12 / 13
幼馴染が添い寝を強要してくる
しおりを挟む「…………てことで…今日…一人で寝られないんだけど…。」
腕の中でもごもご喋る暁斗である。
「……氷空は?」
「…………友達んとこ泊まりに行った…。」
「…………なるほど。」
え、…まじ???そんな…エロ漫画みたいに都合良く???
氷空ぃいいいい!!!なぜなんだぁ!!!なぜこのタイミング……!!!そういや駆もそんなこと言ってたわ!!うわぁあああああああ!!!
「おとなりどーぞ…。」
「…おう。」
なんかちょっと畏まってるっぽくて可愛い。ちくしょう。
…………静かだ…。
「あの…」
「ん?」
「…なんか、話そ?」
「なんでこそこそ話みたいなの。ふっ、」
二人で、何も隠すこともないのに囁くように話す暁斗が可愛くて笑ってしまう。
「だってなんか…声大きくしたらなんか怖いの出そう…」
……………。可愛いな。
「………………はいはい。何話すの?」
囁くように俺も言った。
「何が良い?」
「…なんでも?」
「…お母さんが晩ご飯のメニュー聞く時の一番困るやつ。」
「うん。」
二人で顔を合わせて笑う。そしてまた少し静かになった。
「…………さっきの…」
「な~に。暁斗。」
「さっきの…して?」
「………えっと…さっきの。」
「さっきの!!……………ぎゅって。」
少しだけ唇を尖らせて彼は言った。
可愛いな。可愛い。
「可愛いな。」
思わずにやけながら、抱き締めた。
「かわっ……!?可愛いって…!」
えっ、待て待て待て声に出てた!?え、まじで!?ちょっ………え!これ大丈夫なやつ!?いやそんな訳がござらん!!!
慌てて離れて、おずおずと目を見る。
「…ご、ごめん?」
「か、わいくはない、から。」
「お、う…………。」
いや可愛いって。
少し声が硬くなって、念を押すように上目遣いで見てくる。
いや可愛いって!!!
はぁ、これ俺も暁斗とは別の意味で寝られんぞ。気を抜いたら勃起する。
「は、早く…しろよ…。」
「……………勘弁しろよ…。」
俺が一瞬真顔になってたからか、暁斗が少し焦る。
「えっ…!」
「え、いやごめんこっちの話。嫌とか、そういう訳じゃないから。」
改めて、徐ろに暁斗を抱き締めた。横になりながらだから、右腕だけ暁斗の頭の下敷きになる。
触れている所が温かくて、何なら少し熱い。8月下旬とはいえ夜は少し冷えるのに。じわじわ、熱くなる。今日って熱帯夜なのか?、なんて。布団の中が少しだけ、湿度を増す。
急に何してんだろって我に帰って、少し気恥ずかしくなって。重力でひっついた薄い布団を左腕で上げると、少し足が出てしまう。布団から出た俺の足を暁斗の足が追いかけてきて、すりすりと足の甲同士で擦り付けられる。
赤くなった顔で暁斗の方を見ると、きょとんとした顔をしてこちらを見た。
あ~もう…何なのこいつ…、無自覚に煽ることしてきやがる。わざとじゃねぇのって疑うくらい的確にツボついてくる………。結局勃ったし…。
バレないように少し体を離すと、暁斗はくっついてきた。
「おまっ…」
「えっ…何???」
バレてないみたいだ…。
暁斗は顔を赤くしてはにかむように笑い、俯いた。
「………えっと…あったかいね…?」
「なっ、………おう…。」
あぁ…………拷問のような地獄のような、…徹夜の始まりだ。
皆さ~ん!久しぶりの暁斗視点ですよ~!(by作者)
暁斗▷
無理無理無理。観たこと自体には後悔ないけどいかんせん怖すぎた。巧のやつ…。いつもおっとりキャラ(?)だから、寝れなくなる程怖いやつ薦めてくるとは思ってなかった…。
まぁ…自分で誘っといて何だけど、さすがにこの歳で一緒に寝るって変かな。でも一人でいるの怖い…し、徹夜してでも何かする気分にはなれない。
けどやっぱちょっと緊張しなくもなくもなくもない…。あれ、どっちになったかな?………いやまぁ……緊張してます…です、…うん。
えっと…なんか……間が持たない。ちょっとテンパって話してるかも。こそこそ話みたいに言ってたら、微笑まれた…。その上こそこそ話みたいに返してくるし…!!ちょっと可愛いし超格好良いし!!けどなんかあっちばっか大人みたいでちょっとモヤモヤする!!
