71 / 106
内弟子物語 第Ⅳ話 怪我13
しおりを挟む
続いて中段の前蹴りになった。手の技と足の技を交互に行なうことで、身体に対する過負担を軽減しようということだが、そもそも数自体が多くなるので一同、だんだん疲労の色が濃くなってくる。
蹴りの場合、両足交互に行なうのではなく、別々に行なうので、左右の本数に違いが出てくることがある。
また、数をこなすうちに足が重くなってきて、蹴る位置が下がってくることがあるが、これも数が加算される要素の一つだ。
だから、本数が増えるとその分だけ加算される可能性も高くなるので、最初の規定の本数以内で終わらせるよう、全員が一丸とならなければならない。
しかし、突きと同じ理由で規定の回数より増え、左右合計すればそれなりの本数を行なうことになった。
ただ、藤堂としては少し加減したつもりだ。
それは次の稽古が四股突きだからだ。両足を左右に肩幅の倍くらい開き、爪先を外に向ける。その上で腰を十分落とした形で突きを行なうもので、これも下肢に負荷がかかる。この稽古は、数をこなしていくうちに腰が高くなったり、ブルブル震えが来たりする。これらは数を加算する要素になるので、下肢を蹴りだけで疲れさせないためという意味がある。
だが、やるほうにしてみれば、今回の稽古でこなしている量は十分な負担になっており、みんな顔をしかめながら必死に行なっている。
このような稽古を予定時間まで続けた後、休憩に入った。
「いやぁ~、今日の稽古は疲れるな。さすがに特別稽古というだけはある」
内弟子の中では最年長の御岳が、汗を拭きながら言った。年齢の関係か、一番こたえているようだ。
「でも、たまにはこんな数をこなす稽古もいいですね」
最年少の堀田が言った。やはり、年齢差による体力の違いが出ている。
「なんか、大学時代、体力だけでやっていた時を思い出すよ。質は全然違うけどね」
高山が言った。堀田とは選挙の時に一緒に行動していた分、高山とは気持ちが一つになりやすかった。体力的なところから御岳にはついていけない部分もあったが、内弟子としての気持ちは同じなので、しっかりとうなづいていた。
そこに龍田や松池も加わり、後半の組手の話になった。単調な基本よりも激しく動く組手に興味が湧くのは若さゆえなのだろうが、きつい稽古をした後とは思えないエネルギーが感じられた。
蹴りの場合、両足交互に行なうのではなく、別々に行なうので、左右の本数に違いが出てくることがある。
また、数をこなすうちに足が重くなってきて、蹴る位置が下がってくることがあるが、これも数が加算される要素の一つだ。
だから、本数が増えるとその分だけ加算される可能性も高くなるので、最初の規定の本数以内で終わらせるよう、全員が一丸とならなければならない。
しかし、突きと同じ理由で規定の回数より増え、左右合計すればそれなりの本数を行なうことになった。
ただ、藤堂としては少し加減したつもりだ。
それは次の稽古が四股突きだからだ。両足を左右に肩幅の倍くらい開き、爪先を外に向ける。その上で腰を十分落とした形で突きを行なうもので、これも下肢に負荷がかかる。この稽古は、数をこなしていくうちに腰が高くなったり、ブルブル震えが来たりする。これらは数を加算する要素になるので、下肢を蹴りだけで疲れさせないためという意味がある。
だが、やるほうにしてみれば、今回の稽古でこなしている量は十分な負担になっており、みんな顔をしかめながら必死に行なっている。
このような稽古を予定時間まで続けた後、休憩に入った。
「いやぁ~、今日の稽古は疲れるな。さすがに特別稽古というだけはある」
内弟子の中では最年長の御岳が、汗を拭きながら言った。年齢の関係か、一番こたえているようだ。
「でも、たまにはこんな数をこなす稽古もいいですね」
最年少の堀田が言った。やはり、年齢差による体力の違いが出ている。
「なんか、大学時代、体力だけでやっていた時を思い出すよ。質は全然違うけどね」
高山が言った。堀田とは選挙の時に一緒に行動していた分、高山とは気持ちが一つになりやすかった。体力的なところから御岳にはついていけない部分もあったが、内弟子としての気持ちは同じなので、しっかりとうなづいていた。
そこに龍田や松池も加わり、後半の組手の話になった。単調な基本よりも激しく動く組手に興味が湧くのは若さゆえなのだろうが、きつい稽古をした後とは思えないエネルギーが感じられた。
20
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる