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第七章 神獣様と一緒!
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[ラムダス視点]
「……いったーいっ!」
頭を押えてレオ様が座りこまれました。先程までの殺気も、身にまとわれていた雷もきれいさっぱり消えております。
「悪いのは王子クパッ!関係ない皆を巻き込むのはダメクパッ!!」
「ふぇ……。ごめんなさぁいぃ……」
涙目で謝られているレオ様の背後では、殿下がオロオロされてました。が、説明せずに契約していたなどと、それは怒られても仕方ありません。しかも、下手をすれば城が崩壊するところです。招待客や使用人も無事では済まなかったでしょう。きんちゃん様がいなければ大惨事です。
「王子はさらにダメダメクパッ!!」
「っ!」
気がつけば殿下はレオ様の隣に座らされ、きんちゃん様にこんこんと説教をされております。オリクス殿やアルテ殿は、その間に倒れている者達の介抱をして下さっていました。
「…決めたクパッ!ミカナ様に頼んで、時々レオに会いに来るクパッ!!」
「「っ!!」」
これにはレオ様はとても喜ばれ、殿下はものすごーく複雑そうな顔をなされました。
「ふむ。ならば城内にミカナ様を祀る場所でも作るかな?」
陛下の言葉に周囲が賛成します。
そりゃそうです。レオ様の寿命が殿下と同じになったということは、先程のレオ様のお怒りを止めれるエレ様がいなくなられた後が困ります。
きんちゃん様はミカナ様の神獣との事ですから、こちらに来られやすいのではないかと言うことで、翌日からすぐに城内の庭に祈祷所の建造が始められることになりました。
「とりあえずガディルは、この人に謝って!!」
「はあっ!?」
ひとまず一件落着かと思いましたが、それはまだのようです。座り込んで泣いていたアラベル嬢の側に立ったレオ様が、殿下に向かってそう仰ったのです。これには再び周りが黙り込みました。
「ふぇ…、ひっく?」
泣いたせいで化粧が落ち、ものすごい顔になっていたアラベル嬢ですが、レオ様が《洗浄》で綺麗にしてしまい、現在すっぴんでキョトンとされてます。いつもは化粧の濃いアラベル嬢ですが、すっぴんは意外と愛らしい顔立ちをされておりました。
「なぜ俺が謝らねばならん!」
「い・い・か・ら・あ・や・ま・れ!ここに来てた全候補の女性に謝れ……」
「はあっ!?」
「王子の相手になれると来てたクパ。選ばないのなら謝るのは当たり前クパ…」
きんちゃん様の続く言葉に、殿下は黙りました。正論です。ぐうの音も出ないですよね。
「……選ばずにすまぬ……_」
「………やり直し……」
「やり直しクパ」
渋々謝る殿下にお二人からのダメ出しです。
「~~っ!!せっかく集まってもらったが、俺は金輪際レオしか選ばぬっ!お前達には無駄に期待をさせて済まなかった!」
殿下はそう叫ぶと、深々と頭を下げられました。
「し、仕方ありませんわよね…。番がおられるのですもの…」
「そ、そうですわよね。番様が見つかりましたものねぇ…」
周りの令嬢達はそう言って、壁際へと離れていきます。
「……貴女は…」
アラベル嬢がレオ様を見上げられました。
「貴女は殿下でよろしいのですか?」
「………」
アラベル嬢の言葉にレオ様はしばらく黙りこまれた後、ご令嬢の隣に膝をつかれました。
「…正直に言えば、説明も相談もなく勝手に契約された事には、ものすごーーーーーーく、腹が立ってる……。立ってるんだけど……、まあガディルの気持ちも分からない訳じゃないし…かと言って、簡単に許す気もないんだけど……」
「ぐ……」
レオ様の言葉に、殿下は胸元を押さえてます。グサグサ刺してきてますもんね。自業自得ですよ。
「…他の人に譲る気もないんだよねぇ……。ごめんね?」
「……ふ、ふふふっ。そうなんですのね……」
「うん、そうなの。ごめんね」
困り顔で笑うレオ様に、思わずという感じで笑いだしたアラベル嬢。目尻に浮かぶ涙を拭われました。
「…アタクシにも番が見つかりますでしょうか?」
「それは分かんないけど、ちゃんとした格好にすれば、今よりモテると思うよ?」
「…ちゃんとした?」
確かに今のアラベル嬢のすっぴんと、着ているドレスは合っていません。
「清楚系が似合うんだクパッ!選んであげるクパッ!!」
きんちゃん様はそのままアラベル嬢の所へ泊まりに行かれてしまいました。
残された我々は、そのまま続ける気力もなく、パーティーは解散となったのです。
ちなみに殿下は右耳をレオ様に引っ張られ、
「レオ、痛いっ!痛いぞ、レオッ!!」
そのまま部屋へと連れていかれてました。
一件落着………ですかね?
