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第五章 そして新たな神話が生まれた
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[エレオノール視点]
とりあえず、眠ってしまったエマは、サラ姉様とグイードに部屋に連れて行かれ、一人がけのソファに移動した女神様の右側のソファに私と新大神殿長。左側のソファにレオとガディル殿下。そして、女神様の正面にレン兄様が座ることになった。
「………誰か、変わってくれ……」
ボソリと呟くレン兄様の声は、男三人聞こえないふりをした。
「そこが嫌なら、私が変わ「いや、ここでいいぞぉ!ここがいい!!」」
レオの発言に被せるように答えるのは、真横よりは、離れている正面の方がいいと判断したんだろう。
でも、正面は丸見えなんだけどね……。
「さてと。本題に入ろうか?」
女神様の言葉に、全員が顔を上げて女神様を見た。
「とりあえず何か質問あるなら、答えますけど?」
大広間で見た時の神々しさが消えて、ものすごく話しかけやすい普通の女の人みたいな感じになっている。
「…その構いませぬでしょうか?」
新大神殿長が恐る恐る手を挙げた。
「構いませんよ。あと、楽に話してくれて大丈夫です」
にっこり笑ってそう言われても、女神様相手に楽に話すって出来る訳もなく……。
「その…。レオノーラとは面識がおありでしたか?」
その言葉に二人は顔を見合わせると、新大神殿長の方を向いた。
「ないですよ」
「無いよ」
二人同時にそう言った後、レオが続けた。
「私は生まれ変わる前に創造神に会っただけで、それからは声も聞いてないもん!」
「「「…生まれ変わる前?」」」
私以外の三人が反応する。
そういえば、レオが『転生者』って知ってるの私だけだっけ?いや、レン兄様も知ってるよね?昔、皆で話聞いたよね?
ジッと見てたら、その事を思い出したらしく、気まずそうに視線を逸らされた。
「いや、お前……。創造神様に会ったなどと、そんな簡単に……」
「自殺考えてた時に『新しい人生を自分で決めてみませんか?』って、声かけられたんだよねぇ……」
『はあっ!?』
そこにいた全員ー女神様も含むーが驚いてレオを見た。
「えっと……。まさかとは思うんだけど……」
「あ。自殺考えてただけで、死ぬ前に拉致られたんで大丈夫ですよ?」
女神様の問いに、あっけらかんと答えるレオ。
「……聞いてない……」
ポツリと呟く女神様から一瞬、冷たい気配が満ちて消える。
「良かったら、向こうの私がどんな扱いになったのかだけ、確認しといてもらえますか?」
「…分かったわ。すぐに確認してくれると思う…。えーっと、何だっけ?私とは面識はないんだけど、創造神とは面識があるってことで良かったのかしら?」
「はい。つまり、レオは生まれた時から既に『勇者』と決まっていたということでよろしいでしょうか?」
「決まっていたんじゃなくて、決めさせてもらったよ?『聖女』は嫌だって言って、変えてもらったの」
「「は?」」
新大神殿長とガディル殿下が、レオを見てる。そうだよね、私達しか知らない話だった。新大神殿長にも話してなかったもんね。
そこからレオの説明で、本来は私が『勇者』だったこと。レオと入れ替えた際に、『聖女』を『聖者』に変更し忘れたことを女神様の補足を入れながら説明された。
「……それは正しく、神とて間違うということでございますな……」
「…お前、本当は『聖女』だったのか……」
納得した新大神殿長と、呆れているガディル殿下。そこで、レン兄様が口を開いた。
「レオと貴女様は面識が無かったと仰ったが……。その、知り合いのように見えたのですが…」
「「………」」
女神様はレオと見つめ合うと、肩を竦めた。
「あー、私も元は彼女と同じ世界で同じ国の出だからねぇ……」
「そう、それ!何で神様になっちゃってるか、聞きたかったの!?」
そこから女神様の他に、同じような仲間が三人いると聞かされ、創造神によって我々の世界とは別の世界を管理していると聞かされた。
「そもそも、ディーのせいで死んじゃったからねぇ、私ら……」
サラリと言われても困る。
「で、色々あって、ディーを手伝うために眷属として転生したのよね。………おかげで永久ブラック企業に就職したけど……」
最後の微かな呟きの意味は分からなかったけど、レオがものすごく気の毒そうに見てたので、聞かなかったことにする。
「で?他にも用があるから、ここにいるんでしょ?」
レオは動じることなく、淡々と質問する。レオの中では、女神様は女神様でなく、ただの同郷の女性なんだろうな……。
「そうそう。それが本題なの。ディーの名前が正しく伝わってないせいで、あのおバカさん達の不正に気づけなかったのよね。だから、本当は本人に降臨させようと思ったんだけど…」
フッと空気が重くなった気がした。
「あんのヘタレ……。『人が殺されかけてるとこに行って、落ち着いて話す自信はないです!』って、言い張ってくれちゃってねぇ……。それで私が来ることになったわけなんだけど……」
ハッと投げやりに笑われても困る。
「新大神殿長には申し訳ないのですが、正しく彼の名前を伝え直していただきたいのです。何しろ、彼は色々…、残念なので……」
「あー。残念が過ぎるもんねぇ…」
右手で顔を覆いながら話す女神様に、苦笑するレオ。
残念な神様に創られた世界にいるんだ、私達…………。
「それは…宜しいのですが。ならば、しばらくは決まった時に〖神の奇跡〗をお願いしたいです……」
「…ああ。確かにそれは効果的ですね。正しく神の名であるからこそ、神に言葉が届く証明になりそうですね…。分かりました。神殿で神像に祈る時に、創造神の名を呼んで呼びかけてください。《神託》で話せるようにしておきますから」
そうして、翌日から新大神殿長は、最も忙しい人となったーーーー。
********
いつもお読み下さり、ありがとうございます。
作者、体が老化現象により、予定通りに更新進んでないのをお詫びします。
若いうちのツケは、歳とってから全部来るって本当だったと、後悔している日々です。
ですが、頑張りますので、このおばさん、仕方ねえなぁと気長にお待ちくださいますよう、お願いします。
とりあえず、眠ってしまったエマは、サラ姉様とグイードに部屋に連れて行かれ、一人がけのソファに移動した女神様の右側のソファに私と新大神殿長。左側のソファにレオとガディル殿下。そして、女神様の正面にレン兄様が座ることになった。
「………誰か、変わってくれ……」
ボソリと呟くレン兄様の声は、男三人聞こえないふりをした。
「そこが嫌なら、私が変わ「いや、ここでいいぞぉ!ここがいい!!」」
レオの発言に被せるように答えるのは、真横よりは、離れている正面の方がいいと判断したんだろう。
でも、正面は丸見えなんだけどね……。
「さてと。本題に入ろうか?」
女神様の言葉に、全員が顔を上げて女神様を見た。
「とりあえず何か質問あるなら、答えますけど?」
大広間で見た時の神々しさが消えて、ものすごく話しかけやすい普通の女の人みたいな感じになっている。
「…その構いませぬでしょうか?」
新大神殿長が恐る恐る手を挙げた。
「構いませんよ。あと、楽に話してくれて大丈夫です」
にっこり笑ってそう言われても、女神様相手に楽に話すって出来る訳もなく……。
「その…。レオノーラとは面識がおありでしたか?」
その言葉に二人は顔を見合わせると、新大神殿長の方を向いた。
「ないですよ」
「無いよ」
二人同時にそう言った後、レオが続けた。
「私は生まれ変わる前に創造神に会っただけで、それからは声も聞いてないもん!」
「「「…生まれ変わる前?」」」
私以外の三人が反応する。
そういえば、レオが『転生者』って知ってるの私だけだっけ?いや、レン兄様も知ってるよね?昔、皆で話聞いたよね?
ジッと見てたら、その事を思い出したらしく、気まずそうに視線を逸らされた。
「いや、お前……。創造神様に会ったなどと、そんな簡単に……」
「自殺考えてた時に『新しい人生を自分で決めてみませんか?』って、声かけられたんだよねぇ……」
『はあっ!?』
そこにいた全員ー女神様も含むーが驚いてレオを見た。
「えっと……。まさかとは思うんだけど……」
「あ。自殺考えてただけで、死ぬ前に拉致られたんで大丈夫ですよ?」
女神様の問いに、あっけらかんと答えるレオ。
「……聞いてない……」
ポツリと呟く女神様から一瞬、冷たい気配が満ちて消える。
「良かったら、向こうの私がどんな扱いになったのかだけ、確認しといてもらえますか?」
「…分かったわ。すぐに確認してくれると思う…。えーっと、何だっけ?私とは面識はないんだけど、創造神とは面識があるってことで良かったのかしら?」
「はい。つまり、レオは生まれた時から既に『勇者』と決まっていたということでよろしいでしょうか?」
「決まっていたんじゃなくて、決めさせてもらったよ?『聖女』は嫌だって言って、変えてもらったの」
「「は?」」
新大神殿長とガディル殿下が、レオを見てる。そうだよね、私達しか知らない話だった。新大神殿長にも話してなかったもんね。
そこからレオの説明で、本来は私が『勇者』だったこと。レオと入れ替えた際に、『聖女』を『聖者』に変更し忘れたことを女神様の補足を入れながら説明された。
「……それは正しく、神とて間違うということでございますな……」
「…お前、本当は『聖女』だったのか……」
納得した新大神殿長と、呆れているガディル殿下。そこで、レン兄様が口を開いた。
「レオと貴女様は面識が無かったと仰ったが……。その、知り合いのように見えたのですが…」
「「………」」
女神様はレオと見つめ合うと、肩を竦めた。
「あー、私も元は彼女と同じ世界で同じ国の出だからねぇ……」
「そう、それ!何で神様になっちゃってるか、聞きたかったの!?」
そこから女神様の他に、同じような仲間が三人いると聞かされ、創造神によって我々の世界とは別の世界を管理していると聞かされた。
「そもそも、ディーのせいで死んじゃったからねぇ、私ら……」
サラリと言われても困る。
「で、色々あって、ディーを手伝うために眷属として転生したのよね。………おかげで永久ブラック企業に就職したけど……」
最後の微かな呟きの意味は分からなかったけど、レオがものすごく気の毒そうに見てたので、聞かなかったことにする。
「で?他にも用があるから、ここにいるんでしょ?」
レオは動じることなく、淡々と質問する。レオの中では、女神様は女神様でなく、ただの同郷の女性なんだろうな……。
「そうそう。それが本題なの。ディーの名前が正しく伝わってないせいで、あのおバカさん達の不正に気づけなかったのよね。だから、本当は本人に降臨させようと思ったんだけど…」
フッと空気が重くなった気がした。
「あんのヘタレ……。『人が殺されかけてるとこに行って、落ち着いて話す自信はないです!』って、言い張ってくれちゃってねぇ……。それで私が来ることになったわけなんだけど……」
ハッと投げやりに笑われても困る。
「新大神殿長には申し訳ないのですが、正しく彼の名前を伝え直していただきたいのです。何しろ、彼は色々…、残念なので……」
「あー。残念が過ぎるもんねぇ…」
右手で顔を覆いながら話す女神様に、苦笑するレオ。
残念な神様に創られた世界にいるんだ、私達…………。
「それは…宜しいのですが。ならば、しばらくは決まった時に〖神の奇跡〗をお願いしたいです……」
「…ああ。確かにそれは効果的ですね。正しく神の名であるからこそ、神に言葉が届く証明になりそうですね…。分かりました。神殿で神像に祈る時に、創造神の名を呼んで呼びかけてください。《神託》で話せるようにしておきますから」
そうして、翌日から新大神殿長は、最も忙しい人となったーーーー。
********
いつもお読み下さり、ありがとうございます。
作者、体が老化現象により、予定通りに更新進んでないのをお詫びします。
若いうちのツケは、歳とってから全部来るって本当だったと、後悔している日々です。
ですが、頑張りますので、このおばさん、仕方ねえなぁと気長にお待ちくださいますよう、お願いします。
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