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第三章 困惑、混乱、初めての恋?
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[ラムダス視点]
「レオ!今から訓練か?」
ガディル殿下は人族領に来られてから、ほぼ毎日『勇者』の後を追いかけておられます。
我々が仲良くなっていただきたいのは『勇者』ではなく、『聖女』の方なのです。
「そんなモノ、双子なのだぞ?『勇者』と仲良くなれば、自然と『聖女』とも仲良くなれるだろ」
などと仰いましたが、完全に『聖女』のことは頭にありませんよね?
後、どう頑張っても、殿下の態度は『勇者』に惚れているとしか思えません…。
護衛騎士や騎士団の方々と話していると、割って入ってます…。
どう見てもヤキモチ妬いて乱入する恋人なんですけど?
物心付いた時から、女性の方から寄ってくるので、実は初恋もまだの殿下。
『勇者』は全く気づいてないようですが、周りの騎士達は殿下の行動に薄々察しているようで、殿下が割って入ると苦笑しながら『勇者』と距離を取っています。
独 占 欲 丸 出 し か よ !
無自覚なため、こちらがどう伝えても理解してもらえるはずもなく、どうしてくれようこの恋愛初心者……。
それに私の予想が正しければ、『勇者』は女性なのです。
時折、女性特有の香りがしています。
そして、『聖女』にはそれが全くありません。
ですが、『聖女』なのです。女性なのは間違いないでしょうが、もしかしたら子が望めないのかも知れません。
だとすれば、殿下が『勇者』に選ばれるのが良いということでしょうか?
時折、『勇者』と『聖女』が不在の時があります。
そんな日の殿下は不機嫌丸出しで、部屋に篭ってしまいます。
小さい子供では無いのですから、仕事して欲しいんですが……。
そんな折り、たまたま王都を歩いていた時、前から来た四人組の冒険者達とすれ違いました。
「っ!?」
思わず振り返りました。
四人のうち二人の匂いを知っていたからです。
そこには普通の冒険者の姿をした『勇者』と『聖女』が居るはずでした。
ですが、そこには女『剣士』と男の『魔導士』がいたのです。
「………は?」
思わず二度見しました。
『勇者』は女性で間違いなかったのです!
これは嬉しい!!
ですが……。
ですが、『聖女』が男性なのはどういうことなのかっ!?
私は冒険者達から、情報を集めることにしました。
……何故でしょう……。
虚しくなるほどに容易く情報を手に入れてしまいました。
〖レンドルの花冠〗と呼ばれるCランクのパーティーは、王都の冒険者ギルドでは有名なのだそうで、頼まないことまで皆さん話してくれるのです。
たったひと月でのランクの上がり具合。依頼達成度の高さ。果ては酒場での飲みっぷりや食べっぷりまで……。
一人に聞いていたら、オレもワタシもと集まる集まる。
「これでアンタも〖レンドルの花冠〗の情報通だ!!」
などと言われ、思いっきり背中を叩かれました。
『勇者』と『聖女』は遠くとも、〖レンドルの花冠〗は民衆のすぐ側にいる存在なのです。
ギルドの依頼程度に、その二人が向かうことは恐らく貴族達が許さないでしょう。
ですが、『冒険者』ならば自由に依頼を選べるのです。
長年解決しなかった依頼を達成したり、報酬の割に面倒な依頼を引き受けたりと、内容や依頼ランクに関わらず受けるなど、『勇者』や『聖女』であるならば出来ないでしょう。
そう言えばお二人は元々、遠方の田舎の村の平民であったと聞いております。
だからこその『冒険者』なのでしょう……。
パーティー名からして、きっとレンドル王も見て見ぬふりをしていると思われます。
ならば、私も口を噤むべきでしょう。
殿下も脈がないわけでないでしょうから、キリキリと頑張ってもらうことにします!!
「レオ!今から訓練か?」
ガディル殿下は人族領に来られてから、ほぼ毎日『勇者』の後を追いかけておられます。
我々が仲良くなっていただきたいのは『勇者』ではなく、『聖女』の方なのです。
「そんなモノ、双子なのだぞ?『勇者』と仲良くなれば、自然と『聖女』とも仲良くなれるだろ」
などと仰いましたが、完全に『聖女』のことは頭にありませんよね?
後、どう頑張っても、殿下の態度は『勇者』に惚れているとしか思えません…。
護衛騎士や騎士団の方々と話していると、割って入ってます…。
どう見てもヤキモチ妬いて乱入する恋人なんですけど?
物心付いた時から、女性の方から寄ってくるので、実は初恋もまだの殿下。
『勇者』は全く気づいてないようですが、周りの騎士達は殿下の行動に薄々察しているようで、殿下が割って入ると苦笑しながら『勇者』と距離を取っています。
独 占 欲 丸 出 し か よ !
無自覚なため、こちらがどう伝えても理解してもらえるはずもなく、どうしてくれようこの恋愛初心者……。
それに私の予想が正しければ、『勇者』は女性なのです。
時折、女性特有の香りがしています。
そして、『聖女』にはそれが全くありません。
ですが、『聖女』なのです。女性なのは間違いないでしょうが、もしかしたら子が望めないのかも知れません。
だとすれば、殿下が『勇者』に選ばれるのが良いということでしょうか?
時折、『勇者』と『聖女』が不在の時があります。
そんな日の殿下は不機嫌丸出しで、部屋に篭ってしまいます。
小さい子供では無いのですから、仕事して欲しいんですが……。
そんな折り、たまたま王都を歩いていた時、前から来た四人組の冒険者達とすれ違いました。
「っ!?」
思わず振り返りました。
四人のうち二人の匂いを知っていたからです。
そこには普通の冒険者の姿をした『勇者』と『聖女』が居るはずでした。
ですが、そこには女『剣士』と男の『魔導士』がいたのです。
「………は?」
思わず二度見しました。
『勇者』は女性で間違いなかったのです!
これは嬉しい!!
ですが……。
ですが、『聖女』が男性なのはどういうことなのかっ!?
私は冒険者達から、情報を集めることにしました。
……何故でしょう……。
虚しくなるほどに容易く情報を手に入れてしまいました。
〖レンドルの花冠〗と呼ばれるCランクのパーティーは、王都の冒険者ギルドでは有名なのだそうで、頼まないことまで皆さん話してくれるのです。
たったひと月でのランクの上がり具合。依頼達成度の高さ。果ては酒場での飲みっぷりや食べっぷりまで……。
一人に聞いていたら、オレもワタシもと集まる集まる。
「これでアンタも〖レンドルの花冠〗の情報通だ!!」
などと言われ、思いっきり背中を叩かれました。
『勇者』と『聖女』は遠くとも、〖レンドルの花冠〗は民衆のすぐ側にいる存在なのです。
ギルドの依頼程度に、その二人が向かうことは恐らく貴族達が許さないでしょう。
ですが、『冒険者』ならば自由に依頼を選べるのです。
長年解決しなかった依頼を達成したり、報酬の割に面倒な依頼を引き受けたりと、内容や依頼ランクに関わらず受けるなど、『勇者』や『聖女』であるならば出来ないでしょう。
そう言えばお二人は元々、遠方の田舎の村の平民であったと聞いております。
だからこその『冒険者』なのでしょう……。
パーティー名からして、きっとレンドル王も見て見ぬふりをしていると思われます。
ならば、私も口を噤むべきでしょう。
殿下も脈がないわけでないでしょうから、キリキリと頑張ってもらうことにします!!
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