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第四章 思惑は絡み合って成立する

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 [エレオノール視点]

「はい。これ、私からのプレゼント♪」

「………」

    レオからいきなり渡された箱の中身を見て、言葉が出なかった。
    箱の中には私の髪色金色の台座に、フレイアの瞳の色の水色アクアマリンが嵌った髪飾りとスカーフリングが入っていたのだ。
    明らかに婚約者同士が身につける、今流行っているヤツだ。

ーーこういう事に興味ないから、気づいてないと思ったんだけど……。

    こんな気遣いできるというのに、ガディル殿下が用意する装飾品が、何で自分達の髪の色って気づかないのか。

「おーい、エレ?気に入らなかった?サラ姉様とダリヤが選んでくれたんだけど?」

「……」

    これはどう判断すればいいんだろう?レオが頼んだんじゃないってことだろうか?

    悩むより聞いた方が早いと、思いながらも色々考えてしまう。

    レオが頼んでいた中から選んでもらったのか。
    サラ姉様達が用意したものを、預かっていたのか。

    前者だった場合。レオはガディル殿下も流行りの意味を知ってることに気づいたはずだ。
    はず……だけど。レオだからなぁ…。
    魔族の王族と人族の婚姻は公には認められないとどちらも・・・・知っているから、自分の事ではないと無意識に除外してる可能性は高い。

   後者だった場合は……。
   そんなことは無いだろうと信じよう。うん、きっと大丈夫!……多分。

    そう考えてると、こちらをジーッと見ているレオに気づいた。

「…これ、レオが頼んでくれたの?」

    訊ねるとニッコリと笑ってくれた。

「色的にこの組み合わせの方が華やかでしょ?サラ姉様は、銀の台座にエメラルドでもって言ってたけど、そうなると台座がフレイアの色になっちゃうからね」

    あ、これ。やっぱりレオが頼んだんだ……。

    つまり、想像通りなんだろう。

    レオは無意識にガディル殿下をそういう対象から外している。
    外しているということは、可能性があるからじゃないかと思うんだ。

    二人でいる時を見たことがある。
    男女の仲とか男同士の友情とか、そんな感じの雰囲気じゃなくて、そこに二人でいるのが自然に思える雰囲気だった。

   そりゃ初対面は散々だったけど。ちゃんと謝ってくれたし、悪い人ではない。
    性別に関係なくレオを選んでくれた。

    こんな人、そうそういないよね?
    私だって、義理とはいえ兄になるのだから、尊敬できる人がいい。
    いきなり襲いかかるような連中なんか、レオの側に近づけたくもない。

    レン兄様や騎士団の皆だって、『勇者』として頑張るレオに、年頃の女の子として何もさせれなかったことを悔やんでいるんだ。

    誰よりも強くて優しい半身。
    別の世界からこの世界で『勇者』となることを選んだ唯一の双子の姉。
    ひとの色恋沙汰を気にする前に、自分のことも気にして欲しいというものだ。

    だからお披露目では、うんと着飾って、女性としての幸せも手に入れてもらうから、覚悟しといてね、姉さん・・・



    
    
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