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第十章 他国訪問〔ユーディアナ〕
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ユーディアナでの討伐対象となっているのは、女郎蜘蛛の変異体。
単体生殖で一気に増え、さらにあちこちに孵化寸前の繭が目に付いた。
「キシャァァァッ!!」
美しい女の上半身を晒しながら、下半身の蜘蛛の口が大きく開いた。
上だけ見れば、裸の美女の豊満な胸が見放題である。
いつもなら喜ぶであろう騎士達の一部は、その手にしっかりと剣を握りしめた。
「寄るんじゃねえぇぇぇっ!!」
「肉食系美女は求めてねえんだよぉぉっ!」
彼らは涙を光らせながら、ザシュザシュと女郎蜘蛛達を切り裂いていく。
「……あそこ、何があったの?」
いつになく鬼気迫る彼らに、レオはドン引きである。
「あー。あいつらな。人の忠告素直に聞かずにいてだな。手っ取り早く言えば、食い散らかされて終わった…らしい……」
苦笑するアルテの言葉に、エレは苦笑し、レオは軽蔑の視線を向けた。
「肉食系とは上手いことを言うものだな!」
ガディルは笑いながら、剣を振るっていく。
「バッカじゃないのっ!!」
【聖剣】に《火魔法》を付与したレオは、周囲を囲む蜘蛛の糸を焼き尽くしていく。
「えーと…、今後に頑張れ?」
【聖杖】を掲げながら、怪我人を回復していくエレは、苦笑しつつもそう告げた。
「おれ達だって!」
「可愛い彼女や」
「嫁さん欲しいんだーっ!!」
彼らの叫びは、その一帯の女郎蜘蛛を退治し終わるまで続いた。
討伐後、次の場所へ向かう前の野営は、王都よりの場所であった。
「……何か嫌な予感がする…」
そう呟いたエレの言葉を信じた者達のテントは、エレやレオの周りに固まった。
「いやいや。こんな所まではないない」
と、笑った連中は、近すぎず離れすぎずな場所にテントを張っていた。
「ん……。あっちいなぁ……」
「何か体が重いんだが…」
深夜、交代前に休んでいた数人の騎士達は、自分達の体の異変に目を覚ました。
「あんら、嫌だ♪目を覚ましたら、もっとイイオトコ♪」
「やっぱ、若い子はいいわねぇ♪」
全裸にされた彼らの上には、ふくよかな身体の全裸のオバチャンが乗っかっていた。
「「ギィヤァァァーーーーッ!!」」
この世の終わりのような悲鳴に、飛び起きたエレ達も彼らのテントを取り囲む。
「んまあ、んまあっ!イイオトコがいーっぱい!」
「やだよ。こんなたくさんの若い子達の相手なんて、若返っちまうねぇ♪」
テントから出てきたオバチャン達に、全員がドン引いた。
「え?何?何で目隠しと耳塞いだの?」
そんな光景は見せれないと、ガディルはレオの目を塞ぎ、アルテはレオの耳を塞いでいた。
「あんれ、まあ♪女の子みたいな別嬪さんもおるじゃない♪」
目を輝かせて伸ばしてくる手を前に、エレは口許を引き攣らせながら【聖杖】カトルディンを呼び出した。
「《睡眠》!」
「ふが……」
「あふ……」
強制的に眠らされたオバチャン達であったが、全裸の彼女達を誰が捕らえるのかという押し付けあいが始まり、苛立って二人の腕から逃れたレオの提案により、女郎蜘蛛から回収した糸で、ぐるぐる巻きにされた彼女達は、王都の門の側に転がされた。
「「……女怖い。オバチャン、怖い……」」
肉食系美女のお姉さん達に食い散らかされた挙句、オバチャン達に襲われた彼らは、正気を保っていなかった。
「あれはねぇ……」
「あれは無理だろ……」
