あやかし研究部

世界観拡張:霊力

(あやかし研究部蔵書『ほ-い』5章より)
　霊力とは、一体どんな物なのだろうか。勿論人によって解釈は異なるだろうし、何か一つの物として規定出来るような存在じゃ無い。ただ、あえて一言でまとめるのであれば『霊的事象との干渉能力』と言い表せるだろう。この章では、これまであまりあの世と関わっていなかった方々向けに、自分なりに霊力についての考察を綴ろうと思う。

　そもそも霊力というのは多くの場合、以下の二つの意味で使われることが多い。

1,先程述べた先天的、又は後天的な能力の一つ。RPGで言う所の、『知力』に当たる。

2,あの世から引き出したエネルギー。前者と同じ例えを用いるならば、『MP』に当たる。

この二つは大混在して使われる為、前後の文脈から読み解く必要がある。

　まずは前述の、『知力的霊力』について解説しようと思う。多くの場合、この霊力は先天的に決まり、また遺伝する事もしばしばある。多かれ少なかれ全ての人間がある程度は持っている能力の一つで、「風呂場で後ろから視線を感じる」「1人でいるとふと誰かの声が聞こえる」といった現象はこの霊力による影響である。
　この霊力が高ければ高い程、霊や妖、その他現代科学では解明されぬ存在を見る事が出来る。ここで注意すべきなのは、「見るという事は、見られるという事」である。霊力をあまり持っていない人間は相当の例でも無い限りその影響をあまり受けない。勿論、墓場や心霊スポットなどの例外もあるが。
　次に、『MP的霊力』についてだ。あの世というのは、非物質的な精神体の住まう、いわば高次元空間の総称である。即ち、妖怪や陰陽師はこのような別次元から力を引き出している訳だ。ちなみに、妖怪等々の異常な再生能力や身体構造などは全て「体が霊力で出来ているから」で説明がつくらしい。
　しかし、このエネルギーは少なからず人間の身体にも影響を及ぼす。特に顕著なのは髪だろう。黒→赤→青→白と、一般的な人間の許容量を上回ると、それに耐えられず色素が変化する事例が挙げられている。他にも、成長が鈍化したり、身体の構造の一部が変化するなど、様々な症例が報告されているが、我々にはあまりそのような機会は無いだろう。安心してくれ。(中略)

　―おっと、私の所にも客人が来たようだ。少しばかり〝対処〟しなくてはならない。まあ、最低限書きたい事は書けたし、一旦このあたりで筆を止めようと思う。それでは、また。