魔力を失ってしまった魔法使い

才門宝句

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ｉｆ白雪姫

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　物売りのおばあさんがあたしの家にやって来て窓を叩いた。

「美しい娘さんに、おくり物じゃよ」
「マア、なんてきれいな林檎。おばあさん、ありがとう」

　でも、あたしはその林檎を一口かじると、バッタリ倒れて二度と目を開けることができない。

　小人たちは悲しみ、硝子の柩の中にあたしを寝かせて森の中に置いた。

　そしてある日、一人の王子様がやって来て、森であたしの柩を見つけた。

「なんてきれいな姫なんだ。まるで眠っているようだ」

　王子は柩の中のあたしにキスをした。

　するとキスしたはずみで、毒林檎のかけらがあたし喉から飛びだした――あたしは目を開けた。

「あたしは、どこにいるのかしら？」と、王子に尋ねる。
「ずっと、わたしと一緒にいるのですよ……白雪姫。フフフ、ハハハハハハッ！」

　王子様がとつぜん汚れた赤と緑のセーターを着た変な男になり、剃刀のように鋭い五本のナイフがついた手袋で、あたしの頬をやさしく愛撫した。男は、あたしの顔の前に醜い口を突き出し、こう言った……。

「いない、いない、バー！」顔全体がひどい火傷で醜くゆがんでいる。「かわいいお嬢ちゃんからファースト・キスを奪っちまったぜぇ。ウワッハハハハ！！」
「きゃあああああああ」あたしは目を覚ました。

　まだショックが抜けきれていない。
　あの悪夢はとんでもないものだった……。
　今夜はもう、眠りたいとは思わなかったけど、あたしはすぐにまた睡魔に襲われた。

　墓場で遊んでいるのは、白いドレスを着た、三人のかわいい少女だった。二人は縄跳びの縄の両端を持っていて、何度も何度も回している。三人目の少女が縄を飛んでいる。幻想的なスローモーション映像を見るかのようだった……少女たちは不気味な数え歌を口ずさんだ。

　ひとつ、ふたつ、Ｆクルーガーがやってくる……。
　みっつ、よっつ、ドアに鍵をかけて……。
　いっつつ、むっつ、十字架を用意しな……。
　ななつ、やっつ、眠っちゃいけないよ……。
　ここのつ、とお、もう眠れない……。

「ねえ、誰か……あたしを起こして……」

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