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第53話 目醒めた望美
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「――……ん?」
私は息苦しさに、目を覚ましたの。
視界は薄く光りが差し込んでいるようだけど。
「ここは、一体……――どこ、なの??」
私は身体を起こしたのだけど、場所が不安定で上手くいかないの。
徐々に、辺りも見えて来る。
「あ。水」
私の目に映ったのは、水のペットボトル。
4本はあるわね。
1本、頂くわ。
少し、咽喉が痛いのは、どうしてなのかしら?
キャップを回そうとして、力を込めた瞬間。
ズク!
「!?」
ズクズク――……ッッ!
下半身が悲鳴を上げたの。
私も悲鳴を、漏らしそうになったわ。
「っぐ、ぅ、うう……っは! っぐ」
その力で、キャップを回すことも出来たから、私は勢いよく飲んだの。
口に入らなかった水は、口元から伝い零れて、私の膝を濡らしていく。
「ぃ、たい……ぅ゛、っふ、ぅ゛ううう゛~~」
私の流した涙も、膝を濡らす水になるの。
「まどか、たぬ吉~~ぃいい~~」
傍に居るはずの、彼女たちも居ないこともあって。
私の胸中は、穏やかじゃない。
不安で、押しつぶされそうだった。
一体、どうして?
私だけが、こんな場所に居るっていうの??
「まどか……たぬ吉――……」
瞑った目には、彼女たちの顔が浮かぶ。
にこやかに、微笑む姿が。
「どこ、なの??」
「全部、お前さんのためにやってんだぞ?」
聞き覚えのある。
腹の立つ彼の声が聞こえた。
振り向いて、顔を見ることすら、嫌な奴。
「どんっだっけ、苦労してんのか、お前さんに分かる?」
声が近くなって来ているのが分かる。
気配が、息遣いが。
四肢をざわつかせているもの。
「分かるわけないじゃない。意識がなかったんだもの」
私も、素っ気なく彼に言う。
「ま。そりゃあな、でも。知りたくないかい? のなかちゃん?」
すぐ背後に、彼がいる。
バク。
バクバクバクバク!
「っつ!」
嫌だ。
こんなときに限って、嫌なことを思い出すのね。
私。
私、この嫌いな奴に。
口づけされたんだった。
顔が熱いわ。
私は顔を伏せた。
その様子に、
「何?? どっかしたのかっなぁ~~♪」
彼は――篠崎琢磨は、面白がっている声を上げるの。
本っっっっ当に、嫌な奴!
「――~~……ッッ」
私が黙っていると、篠崎は。
手を肩に置いた。
角ばった手だ。
少年と、大人の間のような。
触りたくなる手。
「――……篠崎? あなた、一体??」
私は、思いっきって顔を上げると、
「‼」
篠崎と視線がかち合った。
真剣な表情の、篠崎と。
「前座なしに挿入れられたから痛むよな? もう少し待ってろよ。あいつらが、薬局に行ったから、もうすぐ、ちゃんとしたアフターケアが出来るかんな」
篠崎が、あまりに真剣に言うものだから。
篠崎が、あまりに真剣に言うものだから!
カカカカカカカカ‼
顔から火を吹き出しそうになってしまったわ。
忘れかけていたのに。
忘れかけていたのにっっ‼
「さ。おばさん?」
「おばさんって、同じ年齢でしょ」
「いやいや。《中古品》だし♪」
よく分からない言葉に、私は頭を傾げてしまうと。
篠崎が微笑んだ。
「っふは! 横、座るぜ? おばさん」
「本当に、嫌な奴ね」
「褒め言葉だな! っふは!」
「……私と、まどかは。あなたを探していたのよ?」
笑う篠崎に私が言う。
だって、探していたのは事実だったし。
でも。
半分は、嘘なのかもしれない。
私は、まどかと一緒に居たかったのだから。
「お前さんたちに、俺は捕まえられねェよ? っふはは!」
「でも」
私は、篠崎の胸元に手を置いた。
「こうして、捕まっているじゃないの」
その瞬間。
っか、かか。
カカカカカカカカーー…ッッ。
「あなたでも、そんな顔するのね。篠崎」
耳まで真っ赤な彼。
「ああ。捕まえられてやったんだよ。自首ってやつ?」
頬を指先でかく仕草をする篠崎は、恥ずかしそうに言う。
「それで? この状況を平たく、簡単にお願いするわ」
私は、そんな篠崎に興味はないの。
興味があるのは。
「まどかと、たぬ吉はどこなの?」
私は息苦しさに、目を覚ましたの。
視界は薄く光りが差し込んでいるようだけど。
「ここは、一体……――どこ、なの??」
私は身体を起こしたのだけど、場所が不安定で上手くいかないの。
徐々に、辺りも見えて来る。
「あ。水」
私の目に映ったのは、水のペットボトル。
4本はあるわね。
1本、頂くわ。
少し、咽喉が痛いのは、どうしてなのかしら?
