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安井の場合2
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桜井は金城との面談を思い出していた。できないことを無理にできると言っても事態は良くならない。今の自分にできないことがあれば、無理に背伸びせず、正直に向き合って、誠実に目の前の相手のためにできることを考えるのが大切なんだと。
「安井さんのお役には今の僕では立てないかもしれないですが、うちの代表ならお役に立てるかもしれません。安井さんさえ良ければ代表の予定も確認して、今からあらためて面談をさせて頂きますがどうでしょう?」
安井は桜井の対応を見てこの男はやっぱり信頼できるのかもしれないと感じていた。
「代表の方さえ良ければ、ぜひお願いします。」
「わかりました。少しお待ちください。」
そう言って桜井は面談室を出ていった。5分ほど経ち、不安な気持ちが高まっているのを感じていると、桜井が帰ってきた。今度は少し年上に見える男を連れていた。
「はじめまして、代表の石原と申します。桜井からご事情は伺いました。」
石原は安井に名刺を渡しながら穏やかな表情で挨拶をした。
「安井様、心中をお察し致します。この度は同業者の対応でご不快な思いをされましたこと、心よりお詫び申し上げます。」
「いえ、石原さんに謝って頂くことじゃないですよ。」
「そうおっしゃって頂けると嬉しいです。これまでは大手のエージェントをご利用になられたとのことで、大手の担当者の方すべてが今回ご経験されたような方ばかりではないのですが、、、」
「そうなんですか?」
「実際に私の知人でも大手で素晴らしいご支援をされている方もおります。ただ、総じて申しますと大手エージェントでお勤めの方の多くは、今回のようなご対応をされるケースがあるのだと思います。」
「いえ、簡単に仕事を辞めてしまう僕が悪いので仕方ないです、、、」
「そんなことなないです!実際僕も申し訳ない対応をしてしまったのですが、悪いのは僕のような対応をしてしまうエージェントの方です!!」
桜井はこれまでにないような熱量で会話に入って来た。その姿を見て石原は少し満足そうに話をつづけた。
「実は桜井も元々大手のエージェントで活動をしていたんですが、最近うちで活動をしてくれることになったんです。」
「そうだったんですね。」
「安井様、桜井からご事情は伺ったのですが、あらためて今日はどのようなお話をさせて頂ければお役に立てそうでしょうか?」
「あの、、、」
安井は言葉に詰まりながらも、石原という男になら全ては相談できる気がして胸の内をぶちまけることにした。
「僕みたいな経歴の人間には価値がないんでしょうか!?」
意を決した表情と覚悟を感じた石原は、今まで以上に温かい表情で応えた。
「いいえ、そのようなことは決してございません。世の中にはどうしようもない、価値のない人間がいることはある意味では否定しません。ただ安井様は間違いなく、価値のない人間などではないです。」
「本当ですか、、、ありがとうございます、、、」
大学を中退して以降ずっとだが、ここ最近は特に自分を否定されるような感覚が続いていたこともあって、石原の言葉が深く胸に刺さってくるのを感じた。
「ちなみに安井様、そのように思われてしまったのはどのようなところからですか?」
「それは、、、やはり職を転々としていることとか、大学を中退していることとか、、、ですかね。僕はなんでも中途半端な人間なんです、、、」
「なるほど、では今日はその裏側を知って頂くことから始めましょうか。」
石原が「裏側」と呼ぶ話が、桜井は大好きだった。
「安井さんのお役には今の僕では立てないかもしれないですが、うちの代表ならお役に立てるかもしれません。安井さんさえ良ければ代表の予定も確認して、今からあらためて面談をさせて頂きますがどうでしょう?」
安井は桜井の対応を見てこの男はやっぱり信頼できるのかもしれないと感じていた。
「代表の方さえ良ければ、ぜひお願いします。」
「わかりました。少しお待ちください。」
そう言って桜井は面談室を出ていった。5分ほど経ち、不安な気持ちが高まっているのを感じていると、桜井が帰ってきた。今度は少し年上に見える男を連れていた。
「はじめまして、代表の石原と申します。桜井からご事情は伺いました。」
石原は安井に名刺を渡しながら穏やかな表情で挨拶をした。
「安井様、心中をお察し致します。この度は同業者の対応でご不快な思いをされましたこと、心よりお詫び申し上げます。」
「いえ、石原さんに謝って頂くことじゃないですよ。」
「そうおっしゃって頂けると嬉しいです。これまでは大手のエージェントをご利用になられたとのことで、大手の担当者の方すべてが今回ご経験されたような方ばかりではないのですが、、、」
「そうなんですか?」
「実際に私の知人でも大手で素晴らしいご支援をされている方もおります。ただ、総じて申しますと大手エージェントでお勤めの方の多くは、今回のようなご対応をされるケースがあるのだと思います。」
「いえ、簡単に仕事を辞めてしまう僕が悪いので仕方ないです、、、」
「そんなことなないです!実際僕も申し訳ない対応をしてしまったのですが、悪いのは僕のような対応をしてしまうエージェントの方です!!」
桜井はこれまでにないような熱量で会話に入って来た。その姿を見て石原は少し満足そうに話をつづけた。
「実は桜井も元々大手のエージェントで活動をしていたんですが、最近うちで活動をしてくれることになったんです。」
「そうだったんですね。」
「安井様、桜井からご事情は伺ったのですが、あらためて今日はどのようなお話をさせて頂ければお役に立てそうでしょうか?」
「あの、、、」
安井は言葉に詰まりながらも、石原という男になら全ては相談できる気がして胸の内をぶちまけることにした。
「僕みたいな経歴の人間には価値がないんでしょうか!?」
意を決した表情と覚悟を感じた石原は、今まで以上に温かい表情で応えた。
「いいえ、そのようなことは決してございません。世の中にはどうしようもない、価値のない人間がいることはある意味では否定しません。ただ安井様は間違いなく、価値のない人間などではないです。」
「本当ですか、、、ありがとうございます、、、」
大学を中退して以降ずっとだが、ここ最近は特に自分を否定されるような感覚が続いていたこともあって、石原の言葉が深く胸に刺さってくるのを感じた。
「ちなみに安井様、そのように思われてしまったのはどのようなところからですか?」
「それは、、、やはり職を転々としていることとか、大学を中退していることとか、、、ですかね。僕はなんでも中途半端な人間なんです、、、」
「なるほど、では今日はその裏側を知って頂くことから始めましょうか。」
石原が「裏側」と呼ぶ話が、桜井は大好きだった。
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