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#27 竜司を幸せにしようの集い
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自転車を漕いで長谷部は竜司の店へと急いだ。
着いたときはすでに、閉店時間で締まっている店内は真っ暗だが。
「! 起きてるっ」
二階の住居箇所に灯りが燈っているのが見えて、長谷部の胸が弾んだ。自電車も放り捨てて自宅の玄関の鐘を鳴らした。1回、2回と指でボタンを押した。
中からの音も聞こえないのだが長谷部は待った。
「竜司さん、寝ちまったのかな」
徐々に長谷部は不安になっていく。
消し忘れなのかもしれないと。
(もう1回、…押して来ないなら帰ろ――…)
もう一度、ボタンを強く押そうとしたとき。
どかどかと中から音が聞こえ、
「こんな夜に来るバカは誰かなぁw」
勢いよくドアを開けたのは、竜司ではなく何故か恵だった。
「ぅ、あァ゛あ…吉川ぁ」
「あ! 長谷部っ、お宅って奴ァ!」
顔色を変えて口を大きく開ける彼に、長谷部も表情を強張らせた。
身体も翻し自転車へと走ろうとする長谷部の襟足を恵に掴まれた挙句に、「来い! バカ野郎っ」と中へと引きずられた。
「っよっしかっわぁアっ??」
「丁度よかったぜ!」
「ぇ、はぁ?」
引きずられたままの長谷部も首を傾げた。
「お宅の父親の店に行ってたから休んだんだろう? 今日は」
恵の言葉に「ああ。そうだけど」と返事をした。
「店長に何か、聞いたのか?」
「…如月って野郎にさぁ? 今日、会えたかよ?」
恵の言葉に長谷部も脚を踏ん張り、引きずられるのを止めた。
「急になんの話しすんだよ」
「おいおい。手間かけさせるんじゃねぇよw」
首に腕を回して、さらに長谷部を引きずった。
「吉川! おいっ、あンたは何がしてぇんだよっ!」
「俺ぇ? 何って、そりゃあー~~…店長に幸せになって欲しいだけだぜぇwwwww」
弾む恵の言葉に、長谷部は巻かれた腕を解き肩を横に並べた。
「そ、それは俺もだっつぅの!」
「へぇ? で、会った? 今日」
「会った」
恵は長谷部を竜司がいる場所まで案内をした。
「それがなんだよ」
「店長が。想いのほかこじらせちまってんのよw」
「こじらせるって、何がだよ」
「ああ。お子様にゃあ分かんねぇっかぁ~~wwwww」
「吉川?」
恵が長谷部を案内したのは、二階にある竜司の彼の部屋だ。
「そういえば。竜司さんは?」
「寝込んじまった」
「はァ!?」
「なんてのは嘘で、悪酔いしちまって寝落ちしちまった」
「…吉川ぁー~~っ」
葉を剥き出しに恵を睨む長谷部に目を細めた。
「その如月さんてのに恋人は?」
「恋人ぉ? ホステスに貢いだり、あんな店に来るあたり、いねぇんじゃねえのかな?」
「そりゃあ。そうだw」と恵が肩を竦めた。
全く恵の質問の意図が掴めずに分からない長谷部は苛立てしまう。
「だから、なんの話しをいてんだっつぅのっ」
「如月さんに店長への脈はあんの?」
「竜司さんに? さぁ、今日聞かれたけど」
「! っそ、そぅか! っあんだよ~~もぉうw」
「吉川ぁ~~??」
喜々と声を弾ませた恵に、長谷部は眉間にしわを寄せた。
「お子様にゃあ分かんなくたっていい話しだ」
竜司の部屋につき、中へと長谷部も入った。
「竜司さん?」
見渡すも彼の姿はなく、ベッドの中が膨らんでいた。
「竜司さん、…寝てんじゃんっ」
「ケーキの定例の試食会で酒を煽るように飲んで、そんで、そのままばったんきゅうよw」
「なら、なんだって俺を上げたんだよ。家ン中に」
「緊急会議をしょうと思ってさ。ごめんな、長谷部君」
