラッキー情報じゃんとか思っちゃう。
「バカかお前は。見ちゃうだろーが」
「え、見ちゃうの」
「見たら失礼だろ」
「バレるかな」
「バレるバレないじゃねぇよ」
はぁ、と息をついてタケちゃんは麦茶を一気にあおった。
「俺はもう煩悩しかない。出家するか……」
「たたたタケちゃん!?」
「こんな煩悩まみれで設楽の顔見れねー」
「いや仕方ないよ、保健の授業でもさ」
「保健の授業の話はいいんだ、俺のモラルの問題だ」
「モラルねぇ……」
俺はよいしょ、と起き上がった。
「もう大丈夫なのか」
「うん」
すっかり体調もいい。
「あのさ、タケちゃんさ、しょーがないって。俺らそういう年頃だもん」
「年頃だとか年頃じゃねえとかじゃねーだろ。俺がそういうヨコシマな目であいつ見たくない」
「タケちゃんってすごい、なんていうか、案外ナカミ、乙女だよね……」
「うるせぇ。水かぶってくる」
タケちゃんは立ち上がり、また大浴場へ歩いて行ってしまった。
仕方ないので、自販機前に移動して1人がけソファでちびちび麦茶を飲んでいると「あれ秋月くん」とひよりちゃんと華ちゃんに声をかけられた。
お風呂上がりで上気した肌は、ちょっと色っぽい、というかなんというか、で。
(あ、たしかに気まずい)
俺もちょっと目線をずらして華ちゃんを見る。
不思議そうな華ちゃん。
「あ、ところでタケルは? うんこ?」
ひよりちゃんは本当にイトコに対する遠慮がない。というか、うんこって。俺に対しても恋愛感情とか一切ないよねこの発言……いいさ、頑張る。
「タケちゃんはねぇ、えっと。ゴリラ」
ゴリラじゃないな。なんだっけ。水浴びじゃなくて、えっと。
ひよりちゃんは「確かにあいつゴリラだけどさ!」と爆笑していた。ああ可愛い。ひよりちゃんが笑ってくれるなら、なんでもいいなぁ。
「ゴリラ?」
華ちゃんは首を傾げた。
「水ゴリラ」
俺は答える。これでもないな。なんか惜しいかんじ。
「水垢離?」
「そうそれ」
俺はぽん、と手をうった。
「それ。水垢離」
「どうして?」
「えっと、修行の一環?」
「あ、そうなんだ。やっぱ空手家は違うね」
華ちゃんは少し嬉しそうに笑って、ひよりちゃんは相変わらずゴリラで爆笑していた。ツボだったらしい。
「ひゃひゃひゃ、じゃーわたしたちもジュース飲みながら空手ゴリラ待とう」
「あは、そうしようか」
笑いながらジュースをえらぶ2人をみながら、タケちゃんお風呂上がりの華ちゃん見てどんな反応するかな、って俺は少しだけ楽しみになってきてたりする。
「大丈夫……、ごめん、タケちゃん」
お風呂のあと、俺はひっくり返っていた。湯あたりしたのだ。
大浴場から出てすぐの休憩スペース。自販機と、1人がけのソファがたくさん置いてあるそこで、俺はタケちゃんが買ってくれた麦茶をちょこちょこ飲みつつ、体力の回復をはかっていた。
「お、こっち長いのあるじゃん、寝てろ」
「あ。ほんと」
自動販売機の裏、木製のついたてで見えにくくなっていたが、竹製の、横になれるような長椅子。
よろよろと移動して、ごろんと横になる。タケちゃんもその椅子の隅っこに座って「まぁしかしお前が優勝だよ」とにやりと笑った。
「でしょー?」
「けどな、そんなになるまで我慢しなくていいじゃねえか」
「なんとなくだよ、なんとなく……」
そう、なんとなく、クラスの男子何人かで「誰が最後まで湯船に浸かれるか選手権」を開催してしまったのだ。そして湯あたりしている。まさしく自業自得だ。
「あ、でも結構良くなってきた」
「もう少し集合まであるから寝てろ」
「うん」
素直に頷いて、天井でくるくる回っているでかいファンを眺める。扇風機の涼しくないやつみたいなの。
「あれってさぁ、なんのために回ってんの」
「あ? あー、空気ジュンカンさせてんだろ」
「出来んのかなあんなゆっくりで」
「できるから商品になってんじゃねぇの」
「そうかなぁ……」
それから俺たちは少しだけ無言になった。ファンは相変わらずくるくる回っている。
その時、女風呂の出口が騒がしくなった。集団で女子が出てきたのだ。多分、声からしてクラスの子。
「え、そうなの!? あいつらそうなんだ」
「うっそ!」
「ねー、意外だよね、いつから付き合ってんのかな」
「クラス違うと気づかないね」
「ね」
どうやらコイバナのようだ。
ちらりとタケちゃんを見上げたけど、タケちゃんは興味なさそうにペットボトルの麦茶のフタをあけていた。
彼女たちの楽しそうな声は、徐々に近づいて、やがて自動販売機の前まで来た。ついたてがあるので、向こうはこっちに気づいてないだろうなぁ、と思う。
「てかさ、黒田」
さすがに自分の名前が出たので、タケちゃんも眉を上げた。
