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顔合わせ
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「んむぅ…。」
音が聞こえた。重たい瞼を開けて、起き上がる。ふと見渡すと、枕の横に充電中のスマホが光っていた。
「あれ、目覚ましは11時のはずなのに…」
確認すると、1通。いつのまにか繋がれていたLINEで誰かから連絡が来ていた。『9時より部室に集合。』
「…。やだなぁ…。」
回らない頭をどうにか働かせて、服を着替える。こうして私の優雅な入学式の翌日の休日は、あやかし研究部によって潰されたのである。許すまじ。
「えと、失礼しまーす…。」
こんこん、とノックをしてから件の倉庫に入る。8:45分。ちょっと早めに着たつもりだったが、部室の中には昨日の二人が居た。
「真白、おはようです」
「おはようなのじゃ。」
どうやら2人でオセロをしている。と言っても、かなり猫耳の方が劣勢のようだ。盤面はほぼ真っ白に染まっている。だってどう見ても中学生だもんあいつ。
「ふぅ…。」
あの2人の試合が終わるまで、少し本を読む。
「―これで終わりじゃな。」
数分後。どうやら試合が終わったらしい。本をぱたりと閉じ、盤面を見ると。そこには―
「ま、わしに勝つには1000年早いのじゃ!」
そこには真っ黒な盤面と、尻尾を振りながら喜ぶ中学生の姿が。そのタイミングで、開け放たれた扉から人が入って来る。
「あれ、部長、またオセロやってるの?」
「皆さん、おはようございます♪」
「それで、つまり今日は私の紹介と私への紹介をする…って事ですか。」
別の部屋にある円卓を5人で囲う。なんというか、本当に同じ部活と言えるのか分からない程ばらばらな容姿と様子だった。暫くすると、件の猫耳が立ち上がり、話す。
「それじゃあ、わしから右回りにそれぞれ自己紹介を頼む。わしは《部長》、好きな物は緑茶で嫌いな物はイカじゃ。」
え、好きな物と嫌いな物?まるで小学生の自己紹介みたいじゃないか。そう思っていると、その隣の私の命の恩人が立ち上がる。
「えーと、私は響野縁です。ショートケーキが好きでして、嫌いな物…。強いて言うなら、猫舌ですので熱い物は苦手かもしれないです。」
「私は音乃雪です!酸っぱいのと辛いのは嫌いですが、それ以外なら大体食べれますね。」
「私は祈御霊!ハンバーグとかが好きかな!んと、嫌いな物…ピーマンとか?」
なんだよこの空気。きっと他の新人もこの苦労を味わったのだろう。と自分を納得させ、羞恥を押し殺して立ち上がる。
「私は真白滝乃です。えぇと…。」
「お主、敬語が苦手じゃろう?外しても良いのじゃぞ。」
詰まると、部長が声を掛けた。きっと彼女は知らないのだろう。より気まずくなってしまう事に。
「…好きなのは卵料理で、酢の物が少し嫌い。新人で、まだこの部がどんな所かも知らないけど、よろしく。」
ぺこりと頭を下げると、拍手がまばらに飛んでくる。
「真白、ナイスじゃったぞ!」
自己紹介が一通り終わると、部長がハイタッチを求めてくる。腰を下げて手を合わせてから、再び立ち上がる。
「まさか部長が部長だとは、思っても無かったよ。」
それと、思ったより聡明な事も。なんて言ったらまたこいつの鼻が伸びそうだから、胸にしまっておいた。
「ふふ、お主が褒めるとは照れるのう…」
…まずは被読心者へのプライバシー確保を行うべきでは無いか?
音が聞こえた。重たい瞼を開けて、起き上がる。ふと見渡すと、枕の横に充電中のスマホが光っていた。
「あれ、目覚ましは11時のはずなのに…」
確認すると、1通。いつのまにか繋がれていたLINEで誰かから連絡が来ていた。『9時より部室に集合。』
「…。やだなぁ…。」
回らない頭をどうにか働かせて、服を着替える。こうして私の優雅な入学式の翌日の休日は、あやかし研究部によって潰されたのである。許すまじ。
「えと、失礼しまーす…。」
こんこん、とノックをしてから件の倉庫に入る。8:45分。ちょっと早めに着たつもりだったが、部室の中には昨日の二人が居た。
「真白、おはようです」
「おはようなのじゃ。」
どうやら2人でオセロをしている。と言っても、かなり猫耳の方が劣勢のようだ。盤面はほぼ真っ白に染まっている。だってどう見ても中学生だもんあいつ。
「ふぅ…。」
あの2人の試合が終わるまで、少し本を読む。
「―これで終わりじゃな。」
数分後。どうやら試合が終わったらしい。本をぱたりと閉じ、盤面を見ると。そこには―
「ま、わしに勝つには1000年早いのじゃ!」
そこには真っ黒な盤面と、尻尾を振りながら喜ぶ中学生の姿が。そのタイミングで、開け放たれた扉から人が入って来る。
「あれ、部長、またオセロやってるの?」
「皆さん、おはようございます♪」
「それで、つまり今日は私の紹介と私への紹介をする…って事ですか。」
別の部屋にある円卓を5人で囲う。なんというか、本当に同じ部活と言えるのか分からない程ばらばらな容姿と様子だった。暫くすると、件の猫耳が立ち上がり、話す。
「それじゃあ、わしから右回りにそれぞれ自己紹介を頼む。わしは《部長》、好きな物は緑茶で嫌いな物はイカじゃ。」
え、好きな物と嫌いな物?まるで小学生の自己紹介みたいじゃないか。そう思っていると、その隣の私の命の恩人が立ち上がる。
「えーと、私は響野縁です。ショートケーキが好きでして、嫌いな物…。強いて言うなら、猫舌ですので熱い物は苦手かもしれないです。」
「私は音乃雪です!酸っぱいのと辛いのは嫌いですが、それ以外なら大体食べれますね。」
「私は祈御霊!ハンバーグとかが好きかな!んと、嫌いな物…ピーマンとか?」
なんだよこの空気。きっと他の新人もこの苦労を味わったのだろう。と自分を納得させ、羞恥を押し殺して立ち上がる。
「私は真白滝乃です。えぇと…。」
「お主、敬語が苦手じゃろう?外しても良いのじゃぞ。」
詰まると、部長が声を掛けた。きっと彼女は知らないのだろう。より気まずくなってしまう事に。
「…好きなのは卵料理で、酢の物が少し嫌い。新人で、まだこの部がどんな所かも知らないけど、よろしく。」
ぺこりと頭を下げると、拍手がまばらに飛んでくる。
「真白、ナイスじゃったぞ!」
自己紹介が一通り終わると、部長がハイタッチを求めてくる。腰を下げて手を合わせてから、再び立ち上がる。
「まさか部長が部長だとは、思っても無かったよ。」
それと、思ったより聡明な事も。なんて言ったらまたこいつの鼻が伸びそうだから、胸にしまっておいた。
「ふふ、お主が褒めるとは照れるのう…」
…まずは被読心者へのプライバシー確保を行うべきでは無いか?
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