ひょこっ、とケーキを食べるともみがはにかんだ表情で長谷部を見据えた。
「春日部さん」
着いたときはすでに、閉店時間で締まっている店内は真っ暗だが。
「! 起きてるっ」
二階の住居箇所に灯りが燈っているのが見えて、長谷部の胸が弾んだ。自電車も放り捨てて自宅の玄関の鐘を鳴らした。1回、2回と指でボタンを押した。
中からの音も聞こえないのだが長谷部は待った。
「竜司さん、寝ちまったのかな」
徐々に長谷部は不安になっていく。
消し忘れなのかもしれないと。
(もう1回、…押して来ないなら帰ろ――…)
もう一度、ボタンを強く押そうとしたとき。
どかどかと中から音が聞こえ、
「こんな夜に来るバカは誰かなぁw」
勢いよくドアを開けたのは、竜司ではなく何故か恵だった。
「ぅ、あァ゛あ…吉川ぁ」
「あ! 長谷部っ、お宅って奴ァ!」
顔色を変えて口を大きく開ける彼に、長谷部も表情を強張らせた。
身体も翻し自転車へと走ろうとする長谷部の襟足を恵に掴まれた挙句に、「来い! バカ野郎っ」と中へと引きずられた。
「っよっしかっわぁアっ??」
「丁度よかったぜ!」
「ぇ、はぁ?」
引きずられたままの長谷部も首を傾げた。
「お宅の父親の店に行ってたから休んだんだろう? 今日は」
恵の言葉に「ああ。そうだけど」と返事をした。
「店長に何か、聞いたのか?」
「…如月って野郎にさぁ? 今日、会えたかよ?」
恵の言葉に長谷部も脚を踏ん張り、引きずられるのを止めた。
「急になんの話しすんだよ」
「おいおい。手間かけさせるんじゃねぇよw」
首に腕を回して、さらに長谷部を引きずった。
「吉川! おいっ、あンたは何がしてぇんだよっ!」
「俺ぇ? 何って、そりゃあー~~…店長に幸せになって欲しいだけだぜぇwwwww」
弾む恵の言葉に、長谷部は巻かれた腕を解き肩を横に並べた。
「そ、それは俺もだっつぅの!」
「へぇ? で、会った? 今日」
「会った」
恵は長谷部を竜司がいる場所まで案内をした。
「それがなんだよ」
「店長が。想いのほかこじらせちまってんのよw」
「こじらせるって、何がだよ」
「ああ。お子様にゃあ分かんねぇっかぁ~~wwwww」
「吉川?」
恵が長谷部を案内したのは、二階にある竜司の彼の部屋だ。
「そういえば。竜司さんは?」
「寝込んじまった」
「はァ!?」
「なんてのは嘘で、悪酔いしちまって寝落ちしちまった」
「…吉川ぁー~~っ」
葉を剥き出しに恵を睨む長谷部に目を細めた。
「その如月さんてのに恋人は?」
「恋人ぉ? ホステスに貢いだり、あんな店に来るあたり、いねぇんじゃねえのかな?」
「そりゃあ。そうだw」と恵が肩を竦めた。
全く恵の質問の意図が掴めずに分からない長谷部は苛立てしまう。
「だから、なんの話しをいてんだっつぅのっ」
「如月さんに店長への脈はあんの?」
「竜司さんに? さぁ、今日聞かれたけど」
「! っそ、そぅか! っあんだよ~~もぉうw」
「吉川ぁ~~??」
喜々と声を弾ませた恵に、長谷部は眉間にしわを寄せた。
「お子様にゃあ分かんなくたっていい話しだ」
竜司の部屋につき、中へと長谷部も入った。
「竜司さん?」
見渡すも彼の姿はなく、ベッドの中が膨らんでいた。
「竜司さん、…寝てんじゃんっ」
「ケーキの定例の試食会で酒を煽るように飲んで、そんで、そのままばったんきゅうよw」
「なら、なんだって俺を上げたんだよ。家ン中に」
「緊急会議をしょうと思ってさ。ごめんな、長谷部君」
ひょこっ、とケーキを食べるともみがはにかんだ表情で長谷部を見据えた。
「春日部さん」
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