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第十章 他国訪問〔ユーディアナ〕
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[アルテ視点]
無事に女郎蜘蛛の討伐を終えたオレ達は、女王陛下の労いの宴などという危険極まりない物を回避しつつ、各自が約束した女性達を妻としてヒューゲル王国へ連れ帰った。
事前にエレとレオから、陛下経由で各家庭へ連絡もいっていたので、多少は混乱も少なかったのではないかと思われる。
そんな中、オレの妻となった従妹らしき女性ーーリーゼは、やはり母の妹の娘で、オレの従妹で間違いなかった。
「アルテ!良くやりましたっ!!」
「…はぁ。ありがとうございます…」
騎士団の分隊長に選ばれた時よりも、『勇者』の専属になった時よりも褒められたのは謎である。
母とリーゼは、伯母と姪の関係であると同時に、姑と嫁という関係になったのだが、同じ苦労をしていたせいか、とんでもないくらい仲良くなった。
「……親父。帰ったらリーゼが居ないんだけど、こっち来てない?」
結婚を機に実家を出て、ちっさな家を購入したのだが、休みで帰宅する度に、家にリーゼがいないのである。
「……ふ。母さんと二人で、隣町まで観劇に行ったそうだ…」
「…………」
そんなことがしょっちゅう続くと、こちらも不安になってくる。何せ、きっかけがきっかけである。
本命が見つかったのなら、少し辛いが解放してやらねばなるまい。などと思いつつも、帰宅しても嫁に会えない寂しさも手伝い、気づけば休みの日も宿舎にいるようになった。
「……アルテ、奥さんは?」
部屋でゴロゴロしてたら、窓からレオに声をかけられた。
「んー?多分、母と出かけてるんじゃねーか?」
「いや、多分て…。せっかく新婚なのに、お休みぐらい帰んなよ……」
ヒョイと窓枠に手をかけ、そこに腰を下ろすレオ。
「……行儀悪りいぞ……」
「いや、今更だよね?…アルテ。お嫁さんと、ちゃんと新婚生活やってんの?」
「………」
レオの言葉に考え込んだ。
結婚式は小ぢんまりとしたものだが、双子も出席してくれて、賑やかになった。
新居に入った時は、目を輝かせて喜んでくれてて、そのまま初夜も無事に済ませた。
休暇の間は、ベッドの中で過ごすか、二人で手を繋いで実家に行ったり、買い物に行ったりして過ごした。
そこから、仕事に戻って……。
「長期休暇終わってからは、あんま出かけてもなかったなぁ…」
帰宅して、飯食って、風呂入って、リーゼを抱きしめて眠って。起きたら飯食って、二度寝して、飯食って…。
あれ?最初の頃のイチャコラ何処行った?
「………想いはちゃあんと言葉にしないと届かないんだぞぉ…」
悩んでるオレにそう言い残し、レオは窓枠から飛び降りてった。
とりあえず、着の身着のままで自宅に戻るが、やはりリーゼは家にはいなくて、実家に行けば母と出かけている様子。
仕方なく帰り際に買った花束をテーブルに手紙と残して、宿舎に戻った。
「………へ?リーゼ?リーゼだよな?」
翌日。宿舎の食堂で料理を運ぶリーゼを見つけた。
「…えっと。今は仕事中なので…」
昼休みに何とか時間を合わせると、リーゼはレオと現れた。
「アルテが会えなくて寂しがってるよって言いに行ったら、リーゼもアルテになかなか会えなくて淋しいって言うから、レン兄様達の許可取って食堂で働いてもらうようにした♪」
「「っ!」」
レオの言葉に、オレ達は多分どちらも真っ赤になっていた。
「二人とも。今日はこのままお休みでいいらしいから、明日の昼までゆっくり過ごすといいよ♪」
レオはそう言い残すと、さっさと自分の部屋へと戻って行った。
「……か、帰るか?」
「…は、はい……」
互いに赤くなった顔を見られないように外側を向きながら、だけど触れ合う指先だけはしっかりと絡めて、自宅へと戻った。
「いひゃい、いひゃい!」
