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内弟子物語 第Ⅱ話 稽古14
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御岳の答えに高山の期待は高まった。
「集合!」
藤堂が最初の同じ隊形になるよう指示を出した。
「今日はだいたい同じくらいのレベルの人が多いので、いつものようにテーマを決めて行なう。高山君は初めての参加だけど、他流で経験があるから一緒にやってもらう。今日のテーマは『突き』だ。もう一度、内八字立ちになって」
藤堂の声が響いた。全員、一斉に同じ立ち方になる。だが、高山にはこの立ち方の経験はない。見様見真似で立つが、今一つしっくりこない。
「まず、立ち方の確認から行なう。高山君は初めてだから、モデルになってもらおう。高山君、ちょっとこっちに来て」
高山が藤堂のそばに立った。
みんなから見られていることに、ちょっと照れた様子もあった。でも、最初から藤堂に教えてもらうとは思っていなかったので、この点はラッキーと心の中で思っていた。
「他の人もそれぞれ抜けているところがあるので、高山君に言っていることは自分にも言われている、と思って聞くように」
みんなに目配せをし、注意を促した。
ここから内八字立ちについての解説が始まった。
足を左右に開き、その幅を一膝一拳とする。その歩幅を確認するため、左右いずれかに向き、後ろ足の膝を床に突くように曲げた。その状態で前足のかかとと後ろ足の膝との隙間に拳一つが入る幅が、この立ち方の歩幅になる。
この歩幅が確認された時点で、また正面を向く。
その際、つま先を内側に向けるが、入りすぎても良くない。きれいな「八」の字を書くくらいの形を要求される。
続いて指摘されるのが膝だ。
やや内側に向ける。あまり内側すぎたり、曲げすぎたりするのは良くない。もちろん、伸ばしすぎも不可だ。この加減が実に難しい。
加えて、両脚の締めという要素が加わる。そこではまず外側から内側に締め、その状態を保ったまま今度は外側に締める、といったことを説明される。ちょうど、雑巾か何かを絞るような感じだ。
高山にとっては初めての身体の使い方である。何かに意識を集中すると他が駄目になる、という感じだ。頭では分かるのだが、身体がついていかない、というのが実感だ。
藤堂は説明しながら、高山の立ち方を手でチェックしながら形を作っていく。
初めての身体の使い方だけに、うまく脚が締まらない。特に、大腿部の裏側の締めが足りない。もっとも、このパターンはよく見られるもので、何も高山だけの特徴ではない。
「ちょっと大腿部の後ろを触ってごらん」
藤堂が高山に言った。
高山が脚の締めについてピンと来ていないことを察していたのだ。だから藤堂は、実際に締まっている状態を感じてもらおうとして脚に触れることを促した。
言われるまま、恐る恐る触れてみた。
そして驚いた。まるで大木のような感じだったのだ。
「これが『締め』か。こういう土台だったら、すごい威力になるんだろうな」
心の中で思った。
「集合!」
藤堂が最初の同じ隊形になるよう指示を出した。
「今日はだいたい同じくらいのレベルの人が多いので、いつものようにテーマを決めて行なう。高山君は初めての参加だけど、他流で経験があるから一緒にやってもらう。今日のテーマは『突き』だ。もう一度、内八字立ちになって」
藤堂の声が響いた。全員、一斉に同じ立ち方になる。だが、高山にはこの立ち方の経験はない。見様見真似で立つが、今一つしっくりこない。
「まず、立ち方の確認から行なう。高山君は初めてだから、モデルになってもらおう。高山君、ちょっとこっちに来て」
高山が藤堂のそばに立った。
みんなから見られていることに、ちょっと照れた様子もあった。でも、最初から藤堂に教えてもらうとは思っていなかったので、この点はラッキーと心の中で思っていた。
「他の人もそれぞれ抜けているところがあるので、高山君に言っていることは自分にも言われている、と思って聞くように」
みんなに目配せをし、注意を促した。
ここから内八字立ちについての解説が始まった。
足を左右に開き、その幅を一膝一拳とする。その歩幅を確認するため、左右いずれかに向き、後ろ足の膝を床に突くように曲げた。その状態で前足のかかとと後ろ足の膝との隙間に拳一つが入る幅が、この立ち方の歩幅になる。
この歩幅が確認された時点で、また正面を向く。
その際、つま先を内側に向けるが、入りすぎても良くない。きれいな「八」の字を書くくらいの形を要求される。
続いて指摘されるのが膝だ。
やや内側に向ける。あまり内側すぎたり、曲げすぎたりするのは良くない。もちろん、伸ばしすぎも不可だ。この加減が実に難しい。
加えて、両脚の締めという要素が加わる。そこではまず外側から内側に締め、その状態を保ったまま今度は外側に締める、といったことを説明される。ちょうど、雑巾か何かを絞るような感じだ。
高山にとっては初めての身体の使い方である。何かに意識を集中すると他が駄目になる、という感じだ。頭では分かるのだが、身体がついていかない、というのが実感だ。
藤堂は説明しながら、高山の立ち方を手でチェックしながら形を作っていく。
初めての身体の使い方だけに、うまく脚が締まらない。特に、大腿部の裏側の締めが足りない。もっとも、このパターンはよく見られるもので、何も高山だけの特徴ではない。
「ちょっと大腿部の後ろを触ってごらん」
藤堂が高山に言った。
高山が脚の締めについてピンと来ていないことを察していたのだ。だから藤堂は、実際に締まっている状態を感じてもらおうとして脚に触れることを促した。
言われるまま、恐る恐る触れてみた。
そして驚いた。まるで大木のような感じだったのだ。
「これが『締め』か。こういう土台だったら、すごい威力になるんだろうな」
心の中で思った。
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