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ラーメン
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エム氏が職を失って路頭に迷っていると、道ばたのどこからか怪しげな歌声が聞こえてきた。
「サァールゥモォ――ビィビィル」
「カェールゥモォ――チィビィル」
一瞬だけ間をおく。
「サァールゥモォ――ビィビィル」
「カェールゥモォ――チィビィル」
数秒間の沈黙。
「サァールゥモォ!――ビィビィル!」
「カェールゥモォ!――チィビィル!」
「ラアーメェン!! ソオーメェン!!――ミソ」
「ラーメン!!!!」
すると、エム氏は額に777のアザがある少年とすれちがった。
「もしかして、あなたは7月7日の午前7時に生まれた、駄目安太郎こと、ダメアン様ですか?」
「いかにも、わたしがダメアンだ」
どちらが年上なのかわからない口調だった。
「お会いできて光栄です」
「うむ」
二人は握手をかわした。
「ぼくは職を失ってお金に困ってるんです。どうか助けてください」
「いますぐロト7を買え」
「えっ」
「かならず当たるぞ」
エム氏は混乱しながらも聞いた。
「ほんとに当たるんですか」
「この額のアザに誓って、まちがいない。ただし、買うのは一点だけにしろ」
「わかりました」
「欲深いと、ろくなことがない」
エム氏はおおきくうなずいた。
すると、少年は、どこかへと去っていった。
数日後、新聞のお悔やみ欄にエム氏の名があった。
人間とは、どいつもこいつも、いざとなると、肝っ玉が小さい生き物だ。ダメアンはにやりとほくそ笑んだ……。
「サァールゥモォ――ビィビィル」
「カェールゥモォ――チィビィル」
一瞬だけ間をおく。
「サァールゥモォ――ビィビィル」
「カェールゥモォ――チィビィル」
数秒間の沈黙。
「サァールゥモォ!――ビィビィル!」
「カェールゥモォ!――チィビィル!」
「ラアーメェン!! ソオーメェン!!――ミソ」
「ラーメン!!!!」
すると、エム氏は額に777のアザがある少年とすれちがった。
「もしかして、あなたは7月7日の午前7時に生まれた、駄目安太郎こと、ダメアン様ですか?」
「いかにも、わたしがダメアンだ」
どちらが年上なのかわからない口調だった。
「お会いできて光栄です」
「うむ」
二人は握手をかわした。
「ぼくは職を失ってお金に困ってるんです。どうか助けてください」
「いますぐロト7を買え」
「えっ」
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「ほんとに当たるんですか」
「この額のアザに誓って、まちがいない。ただし、買うのは一点だけにしろ」
「わかりました」
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