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第十三章 生えたのなら刈り取りましょう!

勘弁して!

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[御影視点]

「な、な、な……」

『そこからいつ戻れますか?体調は?』

   ディーを説教してたら、この場にいない筈の彼の声・・・が空間に突然響き渡った。
    驚きのあまり、言葉が続かなくても仕方がないだろう。
    だって、こんなスキルは存在していなかった・・・・・・・・・のだ。

「……ナナちゃん、これ……」

    夢乃から渡された紙の束の最初には、彼が新たに生み出した・・・・・・・・・・スキル。

通話コール
 ・願った者が何処にいても会話が出来るようになる。

    携    帯    電    話    か    よ    !!

    思わず床に紙を叩きつけたわよ……。
    私に向けられる仲間達の視線も、同じ心境だと言わんばかりのものだ。 
    ディーに至っては、完全にアホの子・・・・みたいに、大口開けて固まっている。
    
    だから、もう少し創造神としての威厳を保ちなさい!さっきまで叱っていた私が言うことじゃないけども!!

    そんなこちら側の気持ちなどお構い無しに、彼は彼女に話しかけている。
    気の毒なくらいアワアワしているアリスティリアさんは、何とか彼を落ち着かせようとしているようだが、彼女に執着して溺愛している彼が、落ち着けるはずもない。

「……この調子で、自力で神界ここまで来るスキル生やしたりしてな…」

「止めろ、チュンタ……。余計なフラグは立てるな……」

「……回収されたら、チュンタくんが全責任取ってよね……」

    ボソボソと聞こえる内容も恐ろしい。

「……あの…。だから…『リア?お願いですから、早く戻れるように頼んでください』」

    アリスティリアさんは涙目になっている。

「……若様…」

   ハアと息を吐き出し、ラフィンさんが口を開いた。

「こちらで若奥様は今後の大切なお話を伺っております。そちらはまだ深夜でございますか?」

『いや……。もう夜が明けるところです…』

「でしたら、お仕事へ行かれませ。若奥様には私が付いておりますから…」

    ウンウンと頷くアリスティリアさん。

『ですが、ラフィ「若様……?」』

    隣りのアリスティリアさんが、ビクンと背を伸ばしました。
    うん。ラフィンさんの声のトーンが低くなって、空気が冷えた気がした。
    同じタイミングでディーまで、ピシッと正座したのは笑えるけどね……。

    落ち着いてきたので、床に叩きつけて散らばった紙を集めていく。

「…………」

    伸ばした手に触れた一枚の紙。そこにある言葉に、体が拾い上げることを拒否してしまった。

ーーうん、疲れてる……。私、もんのすごーく疲れてるね。

    だって、そんなことあるわけがないのだ。
    そんなスキル・・・・・・があってはならないのだ。
    だけど、こういう時のお約束。我らの創造神はとことん残念要素が強い。

「御影、拾わないの?」

    拾わずにいたその紙を拾い、それを見るディーの目が見開かれた。

    やめなさい。お願いだから、口にするな!現実にするんじゃありません!

「……え?《スキル創造》?なんでこんなスキル持ってるの?」

「「「っ!?」」」

    空気の読めないディーが、それ・・を口にした瞬間、皆の絶望的な視線がこちらに向いた。

    んなこと、私らが言いたいセリフだ。この世界を創ったディーに言われたくない。
    寧ろ、最初にそんなスキルが発生しないように制限かけとけ!
    これでまた一から対策を練り直しになるかもしれないのだ、こっちはーーーー。

    声を大にして叫びたい…。

    勘    弁    し    て    !!


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