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第十三章 生えたのなら刈り取りましょう!

記載漏れは許されない

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[アリスティリア視点]

    御影さんが気の毒なくらい涙目で、創造神様の身体をガクガクと揺らしています。
    隣のラフィンさんも茫然となってます。

    そりゃそうですよね。
    創造神様がご自分で創った世界の決まり事を覚えていらっしゃらないなんて…………。

「あ!思い出した!最初の頃は何人か転生特典として、選んでもらってたんだ…」

「「「…………」」」

   今、何か聞きなれない言葉を聞いたような気がします。『転生特典』って、何でしょう?

    隣のラフィンさんも首を傾げているということは、あまり知られてない言葉ということですよね?
 
    ですが、御影さんには重大な事だったようでした。

「て、転生特典…。記憶処理は?記憶処理してからさせてんの?どっち!?」

    血の気の引いたお顔で、創造神様を睨んでいます。

「記憶処理………?」

   創造神様が首を傾げておられます。

「っ!待って!最初の頃はって言ったわよね?今は?今は転生してる人達いるの!?」

「えーとぉ……。基本的には居ないけど、妊娠中に神界こっちに来ちゃうと、記憶は戻ってるんじゃないかなぁ…なんて…」

    エヘ♪と笑われましたが、それを聞いた瞬間、御影さんはその場にへたりこまれました。

「…んなもん、何処にも書いてなかったんどけどぉ……」

「「っ!!」」

    突然、御影さんから溢れ出した気配に、ラフィンと二人、思わず回避行動を取りかけました。
    
    神様の殺気?とでもいうのでしょうか?感じた瞬間、自分達の『死』と言いますか、『終わり』と言うものを感じてしまいました。

「み、御影?ちょっと落ち着いて……、ね?」

   創造神様は流石と言いますか、困り顔で御影さんに声をかけています。

「……れすんなって…」

「え?」

「…連絡漏れや記載漏れは、絶対にすんなって言ったでしょうがーーーーっ!!」

    スパパパーーーーーーンッ!!

「「!」」

    突如現れたハリセンは、一瞬で創造神様の頭を一往復していきました。正に神技・・です。

「吐きなさい……。言い忘れてたり、書き忘れたりしてること、一切合切、ぜぇんぶ思い出して、吐けっ!!」

    バシンとハリセンを手に打ち付けながら話す姿は正しく『怒れる神』の姿です。
    只人のわたし達には、どうしようもない事態です。
    何より、恐怖のあまり動けないのです。

    しばらくの間、恐怖に震えるわたし達の眼前で、御影さんに叱られながらも、何とか思い出しては口にする創造神様の姿が続きました。

「……あーあ。妊婦いんのに、空気冷えて良くねえだろ…」

「とばっちりだったねぇ…。これでも飲んでてね?」

   アッキーさんがブランケットをわたし達に手渡され、夢乃さんが湯気の立ち上るカップを目の前のテーブルに置かれました。

「これ、チュンタも戻した方がいいのかね?」

「ん~。呼ばれるかもよってだけ知らせといたんでいいんじゃないかな?」

「あの……」

   ラフィンさんが恐る恐る声を出しました。

「お止めしなくてもよろしいのでしょうか?」

    お二人はお互いの顔を見た後、御影さんに叱られている創造神様を見ました。

「止めるのはいいんだけどな。万が一、聞いてないことで矛盾が発生することになると、最悪あんたらの世界が滅ぶ可能性があるんだよ…」

「そうなるとね。矛盾を無くすための作業と同時に、崩壊を遅らせる作業を同時にしないといけないんだよねぇ…」

    お二人が遠い目をされました。
    チラリと隣のラフィンさんを見ると、首を振って頷かれました。

    聞かない方が自分達のためだということですね。分かります…。わたしもそれが正解だと思います。

    とりあえず、お二人が落ち着くまで、わたし達の話し相手は、アッキーさんと夢乃さんがして下さいましたーーーー。











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