ついたての向こうでは、女の子たちがジュースを選んでいる音がする。ぴー、がしゃん。
「アイツ、設楽ちゃん好きじゃんね」
「わかる」
「バレバレ」
タケちゃんはどうでもよさそうに麦茶を飲んだ。バレてても別にいいんだろう。てか、そもそも華ちゃん本人が気づいてないことが驚きだ。
「高嶺の花じゃんね」
「ひよとツートップだよね、6年で……あ、わたしオレンジジュースにしよ」
うんうん、とうなずく。ほんとにあの2人は可愛い。華ちゃんは、可愛いというより美人さんだけど。
「優しいし、大人っぽいしね、基本。給食の時以外」
「あ、うん給食の時以外」
タケちゃんは少し面白そうに口だけで笑った。
「でもさ、高嶺の花だけどさ、押したらいけそーじゃない? 黒田」
「え、そう?」
「だってそこそこ顔いいし、ブッキラボーだけど優しくない?」
「まぁね」
自分が褒められているのが多少面映ゆいのか、タケちゃんはものすごく深く眉間にしわを寄せた。
(今更ここにいるってバレたら気まずいなぁ)
俺はファンを見上げながら息をひそめる。タケちゃんもさすがに麦茶を飲む手を止めていた。
「てか設楽さんも、ちょっと黒田には甘えてるフシある」
「えっまじ?」
「あ、分かる、雰囲気そんな」
「えっ黒田行けるくないそれ? あっこくっついたら面白いんだけど」
「ヘタにいじると黒田引きそう。とりあえず観察だけしとこ」
「そうしよ」
「ねー」
ふふふ、と女の子たちは楽しそうに笑う。
最後の1人がジュースを買い終わったようで、足音がゆっくりと離れていく。
「てかその設楽さんさ、胸やばい」
「気づかなかったよねー」
「きやせする? っていうの?」
「肌も白くてキレーだよね。なんかケアしてんのかな」
「アンタ触ってたじゃん」
「うーん、あれやばいね、女のわたしでもやばかったね」
「うっそまじ、触らせて貰えばよかった」
「設楽ちゃんそーいうの嫌がりそうじゃん、やめときな」
「えー」
女の子たちは角を曲がって行って、声も遠のいて行った。
ちらり、タケちゃんを見上げる。
頭を抱えていた。
「秋月、俺は」
「うん」
「最後のは聞かなかったことにしたい、忘れたい」
「え、なんで」
きょとんと、見上げる。ラッキー情報じゃんとか思っちゃう。
「バカかお前は。見ちゃうだろーが」
「え、見ちゃうの」
「見たら失礼だろ」
「バレるかな」
「バレるバレないじゃねぇよ」
はぁ、と息をついてタケちゃんは麦茶を一気にあおった。
「俺はもう煩悩しかない。出家するか……」
「たたたタケちゃん!?」
「こんな煩悩まみれで設楽の顔見れねー」
「いや仕方ないよ、保健の授業でもさ」
「保健の授業の話はいいんだ、俺のモラルの問題だ」
「モラルねぇ……」
俺はよいしょ、と起き上がった。
「もう大丈夫なのか」
「うん」
すっかり体調もいい。
「あのさ、タケちゃんさ、しょーがないって。俺らそういう年頃だもん」
「年頃だとか年頃じゃねえとかじゃねーだろ。俺がそういうヨコシマな目であいつ見たくない」
「タケちゃんってすごい、なんていうか、案外ナカミ、乙女だよね……」
「うるせぇ。水かぶってくる」
タケちゃんは立ち上がり、また大浴場へ歩いて行ってしまった。
仕方ないので、自販機前に移動して1人がけソファでちびちび麦茶を飲んでいると「あれ秋月くん」とひよりちゃんと華ちゃんに声をかけられた。
お風呂上がりで上気した肌は、ちょっと色っぽい、というかなんというか、で。
(あ、たしかに気まずい)
俺もちょっと目線をずらして華ちゃんを見る。
不思議そうな華ちゃん。
「あ、ところでタケルは? うんこ?」
ひよりちゃんは本当にイトコに対する遠慮がない。というか、うんこって。俺に対しても恋愛感情とか一切ないよねこの発言……いいさ、頑張る。
「タケちゃんはねぇ、えっと。ゴリラ」
ゴリラじゃないな。なんだっけ。水浴びじゃなくて、えっと。
ひよりちゃんは「確かにあいつゴリラだけどさ!」と爆笑していた。ああ可愛い。ひよりちゃんが笑ってくれるなら、なんでもいいなぁ。
「ゴリラ?」
華ちゃんは首を傾げた。
「水ゴリラ」
俺は答える。これでもないな。なんか惜しいかんじ。
「水垢離?」
「そうそれ」
俺はぽん、と手をうった。
「それ。水垢離」
「どうして?」
「えっと、修行の一環?」
「あ、そうなんだ。やっぱ空手家は違うね」
華ちゃんは少し嬉しそうに笑って、ひよりちゃんは相変わらずゴリラで爆笑していた。ツボだったらしい。
「ひゃひゃひゃ、じゃーわたしたちもジュース飲みながら空手ゴリラ待とう」
「あは、そうしようか」
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