キャップを回そうとして、力を込めた瞬間。
ズク!
「!?」
ズクズク――……ッッ!
下半身が悲鳴を上げたの。
私も悲鳴を、漏らしそうになったわ。
「っぐ、ぅ、うう……っは! っぐ」
その力で、キャップを回すことも出来たから、私は勢いよく飲んだの。
口に入らなかった水は、口元から伝い零れて、私の膝を濡らしていく。
「ぃ、たい……ぅ゛、っふ、ぅ゛ううう゛~~」
私の流した涙も、膝を濡らす水になるの。
「まどか、たぬ吉~~ぃいい~~」
傍に居るはずの、彼女たちも居ないこともあって。
私の胸中は、穏やかじゃない。
不安で、押しつぶされそうだった。
一体、どうして?
私だけが、こんな場所に居るっていうの??
「まどか……たぬ吉――……」
瞑った目には、彼女たちの顔が浮かぶ。
にこやかに、微笑む姿が。
「どこ、なの??」
「全部、お前さんのためにやってんだぞ?」
聞き覚えのある。
腹の立つ彼の声が聞こえた。
振り向いて、顔を見ることすら、嫌な奴。
「どんっだっけ、苦労してんのか、お前さんに分かる?」
声が近くなって来ているのが分かる。
気配が、息遣いが。
四肢をざわつかせているもの。
「分かるわけないじゃない。意識がなかったんだもの」
私も、素っ気なく彼に言う。
「ま。そりゃあな、でも。知りたくないかい? のなかちゃん?」
すぐ背後に、彼がいる。
バク。
バクバクバクバク!
「っつ!」
嫌だ。
こんなときに限って、嫌なことを思い出すのね。
私。
私、この嫌いな奴に。
口づけされたんだった。
顔が熱いわ。
私は顔を伏せた。
その様子に、
「何?? どっかしたのかっなぁ~~♪」
彼は――篠崎琢磨は、面白がっている声を上げるの。
本っっっっ当に、嫌な奴!
「――~~……ッッ」
私が黙っていると、篠崎は。
手を肩に置いた。
角ばった手だ。
少年と、大人の間のような。
触りたくなる手。
「――……篠崎? あなた、一体??」
私は、思いっきって顔を上げると、
「‼」
篠崎と視線がかち合った。
真剣な表情の、篠崎と。
「前座なしに挿入れられたから痛むよな? もう少し待ってろよ。あいつらが、薬局に行ったから、もうすぐ、ちゃんとしたアフターケアが出来るかんな」
篠崎が、あまりに真剣に言うものだから。
篠崎が、あまりに真剣に言うものだから!
カカカカカカカカ‼
顔から火を吹き出しそうになってしまったわ。
忘れかけていたのに。
忘れかけていたのにっっ‼
「さ。おばさん?」
「おばさんって、同じ年齢でしょ」
「いやいや。《中古品》だし♪」
よく分からない言葉に、私は頭を傾げてしまうと。
篠崎が微笑んだ。
「っふは! 横、座るぜ? おばさん」
「本当に、嫌な奴ね」
「褒め言葉だな! っふは!」
「……私と、まどかは。あなたを探していたのよ?」
笑う篠崎に私が言う。
だって、探していたのは事実だったし。
でも。
半分は、嘘なのかもしれない。
私は、まどかと一緒に居たかったのだから。
「お前さんたちに、俺は捕まえられねェよ? っふはは!」
「でも」
私は、篠崎の胸元に手を置いた。
「こうして、捕まっているじゃないの」
その瞬間。
っか、かか。
カカカカカカカカーー…ッッ。
「あなたでも、そんな顔するのね。篠崎」
耳まで真っ赤な彼。
「ああ。捕まえられてやったんだよ。自首ってやつ?」
頬を指先でかく仕草をする篠崎は、恥ずかしそうに言う。
「それで? この状況を平たく、簡単にお願いするわ」
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