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第十章 アリスティリアは人気者

四侯訪問2

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東方侯でのドレスは、噂の【神話級のドレス】であったため、初めて目にした者達は畏れ多いと遠巻きに眺めていた。

〖【アラクネの織物】を【白龍の鱗】と【不死鳥の羽】で加工されたドレス〗
アラクネによる美しくも丈夫な糸で細かく丁寧に編まれた織物に、白龍の癒しの力と不死鳥の炎の力が合成付与されたドレス。
特定の人物のみ着用が可。
着用者は疲れることを知らず、害を生そうとする者達から、炎の壁で守られる神話級ドレス。

幾人か近寄ろうとしていた令嬢達は、その説明に離れていくという姿があちこちで見られていた。

東方侯のヴォルジュ領から、西方侯の領地シェンド領へ。
こちらでは、ミニ丈の濃い紫生地に、銀の刺繍の入ったベルラインドレスと、生脚を誰にも見せたくないというエヴァンの理由から、アラクネの長によって、銀糸で編まれたレースの長靴下を着用していた。
当然、付与付きである。

〖【アラクネの織物】を【不死鳥の羽】で加工されたドレス〗
アラクネによる美しくも丈夫な糸で細かく丁寧に編まれた織物に、不死鳥の守りの力が付与されたドレス。
特定の人物のみ着用が可。
着用時にはあらゆる害意から守られる。
一切の害意を寄せ付けない国宝級ドレス。

ここに来るまでに噂が広まっており、アルテッサ・ブーケ・イーシェンドは、カサンドラから貸し出された侍従付きの〖写実機〗で、やはりアリスティリアとの姿を残した。

続く南方侯のスカル領では、クリーム色のスレンダーラインのドレスの腰の部分をアクセントとして、黒い革のベルトで締めた物を纏った。
こちらでは、アリスティリアに懸想した一部の令息が、エヴァンと離れた彼女に手を出そうとした瞬間に、床に転がることになった。

〖【アラクネの織物】を【白竜の鱗】と【銀亀の髭】で加工されたドレス〗
アラクネによる美しくも丈夫な糸で細かく丁寧に編まれた織物に、白龍の癒しの力と銀亀の守りの力が合成付与されたドレス。
特定の人物のみ着用が可。
着用者に害意を与えようとする者は、近寄った瞬間に意識が奪われる神話級ドレス。

リズベット・ツェリク・スカルロックは、不埒者達それぞれの名前を読み上げ、家人に引き取らせていった。

「不埒者共には、正体がバレていい気味ですわね♪」

彼らの名前は、即座にエベリウム家の兄弟と母親、四侯令嬢と王太子妃に伝えられた。
彼らのその後は、お約束であろう……。

最後の北方侯のウォール領では、ミントグリーンのマーメイドラインのドレスを着用していた。

〖【アラクネの織物】を【黒獅子の鬣】と【銀亀の髭】で加工されたドレス〗
アラクネによる美しくも丈夫な糸で細かく丁寧に編まれた織物に、黒獅子の守りの力と銀亀の守りの力が合成付与されたドレス。
特定の人物のみ着用が可。
着用者に対して害を及ぼす者を弾き、全ての攻撃をその倍の威力にして相手に返す神話級ドレス。

北方侯令嬢フローリア・セント・ロンドウォールは、ローズピンクのマーメイドラインのドレスを着用し、もうすぐ姉妹になることを周りにアピールしまくった。

最後なので気が緩むと思われたのか、会場を後にした途端に二組同時に襲ってきた。

「【封印布】を使え!」

一方は何処から手に入れたのか、かなり大きめの【封印布】で、アリスティリアとエヴァンを覆う作戦だったらしいのだが、拡げた途端に自分達が覆われてしまい、早々にカルステッドによって、制圧された。

「甘い甘ーい!」

もう一方は、ステリナの武器によって、衣服はズタボロにされ、あちこちを切り裂かれ、辺り一面に血を滴らせながら蹲っていた。

「……お掃除する方にご迷惑です…」

その光景にポツリと呟いたアリスティリア。
それに対して、エヴァンは『私のリアは優しいなぁ…』と感動し、カルステッドは『いや、気にするとこそこですか?』と、ドン引きしていた。

こうして、あちこちに色んな出来事を起こし、再び王都に戻ることになったのだったーー。
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