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異世界転移だっ!

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なあ、今の俺の心境分かってくれるか?

なんと、なんと!異世界転移。異世界転移・・しちゃったんだぜっ!!

いま流行りの異世界だぜっ!

気晴らしがてら、ブラブラと近所を歩いてたら、突然目の前の景色が歪んでさ!目を開けたら、ここ!

見知らぬ・・・・山ん中!

感動しちゃうだろ?嬉しくなっちまうだろ?
俺、選ばれちゃってたりするんじゃね?

もしかしてさ。転移した特典(?)とかでさ、カッコよくなっちゃってるんじゃね?ね?

「一緒に魔王を倒して下さい、勇者様」って、可愛い子ちゃんにお願いされちゃうんじゃね?

それとも、あれか?大賢者とか?

まあ、あれだよな。とりあえず、俺のステータス確認しちゃう?確認しちゃおっかな?

ルンルン気分で、チートであろう俺のステータス画面を呼び出した。

「オープン、ステータス!!」

期待に弾んだ声で叫んだよね。
どんなチートがあるのかと、期待してたよね!

だけどさ、なあんも出てこねえの。

「オープン、ステータス!オープン、ステータスだってば!!」

何回やっても出ないからさ。こりゃ、もしかして〖鑑定〗とか必要なんじゃねえの?って、気づいたわけ。

もしくは、アイテムが必要なのかもしんないじゃん?

そうなるとだよ?必要なのって、レベル上げじゃね?アイテム購入に、必要な魔物とかの素材もいるじゃん?

「あ。そういや、スマホ…」

ジーンズの尻ポケットから取り出せば、圏外になってる。ま、当然だよな。なんてたって、異世界なんだからさ!
んでもって、残念ながら、俺のスマホは異世界に仕様変更されてなかったわ、残念…。

電源の節約するために、早々に電源も落としといた。もしかしたら、チートアイテムに変化するかもしんないからさ!

「うーん。レベル上げなら武器がいるし、魔法使えんのかな?」

武器は当然持ってないので、今度は呪文を唱えてみる。

「ファイアボール!」

勢いよく叫びながら、前に突き出した掌。そこからは何も出なかった。

「詠唱が必要…とか?」

恥ずかしくなるよな厨二病的な呪文も叫んでみたけど、反応はなかった。
どうやら、俺に魔力はないようだ。

仕方ないので武器代わりには、そこらに落ちてた程よい長さで、頑丈な木の枝を拾っておいた。

まだ陽は高いけど、どれだけで夜になるのか、異世界だから見当がつかない。

とりあえず、下山すれば人のいるところに出るだろう。

俺は周囲に気をつけながら、足を進めていく。
歩いてる道は、登山道なのかな?
土がしっかりと固められてるから、歩きやすい。

それにしても、最初から俺のレベルは低そうだ。

「きっと俺は晩生型なんだろうなぁ。頑張ってレベル上げねえとなぁ…」

そんな俺のやる気に反して、魔物どころか、獣一匹出てこねえ。

なんだよォ。俺のレベル上げに付き合えよぉ…。

歩きながら、周囲に目を向ければ、見覚えのない草木の中に、たまに向こうで見た事のあるのが生えてた。たまに聞こえてくる鳥の声にも、覚えがある気がする。

「ここって、ゲームとかラノベとかの中なんかねぇ…」

俺の記憶に重なるってことは、そういう事かもしんないじゃん?

俺の知ってるやつだといーなぁ。池か川とかねえかなぁ。俺の今の姿、どうなってんだろ?

日が暮れ始めた頃、薄らとした暗がりに明かりを見つけた。

「人がいるっ!異世界人、初遭遇じゃん!エルフとか獣人とかいるかなぁ?」

期待に胸を膨らませ、俺は灯り目指して、駆け出した。

「すみませーん!」

叫びながら近づいていった俺は、信じられない光景を目にしてしまった。

「はーい。どうしました?」

「んん?そっち側にもあったっけ?」

そこには、男女の二人組がいた。
キャンピングカーの隣で、BBQしてた。

「……えっと、道に迷ってしまったんですが、ここは何処ですか?」

「え?迷子?大丈夫?ここはね…」





なあ、知ってるか?
異世界転移したって、喜んでた俺だけどさ。
異世界転移してなかった・・・・・・んだぜ……。

じゃあ、何だったかって?

〖神隠し〗だってさ…。

信じられるか?
俺の中では一日も経ってなかったのにさ。
こっちでは五年も過ぎてたんだ…。

戻ってきた俺は、五年前のまんまでさ。そりゃ、周囲から取り残されちゃうわけ。
ちやほやされて、時の人だったのは最初だけでさ。
気味悪がられちゃうわけ。

あーあ。こんな事なら、妖怪とかの世界でも良かったんじゃねえの?


こうして、俺の世界は狭い四畳半の部屋の中だけになったんだーーーー。


[完]


※※※※※※※

息子と異世界転移したと思い込んでたのに、してなかったらどうなるのかね?と、話してて出来た話ですので、よく分からんかもですねw
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