「……いったーいっ!」
頭を押えてレオ様が座りこまれました。先程までの殺気も、身にまとわれていた雷もきれいさっぱり消えております。
「悪いのは王子クパッ!関係ない皆を巻き込むのはダメクパッ!!」
「ふぇ……。ごめんなさぁいぃ……」
涙目で謝られているレオ様の背後では、殿下がオロオロされてました。が、説明せずに契約していたなどと、それは怒られても仕方ありません。しかも、下手をすれば城が崩壊するところです。招待客や使用人も無事では済まなかったでしょう。きんちゃん様がいなければ大惨事です。
「王子はさらにダメダメクパッ!!」
「っ!」
気がつけば殿下はレオ様の隣に座らされ、きんちゃん様にこんこんと説教をされております。オリクス殿やアルテ殿は、その間に倒れている者達の介抱をして下さっていました。
「…決めたクパッ!ミカナ様に頼んで、時々レオに会いに来るクパッ!!」
「「っ!!」」
これにはレオ様はとても喜ばれ、殿下はものすごーく複雑そうな顔をなされました。
「ふむ。ならば城内にミカナ様を祀る場所でも作るかな?」
陛下の言葉に周囲が賛成します。
そりゃそうです。レオ様の寿命が殿下と同じになったということは、先程のレオ様のお怒りを止めれるエレ様がいなくなられた後が困ります。
きんちゃん様はミカナ様の神獣との事ですから、こちらに来られやすいのではないかと言うことで、翌日からすぐに城内の庭に祈祷所の建造が始められることになりました。
「とりあえずガディルは、この人に謝って!!」
「はあっ!?」
ひとまず一件落着かと思いましたが、それはまだのようです。座り込んで泣いていたアラベル嬢の側に立ったレオ様が、殿下に向かってそう仰ったのです。これには再び周りが黙り込みました。
「ふぇ…、ひっく?」
泣いたせいで化粧が落ち、ものすごい顔になっていたアラベル嬢ですが、レオ様が《洗浄》で綺麗にしてしまい、現在すっぴんでキョトンとされてます。いつもは化粧の濃いアラベル嬢ですが、すっぴんは意外と愛らしい顔立ちをされておりました。
「なぜ俺が謝らねばならん!」
「い・い・か・ら・あ・や・ま・れ!ここに来てた全候補の女性に謝れ……」
「はあっ!?」
「王子の相手になれると来てたクパ。選ばないのなら謝るのは当たり前クパ…」
きんちゃん様の続く言葉に、殿下は黙りました。正論です。ぐうの音も出ないですよね。
「……選ばずにすまぬ……_」
「………やり直し……」
「やり直しクパ」
渋々謝る殿下にお二人からのダメ出しです。
「~~っ!!せっかく集まってもらったが、俺は金輪際レオしか選ばぬっ!お前達には無駄に期待をさせて済まなかった!」
殿下はそう叫ぶと、深々と頭を下げられました。
「し、仕方ありませんわよね…。番がおられるのですもの…」
「そ、そうですわよね。番様が見つかりましたものねぇ…」
周りの令嬢達はそう言って、壁際へと離れていきます。
「……貴女は…」
アラベル嬢がレオ様を見上げられました。
「貴女は殿下でよろしいのですか?」
「………」
アラベル嬢の言葉にレオ様はしばらく黙りこまれた後、ご令嬢の隣に膝をつかれました。
「…正直に言えば、説明も相談もなく勝手に契約された事には、ものすごーーーーーーく、腹が立ってる……。立ってるんだけど……、まあガディルの気持ちも分からない訳じゃないし…かと言って、簡単に許す気もないんだけど……」
「ぐ……」
レオ様の言葉に、殿下は胸元を押さえてます。グサグサ刺してきてますもんね。自業自得ですよ。
「…他の人に譲る気もないんだよねぇ……。ごめんね?」
「……ふ、ふふふっ。そうなんですのね……」
「うん、そうなの。ごめんね」
困り顔で笑うレオ様に、思わずという感じで笑いだしたアラベル嬢。目尻に浮かぶ涙を拭われました。
「…アタクシにも番が見つかりますでしょうか?」
「それは分かんないけど、ちゃんとした格好にすれば、今よりモテると思うよ?」
「…ちゃんとした?」
確かに今のアラベル嬢のすっぴんと、着ているドレスは合っていません。
「清楚系が似合うんだクパッ!選んであげるクパッ!!」
きんちゃん様はそのままアラベル嬢の所へ泊まりに行かれてしまいました。
残された我々は、そのまま続ける気力もなく、パーティーは解散となったのです。
ちなみに殿下は右耳をレオ様に引っ張られ、
「レオ、痛いっ!痛いぞ、レオッ!!」
そのまま部屋へと連れていかれてました。
一件落着………ですかね?
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