翌日。オレとリーゼの離婚までの期間などというふざけた賭けの存在を知り、絶対に離婚しないに賭けていたレオのほっぺをつねるのだったーーーー。
無事に女郎蜘蛛の討伐を終えたオレ達は、女王陛下の労いの宴などという危険極まりない物を回避しつつ、各自が約束した女性達を妻としてヒューゲル王国へ連れ帰った。
事前にエレとレオから、陛下経由で各家庭へ連絡もいっていたので、多少は混乱も少なかったのではないかと思われる。
そんな中、オレの妻となった従妹らしき女性ーーリーゼは、やはり母の妹の娘で、オレの従妹で間違いなかった。
「アルテ!良くやりましたっ!!」
「…はぁ。ありがとうございます…」
騎士団の分隊長に選ばれた時よりも、『勇者』の専属になった時よりも褒められたのは謎である。
母とリーゼは、伯母と姪の関係であると同時に、姑と嫁という関係になったのだが、同じ苦労をしていたせいか、とんでもないくらい仲良くなった。
「……親父。帰ったらリーゼが居ないんだけど、こっち来てない?」
結婚を機に実家を出て、ちっさな家を購入したのだが、休みで帰宅する度に、家にリーゼがいないのである。
「……ふ。母さんと二人で、隣町まで観劇に行ったそうだ…」
「…………」
そんなことがしょっちゅう続くと、こちらも不安になってくる。何せ、きっかけがきっかけである。
本命が見つかったのなら、少し辛いが解放してやらねばなるまい。などと思いつつも、帰宅しても嫁に会えない寂しさも手伝い、気づけば休みの日も宿舎にいるようになった。
「……アルテ、奥さんは?」
部屋でゴロゴロしてたら、窓からレオに声をかけられた。
「んー?多分、母と出かけてるんじゃねーか?」
「いや、多分て…。せっかく新婚なのに、お休みぐらい帰んなよ……」
ヒョイと窓枠に手をかけ、そこに腰を下ろすレオ。
「……行儀悪りいぞ……」
「いや、今更だよね?…アルテ。お嫁さんと、ちゃんと新婚生活やってんの?」
「………」
レオの言葉に考え込んだ。
結婚式は小ぢんまりとしたものだが、双子も出席してくれて、賑やかになった。
新居に入った時は、目を輝かせて喜んでくれてて、そのまま初夜も無事に済ませた。
休暇の間は、ベッドの中で過ごすか、二人で手を繋いで実家に行ったり、買い物に行ったりして過ごした。
そこから、仕事に戻って……。
「長期休暇終わってからは、あんま出かけてもなかったなぁ…」
帰宅して、飯食って、風呂入って、リーゼを抱きしめて眠って。起きたら飯食って、二度寝して、飯食って…。
あれ?最初の頃のイチャコラ何処行った?
「………想いはちゃあんと言葉にしないと届かないんだぞぉ…」
悩んでるオレにそう言い残し、レオは窓枠から飛び降りてった。
とりあえず、着の身着のままで自宅に戻るが、やはりリーゼは家にはいなくて、実家に行けば母と出かけている様子。
仕方なく帰り際に買った花束をテーブルに手紙と残して、宿舎に戻った。
「………へ?リーゼ?リーゼだよな?」
翌日。宿舎の食堂で料理を運ぶリーゼを見つけた。
「…えっと。今は仕事中なので…」
昼休みに何とか時間を合わせると、リーゼはレオと現れた。
「アルテが会えなくて寂しがってるよって言いに行ったら、リーゼもアルテになかなか会えなくて淋しいって言うから、レン兄様達の許可取って食堂で働いてもらうようにした♪」
「「っ!」」
レオの言葉に、オレ達は多分どちらも真っ赤になっていた。
「二人とも。今日はこのままお休みでいいらしいから、明日の昼までゆっくり過ごすといいよ♪」
レオはそう言い残すと、さっさと自分の部屋へと戻って行った。
「……か、帰るか?」
「…は、はい……」
互いに赤くなった顔を見られないように外側を向きながら、だけど触れ合う指先だけはしっかりと絡めて、自宅へと戻った。
「いひゃい、いひゃい!」
翌日。オレとリーゼの離婚までの期間などというふざけた賭けの存在を知り、絶対に離婚しないに賭けていたレオのほっぺをつねるのだったーーーー。
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