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第五章 誘拐からの救出監禁
大精霊の血筋
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精霊国エスタルディアには、精霊や妖精。そして、彼らとの間に生まれた者達が住んでいる。
特に大精霊と呼ばれている存在の血筋は、珍しい髪色の者が多くいた。
二色が混じりあっているような色になるのだ。
グランラディアに嫁いだレティーシアは、故にラスティンとアリスティリアも、そうではないかと推測していた。
大精霊の血筋は、エスタルディアでは尊ばれる。
だがその髪色の特色も、精霊国にいてこそのものである。
その証拠にレティーシアが産んだ王子は、父親であるオーディルと同じ金髪金目。
そして、今まで他国で産まれた者にそんな髪色で産まれた者を聞いたことのないレティーシアは、どうしたものかと悩んでいた。
ラスティンは夫である王太子の側近であり、アリスティリアは自分達夫婦の『護衛メイド』をしている。
正式な契約ではないため、アリスティリアに対して絶対の権限はない。
何より彼女の存在が、夫の周りに与える影響は強く、レティーシア自身も彼女を気に入っていた。
「どうしたものかしら…。彼の事だから、アリスの事を知れば、力づくで手に入れようとするでしょうね…」
王子誕生の祝賀パーティが開かれることになり、レティーシアの母国からも当然数人招かれていた。
その中の一人に、大精霊の血筋を国外に出すことを頑なに認めない一族の者がいたのだ。
「エスタルディアに〖炎の大精霊〗の血筋は絶えて久しい…。女の身であれだけのスキルを持つアリスだもの。絶対に彼らは連れ帰ろうとするわね…」
大精霊の血筋は、女系ほど強く遺せる。
レティーシアは姉妹が多かったからこそ、外へと嫁げたのだ。
「オーディルと相談しなくては…」
レティーシアは重い溜息を一つ吐き出すのだった。
※※※※※※※※
「無理です!」
祝賀パーティへの不参加、若しくは変装魔導具での色替えを提案されたアリスティリアは、きっぱりとそう応えた。
「パーティの不参加はまだしも、わたしの容姿はこの国周辺では有名です。まして、兄が殿下の側近として出るのですから、わたし一人の髪色を変えても意味がないと思います……」
正論である。
「だいたい僕達が大精霊の血筋の可能性があると言われて、はいそうですかと他国へ行くわけないですよ」
「いやいや。それ以前に母上が認めないからね、特にアリス……」
伯爵夫人の養女への溺愛っぷりは有名である。
息子達に並ぶほどに、アリスティリアに近寄る男達の選別は厳しく容赦がなかった。
無理矢理に国外へ連れていかれたとなれば、彼女の実家であるエイベル商会の力も使って、相手国に経済制裁を始めることだろう。
「こそこそしたって仕方ないです!正々堂々としとく方が周りの目に付きすぎて逆に手を出せないような気がします!!」
「…うん、アリスはそう言うと思った。君、外と中身が正反対に近いもんね…」
拳を握りしめて語るアリスティリアに、オーディルが苦笑する。
巷で『妖精姫』とか『宝石姫』と呼ばれていても、アリスティリアは『護衛メイド』である。
多分、オーディルより強いーー。
「でも、国を通して求婚されると難しいよね。今のアリスには婚約者いないし、側室ってのももう通じなくなってるしねぇ…」
「だからわたしは『護衛メイド』になったのです、殿下。伯爵家から離れれば、わたしは平民と言えど『護衛メイド』としての選択権が持てますから」
にっこり笑うアリスティリアにポカンと口を開けるオーディル。
「……それを理解するだけの分別があればいいのだけども…」
レティーシアは何も起こりませんようにと、ひたすら祈るしかなかったーーーー。
特に大精霊と呼ばれている存在の血筋は、珍しい髪色の者が多くいた。
二色が混じりあっているような色になるのだ。
グランラディアに嫁いだレティーシアは、故にラスティンとアリスティリアも、そうではないかと推測していた。
大精霊の血筋は、エスタルディアでは尊ばれる。
だがその髪色の特色も、精霊国にいてこそのものである。
その証拠にレティーシアが産んだ王子は、父親であるオーディルと同じ金髪金目。
そして、今まで他国で産まれた者にそんな髪色で産まれた者を聞いたことのないレティーシアは、どうしたものかと悩んでいた。
ラスティンは夫である王太子の側近であり、アリスティリアは自分達夫婦の『護衛メイド』をしている。
正式な契約ではないため、アリスティリアに対して絶対の権限はない。
何より彼女の存在が、夫の周りに与える影響は強く、レティーシア自身も彼女を気に入っていた。
「どうしたものかしら…。彼の事だから、アリスの事を知れば、力づくで手に入れようとするでしょうね…」
王子誕生の祝賀パーティが開かれることになり、レティーシアの母国からも当然数人招かれていた。
その中の一人に、大精霊の血筋を国外に出すことを頑なに認めない一族の者がいたのだ。
「エスタルディアに〖炎の大精霊〗の血筋は絶えて久しい…。女の身であれだけのスキルを持つアリスだもの。絶対に彼らは連れ帰ろうとするわね…」
大精霊の血筋は、女系ほど強く遺せる。
レティーシアは姉妹が多かったからこそ、外へと嫁げたのだ。
「オーディルと相談しなくては…」
レティーシアは重い溜息を一つ吐き出すのだった。
※※※※※※※※
「無理です!」
祝賀パーティへの不参加、若しくは変装魔導具での色替えを提案されたアリスティリアは、きっぱりとそう応えた。
「パーティの不参加はまだしも、わたしの容姿はこの国周辺では有名です。まして、兄が殿下の側近として出るのですから、わたし一人の髪色を変えても意味がないと思います……」
正論である。
「だいたい僕達が大精霊の血筋の可能性があると言われて、はいそうですかと他国へ行くわけないですよ」
「いやいや。それ以前に母上が認めないからね、特にアリス……」
伯爵夫人の養女への溺愛っぷりは有名である。
息子達に並ぶほどに、アリスティリアに近寄る男達の選別は厳しく容赦がなかった。
無理矢理に国外へ連れていかれたとなれば、彼女の実家であるエイベル商会の力も使って、相手国に経済制裁を始めることだろう。
「こそこそしたって仕方ないです!正々堂々としとく方が周りの目に付きすぎて逆に手を出せないような気がします!!」
「…うん、アリスはそう言うと思った。君、外と中身が正反対に近いもんね…」
拳を握りしめて語るアリスティリアに、オーディルが苦笑する。
巷で『妖精姫』とか『宝石姫』と呼ばれていても、アリスティリアは『護衛メイド』である。
多分、オーディルより強いーー。
「でも、国を通して求婚されると難しいよね。今のアリスには婚約者いないし、側室ってのももう通じなくなってるしねぇ…」
「だからわたしは『護衛メイド』になったのです、殿下。伯爵家から離れれば、わたしは平民と言えど『護衛メイド』としての選択権が持てますから」
にっこり笑うアリスティリアにポカンと口を開けるオーディル。
「……それを理解するだけの分別があればいいのだけども…」
レティーシアは何も起こりませんようにと、ひたすら祈るしかなかったーーーー。
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