余りの惨さに同情された彼らは、帰国するまでせめて安らかな眠りをと、エレによって眠らせ続けられたのであったーーーー。
単体生殖で一気に増え、さらにあちこちに孵化寸前の繭が目に付いた。
「キシャァァァッ!!」
美しい女の上半身を晒しながら、下半身の蜘蛛の口が大きく開いた。
上だけ見れば、裸の美女の豊満な胸が見放題である。
いつもなら喜ぶであろう騎士達の一部は、その手にしっかりと剣を握りしめた。
「寄るんじゃねえぇぇぇっ!!」
「肉食系美女は求めてねえんだよぉぉっ!」
彼らは涙を光らせながら、ザシュザシュと女郎蜘蛛達を切り裂いていく。
「……あそこ、何があったの?」
いつになく鬼気迫る彼らに、レオはドン引きである。
「あー。あいつらな。人の忠告素直に聞かずにいてだな。手っ取り早く言えば、食い散らかされて終わった…らしい……」
苦笑するアルテの言葉に、エレは苦笑し、レオは軽蔑の視線を向けた。
「肉食系とは上手いことを言うものだな!」
ガディルは笑いながら、剣を振るっていく。
「バッカじゃないのっ!!」
【聖剣】に《火魔法》を付与したレオは、周囲を囲む蜘蛛の糸を焼き尽くしていく。
「えーと…、今後に頑張れ?」
【聖杖】を掲げながら、怪我人を回復していくエレは、苦笑しつつもそう告げた。
「おれ達だって!」
「可愛い彼女や」
「嫁さん欲しいんだーっ!!」
彼らの叫びは、その一帯の女郎蜘蛛を退治し終わるまで続いた。
討伐後、次の場所へ向かう前の野営は、王都よりの場所であった。
「……何か嫌な予感がする…」
そう呟いたエレの言葉を信じた者達のテントは、エレやレオの周りに固まった。
「いやいや。こんな所まではないない」
と、笑った連中は、近すぎず離れすぎずな場所にテントを張っていた。
「ん……。あっちいなぁ……」
「何か体が重いんだが…」
深夜、交代前に休んでいた数人の騎士達は、自分達の体の異変に目を覚ました。
「あんら、嫌だ♪目を覚ましたら、もっとイイオトコ♪」
「やっぱ、若い子はいいわねぇ♪」
全裸にされた彼らの上には、ふくよかな身体の全裸のオバチャンが乗っかっていた。
「「ギィヤァァァーーーーッ!!」」
この世の終わりのような悲鳴に、飛び起きたエレ達も彼らのテントを取り囲む。
「んまあ、んまあっ!イイオトコがいーっぱい!」
「やだよ。こんなたくさんの若い子達の相手なんて、若返っちまうねぇ♪」
テントから出てきたオバチャン達に、全員がドン引いた。
「え?何?何で目隠しと耳塞いだの?」
そんな光景は見せれないと、ガディルはレオの目を塞ぎ、アルテはレオの耳を塞いでいた。
「あんれ、まあ♪女の子みたいな別嬪さんもおるじゃない♪」
目を輝かせて伸ばしてくる手を前に、エレは口許を引き攣らせながら【聖杖】カトルディンを呼び出した。
「《睡眠》!」
「ふが……」
「あふ……」
強制的に眠らされたオバチャン達であったが、全裸の彼女達を誰が捕らえるのかという押し付けあいが始まり、苛立って二人の腕から逃れたレオの提案により、女郎蜘蛛から回収した糸で、ぐるぐる巻きにされた彼女達は、王都の門の側に転がされた。
「「……女怖い。オバチャン、怖い……」」
肉食系美女のお姉さん達に食い散らかされた挙句、オバチャン達に襲われた彼らは、正気を保っていなかった。
「あれはねぇ……」
「あれは無理だろ……」
余りの惨さに同情された彼らは、帰国するまでせめて安らかな眠りをと、エレによって眠らせ続けられたのであったーーーー。
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