51 / 110
閑話 5
返品不可
しおりを挟む
[ラムダス視点]
「つまり、あれか?父上には連絡済みで、レンドル陛下達と協議の上、レオが俺を受け入れたら即婚約という話になっていた………と?」
女神様と二人だけで話してくると、『勇者』が別室に移るなり、殿下が私を見上げて、そうお訊ねになりました。
「ぶっちゃけますと、傍から見てた私共には殿下が『勇者』を好きなの丸分かりでしたので………」
「……丸分かり……?」
殿下が『聖女』を見ると、こくりと頷かれ、次にレンドル陛下に視線を向けると、ウンウンと頷かれました。
「くあぁぁっ!!」
首まで真っ赤になりながら、両手で顔を覆って上を向いたって、事情を知る者達には丸分かり。バレバレだったんです。
そうでなければ、こうまで足並みを揃えて準備が出来る訳ありませんからね。
「……あれだな。これがレオなら、口尖らせてムスッとした顔で黙り込んで終わりだな…」
「あー。確かに、そうかも……」
レンドル陛下と『聖女』が、ニコニコしながら殿下を見られています。
つまり、あれですか?男女逆転劇のような関係ですか?それは笑えますね。口に出しませんけど…。
「あ。そっか…。レオと殿下が結婚したら、私は殿下の義弟になるんですね……」
「うむ。そうなると、兄替わりの私は義兄というとこかな?」
「っ!?」
お二人の言葉に、パッと顔を戻される殿下。心なしか目が輝いておりました。
あー、はい。そうでした。殿下は一人っ子なので、実は兄弟という存在に憧れていた時期がございました。
初めて会った私に向かって、開口一番。
『お前!今日から俺の弟になれっ!!』
私が年上だと知った瞬間に見せた、『落とし穴に落とされて茫然となった時の暗黒熊』のようなお顔は、今でもハッキリと思い出せます。ええ、笑いましたとも、心の中で!
「よろしくお願いしますね、義兄さん♪」
男性ではありましたが、『聖女』であるだけあって、その微笑みは愛らしいものです。案の定、殿下は真っ赤になり、しかも口元をニヨニヨさせておいででした。
「義兄さん……。義兄さんか……」
そんな殿下を、皆さま生暖かく見守ってくださっております。
申し訳ないです。うちの殿下、チョロいんですよ。
可愛い義弟に愛らしく呼びかけられて、恥じらってるんですよ。
お と め か っ !
「ふむ。では、私は義兄上とでも呼んでもらうかな♪」
レンドル陛下のお言葉に、殿下はもう口をハクハクとさせながら、真っ赤なまんまです。
「あ……、…義兄…上……」
「うん。何だい?」
「~~~~っ!!」
……何と言いましょうか。次期魔王がこれで大丈夫ですかね?何やら、少し心配になってきましたよ……。
そう思っていたら視線を感じました。
振り向けば『勇者』が…、レオ様が何とも言えないお顔をされて、殿下を見てらっしゃいます。
申し訳ありません。
【返品不可】でございますので、何卒、うちの殿下をよろしくお願い致します。
「つまり、あれか?父上には連絡済みで、レンドル陛下達と協議の上、レオが俺を受け入れたら即婚約という話になっていた………と?」
女神様と二人だけで話してくると、『勇者』が別室に移るなり、殿下が私を見上げて、そうお訊ねになりました。
「ぶっちゃけますと、傍から見てた私共には殿下が『勇者』を好きなの丸分かりでしたので………」
「……丸分かり……?」
殿下が『聖女』を見ると、こくりと頷かれ、次にレンドル陛下に視線を向けると、ウンウンと頷かれました。
「くあぁぁっ!!」
首まで真っ赤になりながら、両手で顔を覆って上を向いたって、事情を知る者達には丸分かり。バレバレだったんです。
そうでなければ、こうまで足並みを揃えて準備が出来る訳ありませんからね。
「……あれだな。これがレオなら、口尖らせてムスッとした顔で黙り込んで終わりだな…」
「あー。確かに、そうかも……」
レンドル陛下と『聖女』が、ニコニコしながら殿下を見られています。
つまり、あれですか?男女逆転劇のような関係ですか?それは笑えますね。口に出しませんけど…。
「あ。そっか…。レオと殿下が結婚したら、私は殿下の義弟になるんですね……」
「うむ。そうなると、兄替わりの私は義兄というとこかな?」
「っ!?」
お二人の言葉に、パッと顔を戻される殿下。心なしか目が輝いておりました。
あー、はい。そうでした。殿下は一人っ子なので、実は兄弟という存在に憧れていた時期がございました。
初めて会った私に向かって、開口一番。
『お前!今日から俺の弟になれっ!!』
私が年上だと知った瞬間に見せた、『落とし穴に落とされて茫然となった時の暗黒熊』のようなお顔は、今でもハッキリと思い出せます。ええ、笑いましたとも、心の中で!
「よろしくお願いしますね、義兄さん♪」
男性ではありましたが、『聖女』であるだけあって、その微笑みは愛らしいものです。案の定、殿下は真っ赤になり、しかも口元をニヨニヨさせておいででした。
「義兄さん……。義兄さんか……」
そんな殿下を、皆さま生暖かく見守ってくださっております。
申し訳ないです。うちの殿下、チョロいんですよ。
可愛い義弟に愛らしく呼びかけられて、恥じらってるんですよ。
お と め か っ !
「ふむ。では、私は義兄上とでも呼んでもらうかな♪」
レンドル陛下のお言葉に、殿下はもう口をハクハクとさせながら、真っ赤なまんまです。
「あ……、…義兄…上……」
「うん。何だい?」
「~~~~っ!!」
……何と言いましょうか。次期魔王がこれで大丈夫ですかね?何やら、少し心配になってきましたよ……。
そう思っていたら視線を感じました。
振り向けば『勇者』が…、レオ様が何とも言えないお顔をされて、殿下を見てらっしゃいます。
申し訳ありません。
【返品不可】でございますので、何卒、うちの殿下をよろしくお願い致します。
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる