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箱庭のおつかい[1]
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「ふんふふーん♪」
少し駆け足で部室へ向かう。今日は響野と音乃先輩が外の事件の処理に当たっているはず。つまり、今部室に居るのは部長だけ!つまり、幾らでも甘えられるはず…!扉を勢いよく開き、大声で叫ぶ。
「ぶちょー、おはようございま―」
戸の奥では部長と真白ちゃんがこちらを見ていた。
「…す?」
「おぉ、丁度良いところに来たの。祈、ちょっと頼めるか?」
背筋を汗が伝う。こんな事を言われていい事が起きた事なんか無い。大丈夫、今すぐ逃げれば…
「少し、お使いを頼まれてくれないか?」
「うっ…」
嫌だ、もう学校で疲れたのにお使いなんで嫌だよ…。あ!そうだ、もう1人道連れにしてやる!
「―部長、御霊は疲れちゃったから、荷物を持ってくれる優しいお姉さんが必要なんだけど…。」
ちらっ、ちらっと目線を送る。
「…と言う事じゃ。頼めるか?真白。」
「結局私も行く事になるのか…。まあ、いいよ。」
「やったー!」
跳ねて喜びを表現する。これで御霊は真白ちゃんと一緒に歩いて、いい感じに商品を選ぶだけ。ついでに、あんまり話せて無かった真白ちゃんとも話せる!
「それじゃ、行こっ!」
「祈…さん?」
「御霊でいいよ!」
月橋は他の町よりずっと霊に対して関わりが深いらしい。まあ、御霊は他の街に行った事も無いんだけど。そんな訳だから、結構沢山の店が集合してるんで、買い物も飛び回る必要もない。
「そいえば、真白ちゃんはお店に行くのも初めてだよね。私がちゃんと案内するから、任せてね!」
「ありがとね、御霊ちゃん。」
舗装された石畳の上を歩きながら、時折真白ちゃんの方を見上げる。真っ白な髪が風にたなびいていて、とってもきれい。
「あ、真白ちゃん、一軒目に着いたよ!」
古い木造建築の家。と言っても、この周りのおうちも全部そんな感じ。いつも通り、リズムよくノックする。これも結界のなんやかんやに必要なやつだって部長が言ってた。
「ごめんください、御霊だよ!」
そう戸に向かって話すと、ゆっくりと扉が開く。
「おやおや、御霊ちゃん。今日はどんな用事で―」
紙屋のお姉さんは真白ちゃんを見ると、しばらくじっと見つめる。…何かあったのかな?
「これはこれは、随分美しい白髪じゃないか。眼鏡を掛けなくても分かるさ。君、名前は?」
「真白です。」
ツインテールの一房を手に取り、さらさらと触りながらお姉さんは名前を書き留める。
「おっと、すまない。御霊ちゃん達のおつかいだったね。ほら、注文を教えてごらん?」
「えーっと、『いたじめし』を一匁、『てんぐじょうし』も一匁、そして『こうぞし』が三匁!」
噛みそうになったけど、なんとか発音してドヤ顔で紙屋のお姉さんの方を向く。
「よし、よく言えたねぇ。それじゃ、ほらこれ。持ってきな。」
「真白ちゃん、頼んだよ。」
折り畳んだ紙を籠に仕舞い、私達は店を出た。
「それじゃ、次のお店行こっか!」
私達の買い物はまだまだ続く。
少し駆け足で部室へ向かう。今日は響野と音乃先輩が外の事件の処理に当たっているはず。つまり、今部室に居るのは部長だけ!つまり、幾らでも甘えられるはず…!扉を勢いよく開き、大声で叫ぶ。
「ぶちょー、おはようございま―」
戸の奥では部長と真白ちゃんがこちらを見ていた。
「…す?」
「おぉ、丁度良いところに来たの。祈、ちょっと頼めるか?」
背筋を汗が伝う。こんな事を言われていい事が起きた事なんか無い。大丈夫、今すぐ逃げれば…
「少し、お使いを頼まれてくれないか?」
「うっ…」
嫌だ、もう学校で疲れたのにお使いなんで嫌だよ…。あ!そうだ、もう1人道連れにしてやる!
「―部長、御霊は疲れちゃったから、荷物を持ってくれる優しいお姉さんが必要なんだけど…。」
ちらっ、ちらっと目線を送る。
「…と言う事じゃ。頼めるか?真白。」
「結局私も行く事になるのか…。まあ、いいよ。」
「やったー!」
跳ねて喜びを表現する。これで御霊は真白ちゃんと一緒に歩いて、いい感じに商品を選ぶだけ。ついでに、あんまり話せて無かった真白ちゃんとも話せる!
「それじゃ、行こっ!」
「祈…さん?」
「御霊でいいよ!」
月橋は他の町よりずっと霊に対して関わりが深いらしい。まあ、御霊は他の街に行った事も無いんだけど。そんな訳だから、結構沢山の店が集合してるんで、買い物も飛び回る必要もない。
「そいえば、真白ちゃんはお店に行くのも初めてだよね。私がちゃんと案内するから、任せてね!」
「ありがとね、御霊ちゃん。」
舗装された石畳の上を歩きながら、時折真白ちゃんの方を見上げる。真っ白な髪が風にたなびいていて、とってもきれい。
「あ、真白ちゃん、一軒目に着いたよ!」
古い木造建築の家。と言っても、この周りのおうちも全部そんな感じ。いつも通り、リズムよくノックする。これも結界のなんやかんやに必要なやつだって部長が言ってた。
「ごめんください、御霊だよ!」
そう戸に向かって話すと、ゆっくりと扉が開く。
「おやおや、御霊ちゃん。今日はどんな用事で―」
紙屋のお姉さんは真白ちゃんを見ると、しばらくじっと見つめる。…何かあったのかな?
「これはこれは、随分美しい白髪じゃないか。眼鏡を掛けなくても分かるさ。君、名前は?」
「真白です。」
ツインテールの一房を手に取り、さらさらと触りながらお姉さんは名前を書き留める。
「おっと、すまない。御霊ちゃん達のおつかいだったね。ほら、注文を教えてごらん?」
「えーっと、『いたじめし』を一匁、『てんぐじょうし』も一匁、そして『こうぞし』が三匁!」
噛みそうになったけど、なんとか発音してドヤ顔で紙屋のお姉さんの方を向く。
「よし、よく言えたねぇ。それじゃ、ほらこれ。持ってきな。」
「真白ちゃん、頼んだよ。」
折り畳んだ紙を籠に仕舞い、私達は店を出た。
「それじゃ、次のお店行こっか!」
私達の買い物はまだまだ続く。
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