…………隣で寝てるだけって、こんな感じだっけ。…………もっと心強いような気がしてた。あ、でもさっき、怖くなくなってたよな…。
「…………さっきの…」
「な~に。暁斗。」
「さっきの…して?」
「………えっと…さっきの。」
少し困惑した声色で繰り返す忍がもどかしくなってくる。
「さっきの!!……………ぎゅって。」
言うのって、ちょっと恥ずかしいな。ハグってそのまま言うのも恥ずかしいからぎゅーにしたけど、なんかそっちの方がちびっ子みたいで恥ずかしいかも…。なんか、かっこいい言い方ないのかな…。大人ってどう言ってんだろう。
「可愛いな。」
…、え。
漏れ出るような、どちらかというと、ひとり言みたいな。
一瞬、頭が真っ白になる。
かわいい…?かわ…え、俺…??!えっ、いや、違くて、いや、でも俺しかいないし、待って、いや、…は!?
…………ていうかめちゃくちゃ良い声で言うな。その声で『可愛いな』とか言われたら、たぶん女の子イチコロだろ。あぁ、自分で想像してちょっと落ち込むけど…。
でも、何でこのタイミングで俺に言ったよ!?
あ~!!近いし!!!これ俺、心臓の音とか、本当に聞こえてない?抱き締めるの今?!
「かわっ……!?可愛いって…!」
なんか、謝られて。結局、ぐだぐだに、有耶無耶になって。一旦離れたから、ちょっと、ペースを取り戻す。けどやっぱ、何話せばいいのかはわからない、し。
「は、早く…しろよ…。」
「……………勘弁しろよ…。」
忍が一瞬真顔になってたから、少し焦る。してもらえないのかな。嫌かな。
「えっ…!」
「え、いやごめんこっちの話。嫌とか、そういう訳じゃないから。」
なんだ。良かった。
…近い。さっきは全くと言っていいほど気にならなかったのに、少し回復して恥ずかしくなってくる。熱い。夏でも夜は涼しいのに、頭も、腕も、そこから広がるみたいに熱をもつ。
忍が布団を上げたので足がはみ出る。何だか居心地が悪いような気がして、机に肘をつくみたいな自然な感覚で、足を擦り付ける。ちょっと気持ち良い。……忍、ちょっとだけ…顔、赤いかも。やっぱ暑いかな。ごめんね。
とは思ったけど、離れたのが寂しくて、意地でもくっつきたくて。
「おまっ…」
!?
「えっ…何???」
危ない、なんとか誤魔化せたか。え、待って忍勃起してる!?何故??!Why??What???
なんとか平静を取り戻しつつ、思った。
え、これってなんかえっちなイタズラとかしたら進展するかな?
……まぁ、当然ながらそんな勇気とかなくて、そのまま寝た振りして寝られなかった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
俺を注意してくる生徒会長の鼻を明かしてやりたかっただけなのに
たけむら
BL
真面目(?)な生徒会長×流されやすめなツンデレ男子高校生。そこに友達も加わって、わちゃわちゃの高校生活を送る話。
ネクタイをつけてこないことを毎日真面目に注意してくる生徒会長・伊佐野のことを面白がっていた水沢だったが、実は手のひらの上で転がされていたのは自分の方だった? そこに悪友・秋山も加わってやいのやいのにぎやか(?)な高校生活を送る話。
楽しんでいただけますように。どうぞよろしくお願いします。
[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!
小葉石
BL
有能でも少しおバカなシェインは自分の城(ひきこもり先)をゲットするべく今日も全力で頑張ります!
応募した執事面接に即合格。
雇い主はこの国の第3王子ガラット。
人嫌いの曰く付き、長く続いた使用人もいないと言うが、今、目の前の主はニッコニコ。
あれ?聞いていたのと違わない?色々と違わない?
しかし!どんな主人であろうとも、シェインの望みを叶えるために、完璧な執事をこなして見せます!
勿論オフはキッチリいただきますね。あ、その際は絶対に呼ばないでください!
*第9回BL小説大賞にエントリーしてみました。
それはきっと、気の迷い。
葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ?
主人公→睦実(ムツミ)
王道転入生→珠紀(タマキ)
全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる